六人の超音波科学者―Six Supersonic Scientists (講談社文庫)/森 博嗣

¥680
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☆☆☆☆

土井超音波研究所、山中深くに位置し橋によってのみ外界と接する、隔絶された場所。所内で開かれたパーティに紅子と阿漕荘の面々が出席中、死体が発見される。爆破予告を警察に送った何者かは橋を爆破、現場は完全な陸の孤島と化す。真相究明に乗り出す紅子の怜悧な論理。美しいロジック溢れる推理長編。(amazonより)

落とされた橋、怪しげな洋館で起こる殺人事件。本格の匂い満載ですね。とは言いつつも舞台となる洋館は世界的な超音波学者達の住居であり、共同研究の場でもあるので、やっぱり会話は理系です。今回は閉ざされたスペースが舞台となっていますので終始緊迫した空気が漂い、良い意味で森博嗣らしからぬ作品に仕上がっています。また解き明かされるトリックや館に秘められた秘密も非常にクリアーな論理展開でミステリーとしても良い出来です。(最近の森ミステリーがろくなトリックも用意せず事件解明さえしないことを考えるとなんて良心的なことだろうか)

Vシリーズの中では比較的地味な作品だと思いますがここまでの7作の中では個人的にはベストです。王道ミステリー的な作風なので所謂森博嗣ファンには物足りないかも知れませんが、一般的なミステリーファンであれば同意をしてくださる方も多いと思います。

これまでにご紹介したVシリーズ
「黒猫の三角」☆☆☆☆
「人形式モナリザ」☆☆
「月は幽咽のデバイス」☆☆
「夢・出逢い・魔性」☆☆
「魔剣天翔」☆☆☆
「恋恋蓮歩の演習」☆☆☆