hon-nin列伝 セキララなオンナたち (本人本)/吉田豪

¥1,554
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☆☆☆☆
スーパー・インタビュアー吉田豪が聞き出す、トップ女性たちの赤裸々人生!!

「痛い目に遭っても、結局また信じちゃう(笑)」(荻野目慶子)
「ブログって日々の老いを刻んでることだったりも……」(中川翔子)
「シンプルだね。美味しいか美味しくないかだけ」(土屋アンナ)
「ザリガニは……美味しかったですよ!」(麻生久美子)
「私っていつも病気の最先端をいってるんですよね」(広田レオナ)
まえがき&あとがき代わりの「吉田豪“本人”インタビュー」(インタビュアー・松尾スズキ)も収録!!
(amazonより)

先日は吉田豪の『元アイドル!』を紹介しましたが、これも同ジャンルのインタビュー本です。
ただし個人的にはこちらの方が星1つ分評価を高くしました。理由は対象へのインタビューの深度と初出の話の多さです。

あちらは10人以上のインタビューが詰まった本で、こちらは5人ですから多分に分量の影響はあると思われますが、「本人」がよく見える本という意味で圧倒的にこちらの方が深いところまでもぐっています。

この手の本の醍醐味は意外な人物像、あるいは想像以上の人物像が浮かび上がることにあります。
例えば前者はショコタンが実は漫画が嫌いとか、土屋アンナが普段はスカートしかはかないというようなことで、後者はショコタンが休日はもう3年間も家から一歩も出ず全百巻に及ぶマンガを執筆しているとかそんなことです。(あくまでわかりやすく言えばですが)

それでいくと
荻野目慶子→かなり意外な人物像
中川翔子→割と想定内
土屋アンナ→全くイメージどおり
麻生久美子→ものすごく意外な人物像
広田レオナ→想像通りだが、想像していた以上の人物像

芸能人である以上、やはり皆それぞれ過剰な人物であり、彼女たちはそれを切り売りして生活しているわけですから我々もそれは知っています。例えばショコタンや土屋アンナなんて過剰な人物像がうけて売れているわけだから、その方向性で驚かせるにはよっぽどのことがないと難しいわけです。本書で言えばショコタンは多少想像を上回る人物ですが、土屋アンナはパブリックイメージそのものでした。ちょっと意外そうなことを語っても「ああ、やりそうだよね」という感じです。
それで言うと広田レオナの激動の人生は過剰な人物とわかっていたのに、それを上回る過剰さでした。異常ともいえる人生経験と、過剰な振る舞いの裏にある激しい内面、こんなに凄まじい人だったのかと思わされます。

しかし本書での目玉は広田レオナではなく荻野目慶子と麻生久美子です。彼女たちは想像しているのとは全く違うバックボーンを持っています。
前者は語り口から匂ってしまうその文学的かつ退廃的な存在に驚かされましたし、後者は稀有な体験と独特のパーソナリティーでイメージを覆されました。

芸能人へのインタビュー本としては相当に深い1冊だと思います。彼女たちのファンでなくとも(少なくとも私はちがいます)、楽しめる1冊です。