「プロフェッショナル」
を観てきました。
ストーリーは、
1970年代、北アイルランド。長年、殺し屋として暗躍してきたフィンバー・マーフィーは引退を決め、正体を隠しながら静かに暮らしていた。ある日、首都ベルファストで爆破テロ事件を起こしたアイルランド共和軍(IRA)の過激派グループが町に逃げ込んでくる。彼らのひとりが地元の少女を虐待していると知ったフィンバーは少女を助けるために制裁を下し、テロリストたちと対立することに。
というお話です。
1974年の動乱期、アイルランド共和軍(IRA)のデランと彼女の部下であるコナン、セアムス、カーティス(デランの弟)はベルファストで爆弾テロを行い、3人の子供を含む6人を死なせていた。警察に追われ始めた彼らはアイルランドの海岸沿いの町グレン・コルム・キルに移動し身を隠す。その町にはデランの義妹にあたるシニードと娘が住んでいたのだ。
その町に住むフィンバー・マーフィーは静かに暮らしていた。その昔戦争で戦い帰還したが既に妻は死んでおり、絶望した彼はアルコールに溺れた生活を送っていた。そんな彼にロバート・マキューが殺し屋をやってみないかとスカウトし、今は時々仕事を受けながら目立たないように暮らしていたのだ。
ある日、フィンバーは近所に住むシニードの娘モヤに痣がある事に気が付きます。モヤに誰にやられたのか聞きますがモヤは怖がって話しません。そこへカーティスが現れ、モヤの態度から彼が虐待をしていることが解ります。彼は銃弾をモヤに渡して怖がらせていたんです。フィンバーはモヤを助けるため、夜にカーティスを車に誘い込み彼を殺して埋めます。
次の日からカーティスの姉デランが弟を探し始め、殺されたらしい事を知ります。彼女は弟の復讐のために殺した犯人を突き止めて復讐するために町の裏事情を調べ始めます。そして地元の裏仕事を請け負うロバートに行きつき…。後は、映画を観てくださいね。
この映画、原題は「In the Land of Saints and Sinners」(聖者と罪人の国で)という題名なんです。日本ではあまり話題になりませんが、映画では「ベルファスト」とか北アイルランド問題とかを取り上げているモノが多いでしょ。この映画もそうなんです。
映画「ベルファスト」でも描かれている通り、イギリスとアイルランド、カトリックとプロテスタント、の対立が大きくなり、内戦まではいかないもののテロが横行して沢山の犠牲者が出たんです。この映画はその戦いが地方の小さな町にまで影響を与えたということなんです。
日本公開にあたり、北アイルランド問題とか難しい解説を入れると人気出ないだろうなと思ったからなのか、リーアム父さんのアクション娯楽作品のようなタイトルを付けられてしまい、あらすじもリーアム父さんの今までのアクション作品のような解説をされてしまっていて、勿体ないなぁと思いました。
リーアム父さん演じるフィンバーは、国のために戦争で戦ったけど妻に先立たれて不幸になってしまい、殺し屋として生きていくことになってしまった老人です。殺し屋なので罪人なんだけど、でも子供を助けるために殺しをするんです。一方、IRAはテロで沢山の人を殺しているけど、彼らは北アイルランドのために戦っているんです。でも罪人ですよね。
誰しもそれぞれに理由があって、自分の利益のためではなく”大義”があるんです。見る方向によって、聖人になるのか罪人になるのか。それでもどんな理由を付けたとしても殺人は罪だし、神はそれを許さない。宗教のために戦うっていうのは、本当に道理に合わないですよね。神は人の子を生かすために死んだのに、人の子同士で殺し合っていたのでは神の道理と合いません。この映画は、そんなことを描いているのだと思いました。
そんな深い内容なのに、日本の映画紹介では殺し屋のフィンバーがカッコ良く悪い奴を殺していくみたいな感じで書いてあって、うーん全く違うなぁ~と笑ってしまいました。いくら何でも、もう少し歴史的な説明をして、何をこの映画が描いているくらいは宣伝して欲しいよなぁ。本当に映画が可哀想です。
今回のリーアム父さんは、年を取っているという設定なので、結構よぼよぼしていて、敵を殺そうとするんだけど失敗したり、殺されそうになったりと完璧な殺し屋ではありません。なので邦題のプロフェッショナルというのは間違いかな。その昔、プロだったよぉ~って感じです。映画の中では本人も自分の老化を解っていて、引退するというところから始まるんです。
でも、こんな田舎町で殺し屋を雇うことってあるのかな。きっと、この町に潜伏しながらそれこそベルファストとかに出張して、重要人物を殺しをしていたんでしょうね。だってこの町では殺したいほど儲けていたり、悪いことをしている人はいなさそうでしたもん。それに時代が1970年代なので、銃も古いのよ。ライフルとかも年代物っぽくて、それじゃあモタモタしちゃうよねぇって感じでした。
街並みも衣装も気を使っていて、あの古い感じでちょっと素敵でした。ケビン役のジャック・グリーソンさんもワザと髭を生やしていてあの時代のイギリスの流行りっぽくしていました。この時代の衣装って独特で面白いですよね。ビートルズとかの時代なのかな。
最後のパブでの戦いは激しかったな。その場面は迫力があって、ドキドキハラハラでした。銃撃戦も凄かったんだけど、いつ爆弾が爆発するかという恐怖もあって面白いんです。色々な人が協力してくれて、何とか片付いたと思うけど、最後にこの始末をどうしたのか知りたかったなぁ。まぁ、警察のビンセントが何とか説明をして丸く収めたんだろうけどね。
最後に、やっぱりこの宣伝は良くないと思いました。わざわざ北アイルランド問題が大きくなってテロが一番起きていた時代にしてこの映画を作っているんだから、それを伝えないと監督が何を伝えたかったのか解りません。映画は良いんだけど宣伝が間違っていました。既に1998年に北アイルランド問題は終結していますが、まだ宗教間の問題は解決に至っていないようで、この問題は日本人も知るべきです。
私はこの映画、お薦めしたいと思います。面白い映画だと思いました。この時代に人々が抱えていた問題を描いていたと思います。誰も人殺しなんてしたくないけど、助けるために殺すというジレンマが世界を覆っていたという事が解りました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「プロフェッショナル」