☆☆☆☆

【あらすじ】
霧の城が呼んでいる、時が来た、生贅を捧げよ、と。イコはトクサ村に何十年かに一人生まれる角の生えたニエの子。その角を持つ者は「生贅の刻」が来たら、霧の城へ行き、城の一部となり永遠の命を与えられるという。親友トトによって特別な御印を得たイコは「必ず戻ってくる」と誓い、村を出立するが―。



さて本作には原作に当たるゲームがあります。ゲームの内容は角が生えたために生贄として謎の古城に閉じ込められた少年イコが、そこで出会った言葉の通じない少女ヨルダの手を取り、彼女を守りつつ共に古城から脱出する内容のアクションアドベンチャーゲームです。(wikiより)

ゲームの基本構造はアクション要素のあるパズルゲームといった感覚です。仕掛けを起動したり何かを動かして城の脱出を目指すゲームです。

特徴的なのは独特の世界観です。文字で語られることは極端に少なく、映画のようにきれいな映像で物語を進めながらその背景にある意味をプレーヤーが読み取っていくようなつくりになっています。

本作は原作ゲームをプレーした宮部みゆきたっての希望で、ノベルス化したものです。

ゲームの解説部で記載いたしましたように、物語の細部が語られない原作ですが、制作陣はそれを支える裏設定を当然持っていました。しかし本書執筆に当たっては宮部みゆきという、いちプレーヤーが解釈したICOを描いて欲しいという原作制作陣からの意向で設定資料は渡されず、ゲームをプレーし表舞台に香るヒントや雰囲気から宮部さんの解釈により書かれたのが本作です。

元々ゲーム好きで近年では『英雄の書』や『ブレイブストーリー』といったファンタジー色の強い作品にも取り組んでいる宮部さんのことですから、ファンタジー作品第一弾にあたる本作もかなり期待して読みました。またゲーム自体は私は未プレーなのですが10年以上前に普段ゲームをしない友人がその独特の世界観にすっかりはまってしまったことも記憶していたので、原作自体から香るテイストにも期待が膨らみました。

実際に手をつけて見ればわずかしか情報が与えられない原作をプレーしただけで広大な世界史までをも作ってしまう宮部さんのイマジネーションと作家としての構築力に脱帽させられました。
またイコとヨルダ2人の脱出劇そのものも原作の最大の特徴でもある「手をつなぐ」という動作が非常に温かく優しく表現されており、原作を損なわないつくりになっています。(それ以上の意味も与えられていますが)同時に城の不気味さ、不穏さ、不安感も丁寧に描かれていて、それがより一層手をつなぐという行為に読者自身すらも安心させる強い効果になっています。

『英雄の書』でも非常に残酷なテーマ、出来事が起こりますが本作もそれは同様で、むしろ辛く過酷なことが大半を占めそれ故またイコとヨルダの幸福を求めてやまない気持ちになります。ただの生暖かいだけのファンタジーにしないところが社会(人の世界)の闇を描いてきた社会派宮部みゆきの素晴らしさだな、と改めて感じました。

唯一の減点はパズルアクションゲームを原作にしたとは言え、あれを動かして道を作って、というゲームで実際にプレーヤーが動かすパズル部分が小説だと少し退屈になってしまっているところですかね。ある意味その疲れがイコの疲労や作内の時間間隔を共有させる役割もあるのでしょうが、読んでいて面白みのあるパートではなかったような気がします。



名作ということでPS3でHDリマスターバージョンがリリースされたようです。


☆☆☆

【あらすじ】

11月下旬の八ヶ岳。山荘で目醒めた小説家の安斎が見たものは、次々と襲ってくるスズメバチの大群だった。昔ハチに刺された安斎は、もう一度刺されると命の保証はない。逃げようにも外は吹雪。通信機器も使えず、一緒にいた妻は忽然と姿を消していた。これは妻が自分を殺すために仕組んだ罠なのか。安斎とハチとの壮絶な死闘が始まった―。最後明らかになる驚愕の真実。ラスト25ページのどんでん返しは、まさに予測不能!


