逃亡作法 TURD ON THE RUN 宝島社文庫/東山 彰良

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「先日このミステリーがすごい!」についての記事を書いていて思い出したので、ちょっと懐かしい作品を。
まあ評価が1つ星なんで、何でわざわざ、と思われるかもしれませんが、こういう時期ってこのミス大賞の過去の受賞作でも読んでみようか、なんて人もいらっしゃるかもしれないので。

この年(このミス第1回です)は
金賞:浅倉卓弥『四日間の奇蹟』
銀賞・読者賞:東山彰良『逃亡作法 - TURD ON THE RUN』

そして隠しだまに、以前ご紹介した
上甲宣之『そのケータイはXX(エクスクロス)で
と割と話題になった作品が多い年でした。

そんな中で比較的評価の高かった本作なのですが、ん~…。
発想は面白いです。死刑制度がなくなった未来の世界。受刑者達は首にマイクロチップを埋められ逃亡を計った際には目玉が飛び出す「アイポッパー」を身体に埋め込まれている。しかしとある事件をきっかけに解除されるアイホッパー、脱走に成功した囚人達の運命や如何に。
まあバトルロワイアルなんかが随分騒がれた時期でしたから、こういったアイデア小説がいける!とでも思ったんでしょうかねダラダラ、ダラダラ大した展開も無く繰り広げられる脱出後の囚人達の小競り合いや離合集散。しかも彼らの論理が反抗期の子どものような話で聞くに堪えません。そのくせ妙にハードボイルドタッチだったりして…。
宮部みゆきの模倣犯や京極夏彦の作品は1000ページだろうと2000ページだろうといくらでも読めます。ただ筆力の無いこの作者の場合200ページが限界です。というよりはそのくらいの長さでとどめておけば、テンポの良い案外読める作品になったかもしれません。

この作者もそうですが、以前紹介した「となり町戦争」や「リアル鬼ごっこ」など、新人が面白そうなアイデアを思いついて、それに頼り切った作品は危険なものが多いですね。