歌舞伎町・ヤバさの真相 (文春新書)/溝口 敦

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☆☆
欲望・エロス・犯罪の都は、いかに生まれ、どこに向かうのか。恐怖の根源をたどり、歓楽の核心・我われの心性に迫る。六百メートル四方の「世界一ヤバい街」の正体とは―。 (amazonより)

久しぶりに溝口さんの本を読んでみました。
本書はタイトルの通り、日本でも屈指の危険な街、歌舞伎町を取り上げた本です。さて冒頭で筆者自身も語るように、ヤバい街のはずの歌舞伎町、しかし首都圏に住んでいれば、大学生以上の方々なら大抵足を運んだことがあるでしょう。しかしそこで危ない目にあった、という方は少ないのではないでしょうか。少なくとも私自身はないし、友人からそんな話を聞いたこともないです。それでも聞こえてくるヤバいネタ、や危険なイメージ。
「それって本当なの?」「じゃあどうヤバいの?」というのが本書のお題なわけです。歌舞伎町の歴史から性産業、外国人マフィアまで多角的に描いた作品です。

のはずなんですが、どうも話があっちゃこっちゃ行っちゃっててまとまりがいないんですね。性産業の話を書いていたのに、突然歌舞伎町の歴史を書きだしたり、外国人マフィアを書いていたはずなのに、急にGHQやらキャノン機関の話になっちゃったり。勿論、それらの話も無関係ではないのですが、もうちょっと上手いこと構成できたよね、といいたくなる流れなんですね。
要はこの本、「語り」っぽいんです。例えば小中学校の歴史の先生なんかが戦国時代の話をしていると唐突に「実は上杉謙信っていうのはな…」って始めちゃう感じの。そういった脱線とかって口上で聴いている場合には面白いんですよね。でも本に何を求めるのかと言えばきちんと構成された、あるテーマを体系的に読めることであって、あっちこっち話を飛ばしながらの細かい雑学を聞きたいわけじゃないんです。実際、「で?何の話なんだっけ?これ?」となることが多かったですし。あるいは、これ文春新書なので週刊文春あたりに連載されていたものをまとめた可能性もありそうですね。一昔前なら週刊誌連載を新書にするなんてことはなかったと思うんですが、最近の新書を見渡せば十分にあり得そうですね。週刊誌の連載なんかの場合は、耳学問にちかいので口上調に話がそれていくのもそれはそれで面白いですし。

テーマは面白いですしこういったジャンルの一次情報には事欠かない(というかしっかりと取材をする)溝口さんですから、しっかりと構成されたものであればもっと面白い本になったと思うんですがね。もったいない。

この人の本なら5つ星をつけたこれがお勧めです。
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