そのケータイはXX(エクスクロス)で (宝島社文庫)/上甲 宣之

¥830
Amazon.co.jp

☆☆
ある村のひなびた旅館の一室で拾った1台の携帯。その電話で途切れ途切れに男が語ったのは、「逃げろ。今すぐ脱出しなければ片目、片腕、片脚を奪われ、“生き神”として座敷牢に一生監禁さるぞ」
背表紙にはこの辺りのエピソードが原文そのままに載せられていてかなり面白そうな作品だな。と思った記憶があります。
実際読み出すと生き神云々のエピソードを強化するためか、民俗学を専攻する主人公が冒頭に柳田の説を披露したりして今後の展開を期待させられます。
ところが面白いのは20ページくらいまでで後半は散々です。切迫感を出すためか狭いところを移動したり、身動きが取りにくい場所で争ったりもしますが、筆力がないので、どんな状況で争っているのか、よくよく読み込んで考えてみないと頭に入ってきません。クライマックスもここまで引っ張って来ておいて何で彼にこんな設定を持ってきたのか、そしてそれにしたって主役の子はこんな行動をとるだろうか?と作者の意図が全く読み取れないません。

極めつけが女ターミネーターです。ネタばれは避けたいので詳細には書きませんが、主役側のキャラクターがあるキャラクターと戦いを繰り広げるのですが、まあ死なない死なない。
こういう作家ってなんか勘違いしてますよね。相手が格闘家やら軍人ではなく、一般人が異様な身体能力を発揮することで身近に潜む恐怖でも演出したいのかもしれませんが、それがその日常と言う土台を全部崩してしまっているんですよね。
まあそれでもパニックムービーとして読めばそこそこ読めるので2つ星です。

あっ!本当にキャラ物パニックムービーになってんだ!!
↓↓↓
XX エクスクロス 魔境伝説

¥3,591