四季 秋 (講談社文庫)/森 博嗣

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☆☆
に続きシリーズ第3弾です。
今作はこれまでの2作品とは違い、真賀田四季本人は登場しません。彼女の存在は匂わすのみで、実際には彼女を追う人たちを描いた作品です。

そして彼女を追う人物の中心として描かれるのがS&Mシリーズの主役を務めた犀川創平、その人です。そんなこんなで本作はその後のS&Mシリーズの様相をなしていくわけです。舞台はS&Mシリーズ最終作「有限と微小のパン」から10ヵ月後です。これはS&Mシリーズファンにはたまらない展開ではあるわけですが、一方でこれまでの四季シリーズとは大きく色が変わるため、万が一四季シリーズから入られた方がいたとしたら相当戸惑われるかと思います。

また本書はS&MシリーズとVシリーズの接点の全貌を明らかにした作品でもあります。これは両シリーズを読破されてる方にとっては驚きの連続なのでしょうが、Vシリーズを読んでいない私にとってはむしろ何がなにやら、という展開でしたね。読んでいない私が悪いのでしょうが、どのシリーズから読んでもらっても構わないという作者の主張からすると本作はあまり良い作品とは言い難いです。つまりS&Mシリーズの後日談が読める、Vシリーズとのつながりが分かる、といった部分を除外して読むと文学としてもミステリーとしても面白みに欠ける作品なんですよね。

とりあえず第4弾冬に期待したい、というところですね。

四季シリーズをまとめた「四季シリーズまとめ」はこちら

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