黒猫の三角―Delta in the Darkness (講談社文庫)/森 博嗣

¥730
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☆☆☆
ついにVシリーズにまで手を出してしまいました。
だって四季シリーズやGシリーズにやたらと瀬在丸紅子や保呂草潤平が出てくるんだもん。Gシリーズの赤柳初朗の正体はVシリーズに登場した誰かみたいだし…。

さて書評です。
1年に1回、ぞろ目の日付にぞろ目の年齢の者が殺される連続殺人事件。その条件に当てはまる小田原静江の元に脅迫状が送れられてくる。彼女は探偵保呂草に警護を依頼する。しかし事件は起こってしまう。現場には保呂草、瀬在丸に加え小鳥遊練無、香具山紫子といったVシリーズ主要キャラが総出で居合わせ、彼らが密室であることを確認している。果たして犯人とそのトリックは…。

この作品はシリーズ第1弾と言うこともあってかキャラクターの解説にページ数が使われている印象ですね。物語自体に対して考えれば長すぎる印象です。またS&Mシリーズの後半からちょくちょく出始めたロジカルかつ文学的哲学的な表現がかなり長めに登場し、シリーズ1弾目としては少々濃厚な印象です。個人的にはちょっと余計ですね。

トリック自体は森博嗣お得意の既存のミステリー(今作の場合既存のシリーズモノミステリーと言った方がいいかも)の常識をひっくり返すことでトリックを作るという手法が使われていました。ちなみに私は騙されました。この人の作品の場合は事前情報を全く得ない状態でかつミステリー慣れしていない人の方が推理はし易そうですね。この作品の場合なんか特にそうです。「フラットな状態で読めばごく自然に分かったはずだったのに!」って思いましたもん。その辺の作り方は反則ギリギリなんですが非常に上手いですよね。やられたなって感じです。

とは言えこのシリーズS&Mシリーズほどには魅力を感じないので最後まで読むかどうかはあと数冊読んで決めたいと思います。