雪山の山荘に閉じ込められるのは古典ミステリーの常套句ですが、今回山荘にいるのは殺人犯より恐ろしい一撃必殺の無数のスズメバチたちです。



外に出られない状況下で無数の蜂たちと様々な道具を駆使して戦うために作られたシュチュエーションですが『クリムゾンの迷宮』や『新世界より』でもお馴染み迫りくる何かから逃げ惑う描写を書かせたらこの人以上はいないでしょう。

ただし今作が今までと違うのは意図的に笑える展開を用意していることです。安斎が自作のハードボイルド描写を思い浮かべながらおかしな格好でハチに立ち向かっていくさまは滑稽ですし、そんなことせんでもこうすれば…、という突っ込みどころ満載のシーンがところどころ登場します。某ラジオ番組に貴志さんご自身が出演した際、「笑って欲しい」「自分だったら絶対あんなことはしない」といった趣旨のことを語っていたので、意図した演出であることがはっきりとしました。



全体としては中篇娯楽小説として十分楽しめる水準のものですが、貴志さん作品の平均的なレベルで言えば、もう少し頑張って欲しかったかなという気もします。最後のどんでん返しでうまいこと気にならないような作りにはしていますが、雪山、雀蜂の設定も作中で主人公自身が言及している通り合理的な説明がつかないままですし。そこが本題でないのはよくわかるのですが、それをうまく作品に取り込んで最終局面でうまく説明がつくとより気持ちの良いラストになったかな?という気もします。





追い込まれる恐怖という意味ではこれが最高傑作でしょう。

私は怖過ぎて2度と読みたくありません…。


【あ行】
赤川学
「子どもが減って何が悪いか! 」☆☆☆☆

浅草キッド
「お笑い 男の星座」☆☆☆☆

我孫子武丸
「殺戮にいたる病」☆☆☆

荒井献
「イエス・キリスト(三福音書による)」☆☆☆☆

五十嵐貴久
「交渉人」☆☆
「Fake」☆☆☆
「リカ」☆☆☆

伊坂幸太郎
「ゴールデンスランバー」☆☆☆☆☆
「チルドレン」☆☆☆
「死神の精度」☆☆☆☆☆
「ラッシュライフ」☆☆☆☆
「重力ピエロ」☆☆☆☆☆
「オーデュボンの祈り」☆☆☆☆
「アヒルと鴨のコインロッカー」☆☆☆☆
「グラスホッパー」☆☆☆☆☆
「陽気なギャングが地球を回す」☆☆☆
「陽気なギャングの日常と襲撃」☆☆☆
「砂漠」☆☆☆
「フィッシュストーリー」☆☆☆
「終末のフール」☆☆☆☆
「魔王」☆☆
「モダンタイムス」☆☆☆☆
「あるキング」☆☆
「SOSの猿」☆☆☆☆
「オー!ファーザー」☆☆☆☆
「マリアビートル」☆☆☆☆

石持 浅海
「扉は閉ざされたまま」☆☆☆
「セリヌンティウスの舟」☆
「君の望む死に方」☆☆☆☆
「月の扉」☆☆☆
「心臓と左手 座間味くんの推理」☆☆
「耳をふさいで夜を走る」☆☆☆

伊園旬
「ブレイクスルー・トライアル」☆☆
「ソリューション・ゲーム 日常業務の謎」☆☆

伊藤計劃
「ハーモニー」☆☆☆

井上雄彦×伊藤比呂美
「漫画がはじまる」☆☆☆☆☆

井上夢人
「もつれっぱなし」☆☆☆☆
「おかしな二人―岡嶋二人盛衰記」☆☆☆☆☆
「the TEAM」☆☆☆
「魔法使いの弟子たち」☆☆☆

岩田規久男
「小さな政府を問いなおす」☆☆☆☆

梅田望夫
「ウェブ進化論」☆☆☆☆☆

歌野晶午
「葉桜の季節に君を想うということ」☆☆

大下英治
「孫正義 起業のカリスマ」☆☆☆☆
「黒幕―昭和闇の支配者〈1巻〉」☆☆☆☆
「政商ー昭和闇の支配者〈2巻〉」☆☆☆☆☆
「首領ー昭和闇の支配者〈3巻〉」☆☆☆☆☆
「トップ屋魂」☆☆☆
「田中角栄になりそこねた男」☆☆☆

