ナイチンゲールの沈黙(上) [宝島社文庫] (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)/海堂尊

¥155
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☆☆☆
東城大学医学部付属病院・小児科病棟に勤務する浜田小夜。担当は、眼球に発生する癌―網膜芽腫(レティノブラストーマ)の子供たち。眼球を摘出されてしまう彼らの運命に心を痛めた小夜は、子供たちのメンタルサポートを不定愁訴外来・田口公平に依頼する。その渦中に、患児の父親が殺され、警察庁から派遣された加納警視正は院内捜査を開始する。小児科病棟や救急センターのスタッフ、大量吐血で緊急入院した伝説の歌姫、そこに厚生労働省の変人・白鳥圭輔も加わり、事件は思いもかけない展開を見せていく…。
(amazonより)

「チーム・バチスタの栄光」の続編です。ネットでの書評を見ると「チーム・バチスタの栄光」の評価が非常に高く、これを読んでがっかりした、という声が多いみたいですね。
私の感想はと言うと、どちらの作品も同程度の水準であると感じました。ただしこちらの作品はSFやファンタジーとしての要素が強く、前作的なミステリーを期待した方ががっかりされたのかな?と思います。とは言え私が思うに前作もミステリーとして読めば結構粗が目立つ作品であり、犯人探しやトリックを推理して楽しめるようなレベルの作品ではなかったと思います。この段階では長編2作目なので単に成長過程であるだけな可能性もありますが、恐らくはこの人の作風としてミステリーとかファンタジーとか枠にはめられた作品として考えるよりもエンタテインメントドラマとして楽しむのが良いのだと思います。
ただ、今作も前作に続き、というか前作以上に冗長な印象ですね。余計なことに字数をかけすぎてる印象です。まあこの辺りのことは技術的な問題なので作品を重ねるごとに向上していくとは思われますが。

さてこの作品は映画公開も始まる「ジェネラル・ルージュの凱旋」と同時期に起こった事件を描いていると言うことで次作を読んだ時に合わせてどんな印象を持つか楽しみにしています。