「三月は深き紅の淵を」恩田陸

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☆☆☆
「三月は深き紅の淵を」という架空の小説が登場するという１点のみが共通した短編集。しかもそれぞれの編で登場する「三月は深き紅の淵を」は共通した部分を持ちながらも基本的にはストーリーから作者まで全て別物。
第１章の「待っている人々」が非常に良く出来たミステリータッチの作品なので、２章以下も楽しみに読んだが、正直１章の出来が良いだけで、２章以下にはあまり魅力を感じることが出来ませんでした。全編に共通しているのはどこか不気味な雰囲気と一種の閉塞感である。そのために全体通してはミステリーとは言いがたいのに、ミステリーを読んでいるような感覚を持たせる作品でもある。