YOSHIKI/佳樹/小松 成美

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☆☆☆☆☆
TOSHIとの友情、HIDEの死。X JAPAN誕生から解散、再結成までの軌跡と、自らの生い立ち、そして父の死--。すべての真実をYOSHIKIが初めて語る! (amazonより)

今月1冊目の書評にして、いきなりの5つ星です。断っておきますが、私はXファンではありません。その為、YOSHIKIの幼少時代を聞くだけで…、メンバーとのエピソードを知ることができるだけで…、感動…。みたいなことはありませんでした。逆にこのエピソードが書かれていない、あのエピソードで重要人物からインタビューをとっていない、こんなこと知っている、などファンならではの不満を抱くこともありませんでした。

そもそもこの本を手に取った理由もYOSHIKIやXではなく、小松成美という優れたインタビューアーでありノンフィクションライターに惹かれたからです。このブログでも数冊紹介してきていますが、小松さんはスポーツ関係のノンフィクションの著作が多く、そのいずれも多数かつ詳細にいたるインタビューで対象者を丁寧に描ききっています。そして何より魅力的なのが、そういった多くのインタビューで成り立っているはずの著作であるにも関わらず、あくまで焦点は対象にあり、その時彼は…といったような描かれ方はされません。そのため丸でしょうせつを読んでいるかのように、対象者の生涯に集中し、楽しんで読むことができるのです。

本作でもそういった書き方は踏襲されており、裕福な家庭で育った幼少期、やんちゃな学生時代、そしてカリスマロックスターになった後のYOSHIKIも、全て連続した人物としてすんなり入っていきます。今回の場合、X内での複雑な人間関係もあるので、どの程度の取材がとれたか疑問な部分もあるのですが、それでも相当数の取材の跡がみてとれる作品です。

amazonのレビューをみると厳しい声もあるようですが、やはり現役のロックスターであるYOSHIKIを描く際に言葉遣いや心象風景を奇麗に描きすぎてしまったがために迫力に欠けた文体になってしまったことがその要因の1つかな?と思われます。またそういった文体をお使うに当たっては少々語彙力が足りないのをさらけ出してしまったことも併せて減点ポイントではあります。とは言えない内容としては十分に真に迫るものですし、素晴らしいものであったと思います。

小松成美といえばやはりヒデを描いたこれでしょう。
中田英寿 誇り (幻冬舎文庫)/小松 成美

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