タカイ×タカイ (講談社ノベルス)/森 博嗣

¥998
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☆☆
シリーズ第3弾。2009年2月現在でXシリーズ最新刊です。
マジシャン牧村亜佐美の自宅にある15mのポール上に掲げられた死体。犯人の正体とその目的は…。

今作は小川令子、真鍋瞬市、探偵鷹知祐一郎の3人に加え西之園萌絵が頻繁に登場するようになりました。その絡みで椙田のオタオタするシーンも増えます。これは「四季 秋」を読んでいないといまいち理解できないかもしれませんが、恐らくこのシリーズ内でも後々説明されると思います。この2人の邂逅はいずれ訪れるでしょうから。

ストーリー的にはベーシックなミステリーで、それなりには楽しめるものの、トリックはかなりテクニカルなものなので、それを推測する楽しみはありませんね。また複数の容疑者と思しき人たちが登場するのですが、それが明らかになり始めるのがかなり終盤で犯人を予想する楽しみもありません。ネタは悪くないんですが、トリックもプロットもあまり出来が良いとは思えません。

さてこのシリーズはマジシャンが登場すると言うことでもしかしたら、と思っていたらやっぱりS&Mシリーズの「幻惑の死と使途」からあるキャラクターが登場していますね。また事件のトリックに近い部分で「幻惑の死と使途」からの流れを感じさせるネタもいくつかありました。全体を通して「幻惑の死と使途」のオマージュのような作品でした。まあ自作ですからオマージュっていうのも変な話ですが。ちなみに「幻惑の死と使途」については読んでいればより一層楽しめると言う要素が含まれているだけで、別に読んでいないと本作で分からない場所がでてくるといったことはありません。

これまでにご紹介したXシリーズ
「イナイ×イナイ」☆☆☆
「キラレ×キラレ」☆☆
「タカイ×タカイ」☆☆

これまでにご紹介したGシリーズ
「φは壊れたね」☆☆☆
「θは遊んでくれたよ」☆☆☆
「τになるまでまって」☆
「εに誓って」☆☆
「λに歯がない」☆☆
「ηなのに夢のよう」☆☆

幻惑の死と使途―ILLUSION ACTS LIKE MAGIC (講談社文庫)/森 博嗣

¥820
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