ドナルド・ダックの世界像―ディズニーにみるアメリカの夢 (中公新書)/小野 耕世

¥882
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☆☆☆☆
ディズニーネタを続けさせてもらいますね。
中公新書から出ている「ドナルド・ダックの世界像」ちょっと意外じゃないですか?
良書が多く新書の中では1番信頼している中央公論新社ですが、こんなタイトルも出ていたんですね。

さてさて本書はドナルド・ダックについて丸一冊かけて書いているので、ドナルドファンは勿論のことディズニー好きにはお奨めです。あんまり書くと読む楽しみが無くなってしまうかもしれませんので断片的な情報だけ。

いつも愉快で怒りっぽくてマヌケでチャーミングなドナルド。
彼は一体どのように誕生したのでしょうか?興味を持ってもらうためにその理由だけは簡単に書いておきましょう。
ドナルドよりも前に誕生したミッキー・マウス。彼は「あっ!」という間に人気者の優等生に。
気づけば模範生になってしまったミッキー、でも漫画やアニメーションは無茶苦茶をしてくれるキャラがいないと成り立ちません。さてどうしましょう?もうお分かりでしょう?こうして誕生したのがドナルドです。

その後ドナルドはミッキーと並ぶ人気者になり、今ではミッキー以上の出演本数を誇る、ディズニースタジオの人気俳優となりました。
様々な映画に出演してきた彼ですが、彼の人生は中々どうして波乱万丈です。南米との国交の為、南米に渡ったり、戦争時には国を盛り立てるために軍隊に入ったり。ディズニーの経営状態や彼の作品はその時代性に大きく揺さぶられてきたのです。

本書はこのようにアメリカ史を振り返りながらディズニースタジオを追うこともあれば、ドナルドの作品をゆっくりと紹介しながら彼の性格を物語ってくれたりもします。

この本の1番の売りは、ドナルドに対する著者の愛情を終始感じられることにあります。
実は冒頭で、著者がドナルドをどんなに好きか、あらわす可愛いエピソードがあるんですが、案外それが本書で1番の見所だったりするかもしれません。