小笠原慧
「DZ(ディーズィー)」☆☆☆☆

小川洋子
「博士の愛した数式」☆☆☆☆
「猫を抱いて象と泳ぐ」☆☆☆☆
「薬指の標本」☆☆☆☆☆

荻原浩
「噂」☆☆
「明日の記憶」☆☆☆☆
「四度目の氷河期」☆☆☆☆

奥田英朗
「イン・ザ・プール」☆☆☆
「空中ブランコ」☆☆☆
「町長選挙」☆☆☆☆
「邪魔」☆☆☆☆
「ララピポ」☆☆☆
「最悪」☆☆☆☆
「家日和」☆☆☆☆

小野耕世
「ドナルド・ダックの世界像―ディズニーにみるアメリカの夢」☆☆☆☆

恩田陸
「三月は深き紅の淵を」☆☆☆
「Q&A」☆☆☆☆
「木漏れ日に泳ぐ魚」☆☆☆
「光の帝国」☆☆

【か行】
海堂尊
「チーム・バチスタの栄光」☆☆☆
「ナイチンゲールの沈黙」☆☆☆
「ジェネラル・ルージュの凱旋」☆☆☆☆
「イノセント・ゲリラの祝祭」☆☆

カズオイシグロ
「日の名残り」☆☆☆☆☆
「わたしを離さないで」☆☆☆☆☆

片谷教孝、鈴木嘉彦
「循環型社会入門」☆☆☆

金子達仁
「28年目のハーフタイム」☆☆☆☆☆

金子 達仁、戸塚 啓、木崎 伸也
「敗因と」☆☆☆☆

金子勝
「2050年のわたしから」☆☆

金子勝 佐高信
「誰が日本経済を腐らせたか」☆☆

川合光
「はじめての<超ひも理論>宇宙・力・時間の謎を解く」☆☆☆

川勝正幸
「丘の上のパンク -時代をエディットする男、藤原ヒロシ半生記」☆☆☆☆☆

川上弘美
「どこから行っても遠い町」☆☆☆☆
「センセイの好きな鞄」☆☆☆☆

姜尚中,テッサ モーリス‐スズキ
「デモクラシーの冒険」☆☆☆☆☆

貴志祐介
「硝子のハンマー」☆☆☆
「黒い家」☆☆☆☆☆
「天使の囀り」☆☆☆☆☆
「クリムゾンの迷宮」☆☆☆☆☆
「新世界より」☆☆☆☆☆
「悪の教典」☆☆☆☆

木村 元彦
「オシムの言葉」☆☆

京極夏彦
「姑獲鳥の夏」☆☆☆☆☆
「魍魎の匣」☆☆☆
「狂骨の夢」☆☆☆☆
「鉄鼠の檻」☆☆☆☆
「絡新婦の理」☆☆☆☆☆
「塗仏の宴 宴の支度」☆☆☆☆
「塗仏の宴 宴の始末」☆☆☆☆☆
「陰摩羅鬼の瑕 」☆☆☆☆☆
「邪魅の雫」☆☆☆
「百鬼夜行――陰」☆☆☆
「死ねばいいのに」☆☆☆☆

桐野夏生
「東京島」☆

倉島長正
「日本人が忘れてはいけない美しい日本の言葉」☆☆☆

グラハム マーシュ,ジューン マーシュ,ポール トリンカ
「デニム・バイブル」☆☆☆☆☆

児玉清
「児玉清の「あの作家に会いたい」」☆☆☆

小松成美
「中田英寿 鼓動」☆☆☆☆☆
「ジョカトーレ」☆☆☆
「青の肖像」☆☆☆
「YOSHIKI佳樹」☆☆☆☆☆

コンドウアキ
「リラックマ生活」☆☆☆

今野敏
「蓬莱」☆☆☆☆
「イコン」☆☆☆
「神々の遺品」☆☆☆
「隠蔽捜査」☆☆☆☆
「リオ」☆☆☆
「果断―隠蔽捜査〈2〉」☆☆☆☆
「疑心―隠蔽捜査〈3〉」☆☆☆

