恋恋蓮歩の演習―A Sea of Deceits (講談社文庫)/森 博嗣

¥730
Amazon.co.jp

☆☆☆
世界一周中の豪華客船ヒミコ号に持ち込まれた天才画家・関根朔太の自画像を巡る陰謀。仕事のためその客船に乗り込んだ保呂草と紫子、無賃乗船した紅子と練無は、完全密室たる航海中の船内で男性客の奇妙な消失事件に遭遇する。交錯する謎、ロマンティックな罠、スリリングに深まるVシリーズ長編第6作。(amazonより)

mixiの森博嗣コミュVシリーズ人気投票で1位だった作品です。ラスト1行で全てをひっくり返す類のミステリーですね。よく出来ています。とは言え後半まで来ると推理できてしまう人も少なくは無いんではないかと思います。客観的に考えてもミステリーの推理力、中の上程度の私でも分かってしまったのでそれ程度肝を抜かれる展開ではないかもしれませんね。とは言え全く推測できないミステリーと言うのもそれはそれで問題ありなわけですから、そう考えると決して悪くは無いです。ミステリーは読者が届きそうで届かない僅かな隙間を通す職人作業ですからね、難しいですよね。それでもS&Mシリーズの同系統の作品「今はもうない」と比べるといまいちテンポと驚きに欠けるかな?なんでしょうかね、やっぱりキャラ設定がS&Mシリーズの方が上手かったんですかね。

ちなみにこの作品はVシリーズ第5弾で、この作品の前作に当る「魔剣天翔」の続きもの的な要素が入っています。前作を読まなければ分からないというレベルではありませんが、読んでおいた方が楽しめるのは間違いありませんから極力読んでおくべきでしょうね。

これまでご紹介したVシリーズ
「黒猫の三角」☆☆☆☆
「人形式モナリザ」☆☆
「月は幽咽のデバイス」☆☆
「夢・出逢い・魔性」☆☆
「魔剣天翔」☆☆☆