忍びの国/和田 竜

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☆☆☆☆
伊賀一の忍び、無門は西国からさらってきた侍大将の娘、お国の尻に敷かれ、忍び働きを怠けていた。主から示された百文の小銭欲しさに二年ぶりに敵の伊賀者を殺める。そこには「天正伊賀の乱」に導く謀略が張り巡らされていた。史実に基づく壮大なドラマ、われらの時代の歴史小説。(amazonより)

「のぼうの城」の和田竜最新作です。
「のぼうの城」はかの有名な秀吉の小田原城攻めの裏で、展開していた忍城攻めを描いた作品でした。学のない私は忍城と聞いて「忍者か?」と思ったバカです。ちなみに忍城の読みは「おしじょう」です。

そして今作!今度は正真正銘忍者が登場します。織田信長の次男織田信雄の伊賀攻めを描いた作品です。ちなみに前作同様史実に基づきながら、史料として残っていない細かいキャラクターの設定などはオリジナルで描かれています。
「のぼうの城」は非常に分かりやすい絶妙なエンタメ作品でしたが、朴訥で鷹揚で一見すると愚鈍ながらも人気と将の器を城主代行、それに恋する男勝りな絶世の美女、彼を支える文武を極めた武将などなど、人物描写やストーリー展開は嫌でも先が読めるベタな設定でした。「のぼうの城」はそういった設定を非常に巧みに活かした傑作ではありましたが、それがある種の物足りなさを作っていたのも事実です。

「のぼうの城」と比較すると本作は様々な場面で人の心の機微に揺り動かされる作品です。独自のルールと価値観を持つ忍者達(本作で描かれる彼らは単純明快でかつ下賎です。)、彼らが彼らにしか理解できないルールで動くたびに誰かの心に強い波紋を投げかけ歴史が動いていきます。時に哀しくもありますが、そこには前作以上のドラマがあります。
また忍者が登場することで、前作でも非常に見事に描かれていたアクションシーンがより一層の躍動感を持って登場します。

個人的には「のぼうの城」以上の満足感を得られた作品でした。前作では感じることの出来なかった余韻を残してくれる作品でもあります。

和田竜の作品はとりあえず打ち止めですが、「のぼうの城」と同様に忍城攻めをモチーフにした作品でありながらも、ネットでは「のぼうの城」以上の傑作と評判の「水の城―いまだ落城せず 」を読んでみようかと思っています。
水の城―いまだ落城せず (祥伝社文庫)/風野 真知雄

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そして久し振りにこんなゲームをやってみたくなりました。
自身が秀吉になり信長の配下として、米を買い集めたり、時には売って儲けて更に大量の米を買い集めたり、茶器を収集したり、戦国武将と交友を深めたり、剣を学んだり、天下統一を目指したりと非常に自由度の高いゲームです。
KOEI The Best 太閤立志伝V

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