後藤忠政
「憚りながら」☆☆☆☆

【さ行】
佐高信
「田原総一朗への退場勧告」☆

佐野眞一
「小泉政権―非情の歳月」☆☆☆☆
「誰が本を殺すのか」☆☆☆☆

雫井脩介
「クローズド・ノート」☆☆☆☆
「犯罪小説家」☆☆

柴田哲孝
「下山事件 最後の証言」☆☆☆☆☆
「TENGU」☆☆☆

ZEEBRA
「ZEEBRA 自伝」☆☆☆

清水 早苗、 NHK番組制作班
「アンリミテッド:コム デ ギャルソン」☆☆☆☆

島田雅彦
「小説作法ABC」☆☆

ジム ファニング
「DISNEY映画ポスター集―ミッキーマウスからアラジンまで」☆☆☆

上甲宣之
「そのケータイはXX(エクスクロス)で」☆☆

杉田敦
「デモクラシーの論じ方―論争の政治―」☆☆☆☆

スザンナ フランケル
「ヴィジョナリーズ ファッション・デザイナーたちの哲学」☆☆☆☆

鈴木清剛
「ロックンロール・ミシン」☆☆☆

鈴木敏夫
「仕事道楽―スタジオジブリの現場」☆☆☆☆

鈴木宗男
「闇権力の執行人」☆☆

セルジオ越後
「日本サッカーと「世界基準」」☆☆☆

【た行】
高城剛
「ヤバいぜっ!デジタル日本」☆☆☆

高野和明
「13階段」☆☆☆☆

竹内薫
「99.9パーセントは仮説」☆☆☆☆

竹本健治
「ウロボロスの純正音律」☆

ダナ・トーマス
「堕落する高級ブランド」☆☆☆☆☆

谷川俊太郎
「スヌーピーたちの人生案内」☆☆☆☆

谷清司
『ブラック・トライアングル―温存された大手損保、闇の構造』☆☆☆☆

ダン・ブラウン
「パズル・パレス」☆☆☆☆
「デセプション・ポイント」☆☆☆☆
「ダ・ヴィンチ・コード」☆☆☆☆
「天使と悪魔」☆☆☆☆☆
「ロスト・シンボル」☆☆☆☆

【な行】
永江朗
「メディア異人列伝」☆☆

新津きよみ
「トライアングル」☆

西寺郷太
「新しい「マイケル・ジャクソン」の教科書」☆☆☆☆

日本推理作家協会
「小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所」☆☆☆

楡周平
「フェイク」☆☆☆
「Cの福音」☆☆☆☆
「クーデター」☆☆☆☆
「猛禽の宴 続・Cの福音」☆☆☆☆

貫井徳郎
「慟哭」☆☆☆

野田正彰 大谷昭宏 宮台真司 宮崎学 森達也
「「麻原死刑」でOKか」☆☆☆

【は行】
ハイウェル・デイヴィス
「モダン・メンズウェア」☆☆☆☆

東野圭吾
「ある閉ざされた雪の山荘で」☆☆
「聖女の救済」☆☆☆☆
「ガリレオの苦悩」☆☆☆☆
「探偵ガリレオ」☆☆☆
「予知夢」☆☆☆
「流星の絆」☆☆☆☆
「容疑者Xの献身」☆☆☆☆☆
「白夜行」☆☆☆☆☆
「幻夜」☆☆☆☆☆
「パラドックス13」☆☆
「ゲームの名は誘拐」☆☆☆
「卒業」☆☆
「眠りの森」☆☆
「どちらかが彼女を殺した」☆☆
「悪意」☆☆☆
「私が彼を殺した」☆☆☆
「嘘をもうひとつだけ」☆
「赤い指」☆☆☆

