家日和 (集英社文庫)/奥田 英朗

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会社が突然倒産し、いきなり主夫になってしまったサラリーマン。内職先の若い担当を意識し始めた途端、変な夢を見るようになった主婦。急にロハスに凝り始めた妻と隣人たちに困惑する作家などなど。日々の暮らしの中、ちょっとした瞬間に、少しだけ心を揺るがす「明るい隙間」を感じた人たちは…。今そこに、あなたのそばにある、現代の家族の肖像をやさしくあったかい筆致で描く傑作短編集。
(amazonより)

家族をテーマにした短編集。
読み始めてまず疑うのは、この人たちも「いや~な感じ」におちいってしまうのだろうか?という懸念です。それはこの作品においても『邪魔』や『最悪』や『ララピポ』を髣髴とさせる落とし穴と言うには浅過ぎる、溝のようなものが登場するからです。
上記の作品群ではそんな些細なつまずきから、事態はドンドン悪い方向へ転がっていくのですが、本作では「家族」という救いによって暖かい着地を迎える短編集です。

テイストはこれまでこのブログでご紹介した奥田さんの作品と同様、物語全体としてはなんでもないものだけど、圧倒的なディテールによってドンドンのめりこまされていきます。文学的な奥行きも社会的な風刺もあっと驚くミステリー的な展開もありませんが、ディテールの丁寧な描写によって登場人物たちの行動に共感を感じ、気づけば虜になっていくことでしょう。

最悪 (講談社文庫)/奥田 英朗

¥920
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