DZ(ディーズィー) (角川文庫)/小笠原 慧

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☆☆☆☆

現役の医師が書き横溝正史賞を受賞した作品。そのためか、所々割と複雑な遺伝子論や医療の話が入ってくる。読み飛ばしたくなるが、そこはぐっと抑えて読まないと、あとあとストーリーが追いにくくなるので注意が必要。話自体は、張り巡らされた複線が一つに集約されていく秀作である。ただ結構えぐい描写が多いのと、人体を科学的な見地から解剖し解明していく話に嫌悪感を覚えた。多分、自分は「人間」は、一生物ではなく、特別な存在であると思いたいのだろうな、と気付かなかった自分の一面が見えた気がした。