東山彰良
「逃亡作法 TURD ON THE RUN」☆

広井良典
「死生観を問いなおす」☆☆☆☆☆

藤原ヒロシ
「Personal Effects」☆☆☆

ペン編集部
「1冊まるごと佐藤可士和。」☆☆☆

BOSE(スチャダラパー)
「明日に向かって捨てろ!!」☆☆☆

細野真宏
「細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!」☆☆☆

堀江瑠璃子
「世界のスターデザイナー」☆☆☆☆

本田由紀、内藤朝雄、後藤和智
「「ニート」って言うな!」☆☆☆☆

【ま行】
前川修満
「決算書はここだけ読め!」☆☆☆☆

牧薩次
「完全恋愛」☆☆

町山 智浩
「〈映画の見方〉がわかる本80年代アメリカ映画カルトムービー篇 ブレードランナーの未来世紀 (映画秘宝コレクション)」☆☆☆☆
「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」☆☆☆☆

町山智浩、越智道雄
「オバマ・ショック」☆☆☆

三崎亜記
「となり町戦争」☆

水野和夫
「金融大崩壊―「アメリカ金融帝国」の終焉」☆☆☆

溝口敦
「血と抗争 山口組三代目」☆
「細木数子 魔女の履歴書」☆☆☆☆☆
「歌舞伎町・ヤバさの真相」☆☆

湊かなえ
「告白」☆☆☆☆
「贖罪」☆☆

宮崎哲弥
「新書365冊」☆☆☆
「映画365本 DVDで世界を読む」☆☆☆

宮崎駿
「飛行艇時代」☆☆☆☆

宮部みゆき
「理由」☆☆☆☆
「英雄の書」☆☆☆☆☆
「名もなき毒」☆☆☆

宮本輝
「骸骨ビルの庭」☆☆☆☆

村上春樹
「日出国の工場」☆☆☆
「これだけは、村上さんに言っておこう」☆☆
「村上春樹ハイブ・リット」☆☆☆☆
「1Q84」☆☆☆☆☆
「1Q84 BOOK3」☆☆☆☆☆

若野桂
「RAW」☆☆☆☆

元川悦子
「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年」☆☆☆

森達也
「職業欄はエスパー」☆☆☆☆
「ドキュメンタリーは嘘をつく」☆☆☆
「放送禁止歌」☆☆☆
「こころをさなき世界のために 親鸞から学ぶ<地球幼少期のメソッド>」☆
「世界と僕たちの、未来のために 森達也対談集」☆☆☆
「下山事件(シモヤマ・ケース)」☆☆☆☆
「死刑 人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う」☆☆☆☆

森達也 安岡 卓治
「A2」☆☆☆☆

森博嗣
「すべてがFになる」☆☆☆
「冷たい密室と博士たち 」☆☆
「詩的私的ジャック」☆☆☆☆
「封印再度」☆☆☆☆
「幻惑の死と使途」☆☆☆
「今はもうない 」☆☆☆☆
「数奇にして模型」☆☆☆
「有限と微小のパン」☆☆☆
「黒猫の三角」☆☆☆☆
「人形式モナリザ」☆☆
「月は幽咽のデバイス」☆☆
「夢・出逢い・魔性」☆☆
「魔剣天翔」☆☆☆
「恋恋蓮歩の演習」☆☆☆
「六人の超音波学者」☆☆☆☆
「捩れ屋敷の利鈍」☆☆
「朽ちる散る落ちる」☆☆☆
「赤緑黒白」☆☆☆
「四季 春」☆☆☆☆
「四季 夏」☆☆☆
「四季 秋」☆☆
「四季 冬」☆☆
「女王の百年密室」☆☆☆☆
「迷宮百年の睡魔」☆☆☆☆
「φは壊れたね」☆☆☆
「θは遊んでくれたよ」☆☆☆
「τになるまでまって」☆
「εに誓って」☆☆
「λに歯がない」☆☆
「ηなのに夢のよう」☆☆
「目薬αで殺菌します」☆☆
「イナイ×イナイ」☆☆☆
「キラレ×キラレ」☆☆
「タカイ×タカイ」☆☆
「地球儀のスライス」☆☆
「今夜はパラシュート博物館へ」☆
「虚空の逆マトリクス」☆☆
「レタス・フライ」☆
「森博嗣のミステリィ工作室」☆☆☆
「工学部・水柿助教授の日常 」☆☆☆
「工学部・水柿助教授の逡巡」☆☆
「工学部・水柿助教授の解脱」☆☆

