「ロザリー」19世紀フランスに実在した髭の女性をモデルに生きづらい世の中をシビアに描いています。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ロザリー」

 

を観ました。Fan’s Voiceさんの独占最速オンライン試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

1870年代、フランス。ロザリーは生まれた時から多毛症に悩まされ、そのことを周囲に隠し続けてきた。田舎町でカフェを営むアベルと結婚し店を手伝うことになった彼女は、自分のヒゲで客が集まるかもしれないと思いつく。アベルはそんな彼女の行動に嫌悪感を示すが、いつしかその純粋で真摯な姿勢にひかれていく。

というお話です。

 

 

生まれた時から多毛症に悩まされるロザリーは、その特別な秘密を隠して生きてきた。父親はそんな娘を心配し、田舎町でカフェを営むアベルとの結婚話を決めてくる。アベルは借金があり結婚することで彼女の持参金を目当てにしていたのだ。

アダムと結婚したロザリーだが夫はロザリーの多毛症を知り初夜は逃げ出してしまう。ロザリーは店を手伝うことになり、ある日お客たちの間でサーカスでの奇妙な姿の人間が話題になっており、どーせ偽物なんだろうという声が聞こえてきた。ロザリーは私なら本物が見せられると考え、アダムに髭を生やして店に出たら宣伝にならないかと話をする。



 

始めは彼女の提案に反対し嫌悪感を示したアベルだったが、店に出てみると思ったよりも村人が楽しんでいることに驚く。ロザリーは本当の自分の姿で村人に接することが出来て喜んでいるようで、その純粋で真摯な彼女に次第に惹かれていく。しかし工場経営者のバルセリンは彼女のことを良く思わず嫌悪感で彼女を遠ざける。

ロザリーは本当の自分をさらけ出すことで生きる希望を見つけ、段々と大胆に自分を人前に晒していく。果たして、ロザリーは本当の自分の姿を愛して貰える幸せと真の自由を見つけることが出来るのか。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画は、

19世紀フランスに実在したヒゲを生やした女性クレマンティーヌ・デレさんのお話をモデルに作られたそうです。監督のアフタートークによると、実際のクレモンティーヌさんの時代より少し前の時代としてロザリーは描いたと言っていました。

 

映画で描いた時代は、普仏戦争でフランスが負けてしまい、人々の気持ちが沈んでいた頃だそうです。そんな暗い時代に明るい話題を提供したロザリーでしたが、不謹慎と考える人もいるわけで、人々の暗い気持ちを描いたそうです。

 

 

ロザリーはホルモン異常で多毛症となってしまったようですが、他は何の問題もない人なので、別に髭を剃っていれば普通に暮らせたと思うんです。でもそれを晒して、”髭の生えているロザリー”を知って欲しかったんです。でも村の人々は自分と違う彼女を段々と嫌悪していきます。最初は見世物として見ていたので、そんなに問題にはしていなかったと思うんだけど、ロザリーはやり過ぎちゃったんだと思うんです。

 

ロザリーを面白いと思ったカメラマンたちが彼女の写真をブロマイドにして、それを売り始めるんです。ロザリーは段々と色々な衣装で写真を撮るようになり、最後の方では太ももを出して胸もはだけたような衣装でポーズをとっていたんです。それは問題になるだろうなぁと思っていたら、やはりその写真が大問題になっていました。

 

 

自分を理解して欲しいという気持ちはすごく解るし、人に好かれたいというのも解るんです。SNSの承認欲求と同じですから。でもね、いつの時代にもやり過ぎると炎上するんです。必ずしっぺ返しが来る。とうとう村人たちはロザリーとアベルに嫌がらせを始めるんです。虐めですよね。村人たちは自分たちと同じように静かに大人しく暮らして、淡々と仕事をこなして生活をしていくことが正しいと思っているので、自分たちと違う事をする人間を許さないんです。結構酷い虐めでしたよ。

 

 

郷に入っては郷に従えという言葉がありますが、まず周りと同じように、そこのルールに乗っ取った行きかたをしてみるべきだと思います。そして変えたければ少しづつ自分の要望を話して許して貰えるようにしないと怒られますよ。社会はルールに乗っ取って動いているので、自分勝手にしてしまえば、反感を買うことになります。

 

女性が髭を生やす姿が奇妙に見えたのかもしれませんが、病気でなっているのですから、それに文句を言ったりするのは間違っていますよね。でもこの時代はまだ男尊女卑が強く、女性が髭を生やしているというのは、男性にとっては重要なアイテムを取られたような気持ちで嫌な事だったんじゃないかな。髭は男のモノという感覚があったでしょうから。女性は男の庇護の下で生活をするという事が常識だった時代ですからね。

 

 

女性たちは複雑だったんじゃないかな。男性のモノとされていた髭を生やしている女性が出てきたんですから。ロザリーのことを不思議に思いながらも喜んで応援している女性と、気持ち悪がって近づかない女性がいました。最後には彼女の味方をする人はいなくなるんですけどね。一瞬、女性も男と対等に生きられるようになって行くのかなと考えた女性もいると思います。なので男はロザリーを怖いと感じたんじゃないかな。

 

この映画は髭の女性を通して、人間が行う差別や虐め、村人全員で残酷な行為に及んでも誰も悪いとは思っていないという事に驚きました。周りもやっているんだから、自分がやっても大丈夫だろうという安易な考えで人に暴力を振るったり、酷いやり方だなと思いました。でもこれが人間の本質なんでしょうね。とても考えさせられる内容の映画でした。

 

 

私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。結婚というモノが何かをロザリーに与えてくれたけど、減った部分もあったんじゃないかな。色々な夫婦の形があるけど、この二人はとてもバランスが良いなと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ロザリー」