εに誓って (講談社ノベルス)/森 博嗣

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☆☆
今回はバスジャックものです。
山吹早月と加部谷恵美が乗ったバスが拳銃を持った犯人にジャックされます。バスには爆弾も仕掛けられ正に危機一髪の状況。2人は無事生還できるのか!!

森さんの今までの作品には無かったタイプのストーリーです。また物語が展開されてもこういったタイプの作品にありがちな犯人と警察との交渉や、バス内でのアクションなどもなく、一体この作品が何処に向かって進んでいるのかは丸っきりつかめません。そういった意味では最後までドキドキしながら読める作品だと思います。(まあトリック自体は比較的わかりやすいんで、それが分かってしまうと最後まではドキドキはできないかもしれませんが…)

ただその一方で、前作同様、作品内でしっかり完結しない要素など、シリーズ物としてずっと追いかけていく気がない読者以外は置き去りにされているきらいがあります。またメインキャラ以外の乗客の暗~い心理描写が延々と続いたり、と作品自体にも余計な描写が多すぎます。あるいはその辺りも今後に向けての複線の可能性もありますが、そういった要素を全て取り除いてしまうとぺらぺらの作品になってしまうんですよね。

前作の書評でも書きましたが、やはり旧シリーズ含め森博嗣作品を延々と追っていく読者以外楽しめない感じになってきていますね。単純なスピンオフとかスターシステムとかではなく、旧シリーズのキャラクターやエピソードが新シリーズの複線になっていたりと、何10冊と読まないとついていけないレベルになりつつあると思います。ここまで読んだ以上、私は追いますが作品単体としてのレベルはちょっとマズイ感じになりつつあると思います。