「ニート」って言うな! (光文社新書)/本田 由紀

¥840
Amazon.co.jp

☆☆☆☆
シリーズ「格差社会を生き抜く」これから不定期で更新していきます。昨今話題になっている格差社会を考えるきっかけになる本を紹介していきます。第一回目は「ニートを考える」です。

ここ数年、ニュースやワイドショーでも話題になることの多い「ニート」。この言葉の正確な定義をご存知のことがどの位いらっしゃるでしょうか? 厚生労働省によると「非労働力人口のうち、年齢15歳~34歳、通学・家事もしていない者」がニートに対する定義なわけですが、ではこの人達って本当に増えたのでしょうか?

「凶悪な少年犯罪が増えた」「最近の若者は働く気力が無くなった」
こういった漫然と語られる「最近の若者は論」何となく鵜呑みしていませんか?でも落ち着いて数字を探ってみよう、原因を分析してみよう。その言説に正当性はあるのでしょうか?場合によってはそれは誰かにとっての都合でしかない発言かもしれません。

内容に触れてしまうと、この本を読む意味が無くなってしまうので、今回の紹介はここまでにしておきます。
本書は内容的には不十分な点も多く、3人の論者の言っていることにも重複が見られ、必ずしも「良い本」とはいえない部分もあります。ただし何かを考え出すきっかけにはなります。凝り固まった自分の思想を溶かす機会を与えてくれる本でもあります。この本を読まれた後に、もう一歩踏み出してみることをお奨めします。自分なりに仮説を立て、それに基づき統計資料をあたってみることも良いでしょう(案外ネットで簡単に見つかります。)更に別の本を読んで、その原因を探ってみることも良いです。
この本は何かを考え出す貴重な一歩目を示唆してくれる本です。