「ノスフェラトゥ」
を観てきました。Fan’s Voiceさんの独占最速試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
不動産業者のトーマス・ハッターは廃屋のようなグリューネヴァルト邸を購入するというオルロック伯爵との契約のために出張する。トーマスの不在中、彼の新妻であるエレンは夜になると悪夢に悩まされるように。時を同じくして、夫のトーマスやエレンが滞在する街にも、さまざまな災いが起こり始める。
というお話です。
1800年代初頭、エレンは特殊な能力を持っていたために親に疎まれ寂しく暮らしていた。ある日寂しさに耐えられなくなり、誰か自分を愛して欲しいと祈っていると彼女の祈りが謎の生き物を目覚めさせ、永遠に魔物のモノになることを契約させられる。
1838年、エレンはトーマス・フッターと結婚し、ドイツのヴィスブルクに住み始める。トーマスは不動産屋に勤めており、結婚を機に大きな取引を担当させられる。地方の城に住む老人オルロック伯爵がヴィスブルグに家を探しており、廃屋だが大きな屋敷のグリューネヴァルト邸を売る契約をするためにオルロック伯爵家まで出張してくるようにと言われる。廃屋で良いのかと社長に訪ねるがそれでいいと送り出される。
トーマスに出張を取止めてと懇願したエレンだったがトーマスは出かけてしまう。エレンは数日前から悪夢にうなされ、トーマスの身が危ないと感じていたのだ。
トランシルヴァニアのカルパチア山脈に住むオルロック伯爵の家に着き、契約を交わしますが直ぐには帰らせてもらえず、夜な夜な悪夢にうなされるトーマス。どうしても帰りたいトーマスは城から脱出を試み、オルロックに追われて城の下の川に落ちてしまい、教会の修道女に助けられることに。一方、オルロックは船でヴィスブルグに向かっていた。ペストを媒介するネズミと共に。
エレンはオルロックの接近を感じ取り、頻繁に発作を起こすようになってしまう。ヴィルヘルム・シーバース博士は彼の恩師である、アルビン・エバハルト・フォン・フランツに相談をします。アルビンはエレンがノスフェラトゥと呼ばれる悪魔の影響下にあると診断し、帰ってきたトーマスと共にエレンをノスフェラトゥから守ろうと動き出すのだが。後は映画を観てくださいね。
この映画、あのロバート・エガース監督作品です。今回も映像が美しく、怖さも倍増でした。モノクロのように見えますがフルカラーなんですよ。でも画面が暗い中をノスフェラトゥが蠢くので、まるでモノクロに見えるんです。その雰囲気がまた恐怖を膨らませてくれるんです。
このノスフェラトゥは1922年のサイレント映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」をベースに監督の考えを取り入れた作品です。何故ドラキュラじゃなくてノスフェラトゥなのかと不思議ですよね。なんか、1922年に作られた映画はドラキュラの原作者の許可を取らずに制作されたらしく、著作権の問題で名前だけは買えたけど、内容は全く同じだったので訴えられたそうです。だからノスフェラトゥはドラキュラと同一人物と思って良いのかなと思います。
ノスフェラトゥはトランシルヴァニアで寝ていたのに、寂しさから愛してくれる人が欲しいというエレンの願いが聞こえてしまい、彼女は神様に祈っていたと思うけど、つい自分が願いを叶えてあげようなんて気持ちになったようなんです。変な人じゃなかった変な吸血鬼よねぇ。で、エレンを愛すると契約をしたけど、それから何年もエレンが結婚をするまでほおってあったのよね。
ここら辺が変だなーと思うけど、なんで愛するって契約をしたのにそのまま放置されていたの?エレンを連れて行って、城でしあわせな結婚生活でもすれば良かったでしょ。ずっと放置しておけば、そりゃ、他の人と結婚するよ。どう考えてもエレンが悪いんじゃなくてオルロックが放置したのが悪いでしょ。