【や行】
柳広司
「ジョーカー・ゲーム」☆☆☆
「キング&クイーン」☆☆

柳澤健
「1976年のアントニオ猪木」☆☆☆☆

山崎豊子
「白い巨塔」☆☆☆☆☆
「華麗なる一族」☆☆☆☆☆
「不毛地帯」☆☆☆☆☆
「運命の人」☆☆☆☆☆

山田正紀
「神狩り」☆☆☆

山室一幸
「ファッションブランド・ビジネス 」☆☆☆☆

吉田豪
「元アイドル!」☆☆☆
「hon-nin列伝 セキララなオンナたち」☆☆☆☆

米澤穂信
「インシテミル」☆☆☆
「追想五断章」☆☆☆

【ら行】
リリー・フランキー
「美女と野球」☆☆☆☆

J. K. ローリング
「ハリー・ポッターと死の秘宝」☆☆☆☆

【わ行】
和田竜
「のぼうの城」☆☆☆☆
「忍びの国」☆☆☆☆

ワードライフの読書日記


ワードライフの読書日記


昨年のイヤホンに続き、今度はフィリップスのiPod/iPhone用スピーカー「Fidelio」をお借りしてのレビュー企画に参加してみました。
私の家にはCDが1000枚ほどありますが、iPodを購入して以降、CDを聞く機会はめっきり減ってしまいました。
そもそも仕事をしていると家でゆっくり音楽を聴く時間なんてあんまりないから…。
なんて寂しい理由もちょっとはありますが、もっとも大きな理由はiPodを覚えてしまうと何百もあるアルバムから一瞬で聴きたいCDを見つけられたり、プレイリストを編集して通勤用、お休み用、ノリノリ用なんてな区分けまでまでできてしまうわけです。このアーティスト好みじゃないけどこの曲だけは!なんてのも簡単に消去追加できてしまうわけだし。
もっと言えば、今となっちゃCDの出し入れすら面倒くさいっていう…。

まあそんなわけでiPod用のスピーカー欲しいなぁなんて思っていたんですが、デザインがいまいちだったり音質が疑わしかったり買わずじまいです。
そんなわけで今回はよい機会とばかりに参加してみたわけです。
感想はコストパフォーマンスよいなぁという印象。私がお借りしたのは入門機(一番安いDS1100)だったのですが、まず見た目が良いですおしゃれーでシンプルなホテルの一室にでも似合いそうなミニマルだけどセンスを感じるデザインです。
これ↓↓↓↓↓


で、音質ですがこっちもなかなかのものです。
もちろん入門機なのでものすごく良いってわけじゃないんですが、想定していたよりも相当の満足感が得られました。
基本的に低音が強めなのでダンスミュージック向きかな?と思い、ヒップホップやハウス、テクノを聴いてみたところ結構な満足感が得られましたが、実際にはアコースティックなライブ盤などの音源のほうが満足感は高かったですね。なかなかに澄んだ音で高音も綺麗です。
ベッドルーム向けというコンセプトにもうなずける音作りです。

操作性はこれ以上ないほどシンプルなものなのでiPod/iPhoneユーザーなら問題なくお使いになれるでしょう。
書評が辛口なので信頼していただけると思いますが、これは本当にお勧めです。
レンタルと言わずに欲しかった…。
個人的にも購入を検討したいモデルです。

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『奇跡の海』80点
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『ダンサーインザダーク』でお馴染みラース・フォントリアー監督の作品。
この作品も最悪の事態の中でも希望を抱き強く生きる女性が登場します。3つの「セイ」つまり「正」「聖」「性」について非常に考えさせられる作品です。
どうしょうもないほど辛く、鑑賞後は動くことすら嫌になりかねませんが、それでもある種の希望を抱かせてくれる作品です。

