ファッション:ブランド・ビジネス (カルチャー・スタディーズ)/山室 一幸

¥1,260
Amazon.co.jp

☆☆☆☆
WWD編集長、山室 一幸がファッションブランドビジネスについて語った1冊。これ1冊でハイファッションの歴史や意味を学ぶことが出来ます。
オートクチュールやプレタ・ポルテがどのような経緯で登場したのか?ココ・シャネルやクリスチャン・ディオールといった歴史的な大ファッションデザイナーは如何にして登場し、彼らの作品はモード史に何を残したのか?と言ったファッションブランドの本流に関する話は当然として、それ以外にもカルバン・クラインやラルフ・ローレンといったアメリカンファッションブランドの特徴や歴史も紹介されています。
勿論コム・デ・ギャルソンやイッセイ・ミヤケといったジャパニーズファッションブランドにも言及されています。

また、アメリカや日本のブランドの国内情勢のみならず、こういった国のブランドが世界のファッション業界にどんな足跡を残し、いかなる波紋を与えてきたのかといった点にも重点がおかれています。これはヨーロッパ以外のブランドがヨーロッパに及ぼした影響という大くくりな物だけでなく、時代時代に応じてヨーロッパ内のそれぞれの国の隆盛についても目が向けられています。これによりどの時代に何処の国が誰の登場によりファッション業界に強い影響を持っていたか、といったヨーロッパファッション業界の勢力図も見て取れます。

こういったファッションブランドそのものに関する評価に加えファッションジャーナリストやコレクション、近年急速に進む大手資本のブランド買収といった点についても記されており、正にファッションブランド・ビジネス全体を学ぶことが出来る1冊となっています。最終章では「A BATHING APE」のNIGOや「アンダーカバー」のジョニオにも僅かながら語られており、比較的新しい情報まで網羅されています。

浅く広くファッションを学べる内容なので、凄く面白い本、とは言いがたいですが、これ程バランスの良いファッション本はちょっと珍しいと思います。amazonで購入したのでその辺のことは良く分かっていなかったのですが、ぽいな、ぽいなと思っていたら佐藤可士和デザインだったんですね。