それでトーマスを監禁したり、街にペストを媒介するネズミちゃんを連れてきたりして、完全にオルロックが悪いと思うのよ。でも本人は自分は悪くないと思ってて、「エレンは俺の事を愛するって言ってたじゃん。」って言い張るのよ。いやぁ、その時はまだ子供だったし、寂しかっただけだよって言っても、約束は約束だからって言うのよね。もう何百年も生きている大人なんだから、そこら辺は理解しようよ。
今回はヴァン・ヘルシングはいないので、ウィレム・デフォー演じるアルビンがオカルト研究で、伝説や言い伝えを調査して解決策を見つけようとするんです。もー、”エレン”とか”アルビン”とか、「進撃の巨人」を思い出しちゃう。ミカサだけはいなかったけどね。
ノスフェラトゥは吸血鬼なんだけど、今回はちょっと違っていました。ニンニクや十字架は効かないみたいでした。ま、どこからそういうモノが吸血鬼に効くことになったのかが不明ですもんね。杭を打つと言っていたけど杭も効かないようでした。
そして一番重要なのが、首筋に噛みつくことはせずに、胸元に噛みついていました。首に動脈があるからと思っていたけど、心臓に噛みつくなら、その方が新鮮だし美味しいんでしょうね。女性に噛みつくとエロティックで素敵でしたが、男の胸に噛みつくのはちょっとどうなの?その胸板に噛みつけるの?マッチョな胸板に歯型が付いていたけど、それほとんど血は吸えなかったんじゃないかな。
ま、そんなこんなで色々とありますが、古い映画をリメイクではないけどベースにしているのでおかしな部分は仕方ないのかなと思います。でも映像は美しかったですよ。冷え冷えした雰囲気で、突然にエレンがホラー顔をするのでドキドキしちゃいました。眼から血が出てたり、オルロックに操られている時の顔は本当に恐ろしかったです。
エレンは子供の頃から未来予知が出来たりしたようで、それを父親が気味悪がり、彼女を遠ざけたんです。なのでエレンは寂しくて誰かに愛して欲しいと願ったんです。そこにオルロックが答えてしまったけど、それでも答えてくれる人がいたということはエレンにとって幸せだったんじゃないかな。恐ろしい怪物だけど、彼女を寂しくさせないオルロックは、彼女にとって助けだったのかもしれません。
でもエレンは自分の助けが悪魔だという事は理解していて、とても苦しんでいたと思います。「悪夢を観て苦しかったけど人が死んでいる光景を見て私は幸せを感じていた。」というセリフがあったのですが、これは悪魔の仕業に恐怖を感じて怖かったけど、自分と一緒にいてくれる人がいる幸せを感じていたのかなと思ったんです。彼女の複雑な心境を思うと可哀想な女性だったなと思いました。だから私はこの映画のラストはハッピーエンドだったと信じています。
エレンをリリー=ローズ・ディップさんが演じていて、以前よりも綺麗になったし凄みも出てきたなと思いました。親のおかげと言われるけど凄い努力をしたんじゃないかな。どんなに親が凄い役者でも本人が上手く無きゃ生き残れないですからね。今回は凄かったです。
トーマスの友人フリードリヒをアーロン・テイラー=ジョンソンさんが演じていたんだけど勿体なかったなぁ。もっと活躍するのかと思ったんだけど、ほどんど動きが無い人物でした。アーロンさん大好きなんだけど、今回は残念でした。でもそれを言ったら、オルロック役のビル・スカルスガルドさんは特殊メイクが凄いし、いつも影ばかりが多いので顔が解らないんです。うーん、場面は多いのに顔が見えないのは寂しいね。(笑)
この映画、私は超!お薦めしたいと思いました。ホラー好きや古い映画好きにはたまらないと思います。私は特に吸血鬼モノが好きなので、雰囲気が良かったなぁ。こんな霧の深い街を馬車で走るといったら、私は萩尾望都先生の「ポーの一族」のエドガーを思い出します。今回の吸血鬼はエドガーとは違ったけど、ポーの一族に出てくる”キングポー”は、このオルロックみたいな人なんじゃないかな。話が飛びましたが、素晴らしい映画なので、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ノスフェラトゥ」