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言いたいこと、突っ込みどころが山ほどあるのですが、あえて1つに絞るなら「お前子どものことどう考えてんの?」ですね。
・こどもが危ない状況にあると認識しながらほっといたり
・その扉に何がしかのことが書いてることは確実だとしてもそれが自分たちが助かるすべかどうかの根拠もなく、地球最後の瞬間までカウントダウンされる中謎解きに夢中になったり
・事故を回避したがためでしょうが、事故が起こる現場に単身向かったり。急に銃乱射する人がいたり、毒ガスまくような人がいたりしたら、あなた死にますよ?あるいはただの事故だとしても予言するようなことしたら事件との関連性疑われてつかまりますよ?(実際危なかったし)そうなったらお母さんに続いてお父さんまで失うことになるんですけど
・なぜ宇宙人と一緒に宇宙船に乗らない?あいつらすげー悪いやつで子どもを人体実験したりペットにしようとしてたらどうすんの?乗っけてくれるって言ってるんだから子どもまもれよ!

多分にキリスト教的な作品なので宇宙人は神の使い、暗号は予言という位置づけだからあんな行動原理で動いているのでしょうが、作品内のニコラス・ケイジからはキリスト教的な道徳や価値観のバックボーンがあまり見て取れないのでこういった行動がMITの先生のくせに単に行き当たりばったりで動いているようにしか見えないんですよね。
全体的に物語の向かう方向などがその都度ばらばらになっていて様々な出来事が唐突に見えて仕方のない作品でした。

『母なる証明』75点
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3回ほどその後の嫌~な展開が想像できる場面で思わず画面に向かって「マジで?」といってしまいました。
表面上のストーリーは犯人捜しのミステリー的なテイストで、そのミステリーの落ちそのものはさして珍しいものではないのですが、そこまでのドラマのもって行きかた、台詞や行動などの様々な複線から視聴者に想像させる展開…見事としか言いようがありませんね。
またこの作品についてはエンディングも素晴らしいです。完全に突き放されました。

『フロム・ヘル』25点
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ひどく退屈な作品でした。切り裂きジャックをある仮説からドラマ化した作品なのですが(原作は漫画)、ミステリーとしてはあまりに行き当たりばったり過ぎて物語の求心力が全くありません。
またジョニー・デップ扮する刑事がアヘンをやると事件の真相の片鱗の幻覚が見えるという特殊体質なのですが、これもジョニデの不良っぽさと文学少年的な雰囲気を如何にもそれっぽい型にはめただけですし、この能力が本編で全く活かされません!サイコメトラーエイジでも読んで勉強しなおせ!って感じで、その都度何が見えるか、というロジックもないしそれをベースに推理が進んでいくわけでもないし…。その割に真犯人の仮説は物語上は穴がなくしっかりと出来ているのでもったいないなぁという感じでした。

『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』50点
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映画秘法周りではかなり評判の良かった作品らしいですが、個人的には全くでした。
映像の凄さはそれなりではありますが、物語が省かれ過ぎていて(原作もそうらしいですが)乗れませんでした。
色々といいたいことはあるのですが、長くなりそうなので1つだけ終盤でヘルボーイが命を落としかけたときに、死神がヘルボーイの彼女に「この男を生かせば将来必ず人間を滅ぼす」と言い、生か死かの二者択一を迫るわけですが、こんなになけそうなシーンが全く響かないんですよね。なぜなら本編中で描かれている限りは愉快なだけのヘルボーイが人間を滅ぼすなんていわれてもリアリティーがなく切実感を感じません。そもそも恋人にそれを尋ねれば生かしたいというに決まっているだろうという感じで。
ここを盛り上げるためには人間との間に溝が出来たヘルボーイが実際に暴れて人間を相当数殺しておくとか、彼女にすら手をかけようとした、みたいな描写でもないと運命の二者択一が軽~くなっちゃうんですよね。
個人的には映画秘法系では評価がめっぽう低かった「ぽにょ」の二者択一の質問と切実度はかわらないかなぁという印象でした。