「ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命」
を観てきました。Fan’s Voiceさんの独占最速試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
1938年、ミュンヘン協定が調印されてからわずか数週間後、29歳のロンドンの株式仲買人ニコラス・ウィントンはチェコスロバキアを訪れた際、プラハでナチスから逃れてきたドイツとオーストリアの家族と出会う。彼らユダヤ難民はプラハで住居も十分な食料もない悲惨な生活を送っていた。
ニコラスは、英国難民委員会のプラハ事務所長のドリーン・ワリナーに会い、難民キャンプの現状を見せてもらうとあまりにも劣悪な環境だということを知る。ドイツが侵攻するまでに子供だけでも英国へと避難させようと思ったニコラスは、同志たちと共に子供たちのビザを手に入れるために奔走します。ナチスの侵攻が予想され、国境がいつまで開かれているのかが不明瞭なため、出来るだけ沢山の子供を早い列車に乗せて英国へ送らなくてはなりません。
自身もドイツ系ユダヤ人の移民で、その後英国国教会に改宗したニコラスの母親のバベットに支えられ、イギリスに逃れてくる子供たちの里親探しも始めます。プラハからの送り出しを仲間のトレヴァーとドリーンに任せ、バベットが教会の力を借りて里親を探します。ニコラスはプラハとイギリスの間を行き来し、子供たちの世話をしていたのだが、とうとうドイツの侵攻が始まり、最後の列車に乗せた子供は助けることが出来なかった。
それから50年後の1988年、現在79歳のウィントンは妻のグレーテに部屋が汚いと怒られ、自室の荷物を片付けています。机の引出しに入っているカバンを見て、昔のことを思い出します。カバンの中にはプラハから助けた子供たちの資料が入っているのでした。その書類をどうしようかと考え、連絡を貰ったメディア王の妻ベティ・マクスウェルに渡すことにする。
それから数日後、BBCから連絡があり、テレビ番組に招待される。あの書類についての話があるらしい。そして…。
後は、映画を観てくださいね。
ドイツのユダヤ人虐殺からユダヤ人を助けようとした人って、シンドラーさんや杉原さん以外にも、何人もいたんですね。以前、ユダヤ人を動物園でかくまった「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」という映画もあったし、他にも多くいたようです。こういうことって、映画とかにならないと知ることが無いので、今回は驚きました。
チェコスロバキアからイギリスに、ユダヤ人の子供を列車で送って助けたニコラス。仕事でチェコスロバキアに行ったはずなのに、ユダヤ人の子供を助けることを始めてしまいます。自分の母親もユダヤ人で移民ということもあり、ほおっておけなかったのかなと思いました。そして母親のバベットもニコラスに協力をしていきます。
いつドイツが侵攻してきてもおかしくないような状況で、子供たちのビザを発給し、列車に乗せるという大変な作業をしなければいけないんです。誰もが逃げたいのでビザの発給を求めて大使館に押しかけているので、その中で子供だけでも助けたいというニコラスたちの願いを聞いて職員が必死でビザを発給してくれるのですが、それでも数は限られてしまいます。
それでも沢山の人の努力で、669人の子供をイギリスに送ることが出来ました。でもニコラスはもっともっと助けたかったんです。ドイツ侵攻が始まり、最後の列車に乗るはずだった子供はドイツ軍に捕まって収容所に送られてしまいました。何年たっても、その記憶は忘れることが出来ず、カバンの中にしまった資料をどこかに預けることも、捨てることも出来なかったんです。
その資料のことを友人に話すと、彼から話が伝わって、メディア王の妻ベティから連絡が来ることに。ベティはそんなに凄い救出劇だったとは知らず、1人か2人くらいを助けたのかと思っていたんです。そして資料を見て驚くんです。そこから、話は夫に伝わり、BBCから連絡が来ることになるんです。
助けてから50年。あの子供たちは養子としてイギリス家庭に貰われて、その後はどのように育ったのかは分かりません。でも、きっと幸せになっているだろうとニコラスは願っていました。助けられなかった子供たちの分も幸せでいて欲しいと思っていたんです。ニコラスは自分の功績を誇ることも無く、ただ、助けられなかった子供たちへ思いをはせていたんじゃないかな。だから、カバンをどこにも渡せなかったし、引き出しのカバンを見ては、また引き出しを絞めていたように思いました。
でも、やっと資料を役立ててくれる人に渡り、ニコラスのやったことが人々の知るところになったんです。別にニコラスはこんなに助けたんだとかを人に言いたかったのではないと思います。資料に書いてある子供たちに、資料にはそれぞれの出自や家族のことも書いてあるので、それを知らせたかったんじゃないかな。養子としてイギリス人家庭に入ったけど、戦争が終わったら親の所に帰れると話をしていたので、あの戦争後にどうなったのか、話を聞きたかったのだと思います。
ユダヤ人救出のお話は辛いものばかリで、観ていてどうしても泣いてしまいます。なんでこんな酷いことが起こってしまったんでしょうね。同じ人間なのに、この人種は邪魔だから始末するだなんて考えられません。戦争していて殺し合ってしまうのは、ある程度理解は出来るんです。でも無抵抗のユダヤ人を大量殺戮するなんて、本当のところ何がきっかけだったんでしょう。大人も子供も全て片付けるなんて恐ろしいです。
映画「関心領域」で描いていますが、あの精神状態は異常です。この映画では、どのように殺されたかなどは一切描かれませんが、子供だけで英国へ逃げて、戦争が終わって調べてみたら両親はアウシュヴィッツで殺されたとか、最後の列車に乗るはずの兄弟は収容所に連れていかれたとか、ほとんどが亡くなっていたんです。ドイツ軍が酷いことをしたということが解りますよね。
あの戦争で、ユダヤ人たちは大人しくしていたらまた同じようなことをされるかもしれないと思って、もう大人しいのを止めて戦うことにしたんでしょうね。だからイスラエルはやられる前にやるというスタンスにしたのかなと思います。でも虐殺はダメですよね。自分たちがされたことと同じことを他の人にしているんですから。
話を戻して、この映画、私は、超!お薦めしたいと思います。とても良い映画でした。派手な映画ではありませんが、最後の方は号泣してしまいました。ニコラスに本当の笑顔が戻って良かった。669人を助けて、その子供や孫、家族たちが集まると6000人くらいになるんです。沢山の命が繋がっているんです。それが素晴らしいと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命」