「JOIKA 美と狂気のバレリーナ」
を観ました。Fan’s Voiceさんの独占最速オンライン試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
アメリカ人のジョイはボリショイ・バレエ団にスカウトされて単身ロシアへ渡りアカデミーに入学する。そんな彼女を待ち受けていたのは、常人には理解できないほどの完璧さを求める脅迫的なレッスンだった。ライバルたちからの嫌がらせなど過酷な日々を過ごすうちに、ジョイの精神は追い詰められていく。
というお話です。
15歳のアメリカ人バレリーナ、ジョイ・ウーマックの夢はボリショイ・バレエ団のプリマ・バレリーナになること。そんなジョイがモスクワ・ボリショイカンパニーのアカデミーへの入学が許可される。
単身ロシアに渡り、アカデミーの練習生となったジョイを待ち構えていたのは常人には理解できない完璧さを求める伝説的な教師ヴォルコワの脅迫的なレッスンだった。
過激な減量やトレーニング、日々浴びせられる罵詈雑言、ライバル同士の蹴落とし合い。ボリショイが求める完璧なプリマを目指すため、ジョイの行動はエスカレートしていく。
しかし、どんなに完璧な技術を手に入れ、誰からも求められるようなプリマの素質を持っていようと、ジョイはボリショイの求めるプリマ・バレリーナにはなることは出来ない。何故ならロシア人ではないからだ。これまで頑張ってきたジョイにもそれだけは克服することが出来ない。ジョイが最後に取った行動とは…。後は、映画を観てくださいね。
この映画、面白かったぁ。きっと「ブラック・スワン」と比較されたりするだろうけど、内容は全く違います。確かにプリマ・バレリーナになるために狂気に陥っていくという部分は同じなんだろうけど、その過程も状況も違うんです。
アメリカ人のジョイはロシアに渡り、ボリショイバレエ団のプリマになるべく、ボリショイの運営するアカデミーで訓練を積んでいきます。そこでトップになり、ボリショイバレエ団の演出家たちに認められれば、めでたくバレエ団に入団してバレリーナとして舞台に立つことが出来るんです。でもプリマになれるかはまた次の段階です。
アカデミー内では熾烈な戦いがあり、それこそ少女漫画にありそうな、トウシューズにガラスを入れられたり、時間を偽られたり、ありとあらゆる嫌がらせが横行しています。それはジョイだけではなく、どの生徒もやったりやられたり、誰かを蹴落とせば自分が上がれますからね。
そんな中でジョイはニコライという男性バレリーナと出会い、仲良くなっていきます。ニコライはアカデミーでもトップクラスで、次回にはボリショイバレエ団に入団するだろうという人物でした。普通の娯楽恋愛映画なら、ここで彼と恋愛関係になり、バレエも順調に認められてとなるんだろうけど、この映画は違います。凄い展開になります。
その展開は書けないけど、そこまでやっちゃうんだっ!ということでボリショイバレエ団の一員となることが出来るのですが、そこからまた、ええー!というような展開があり、いつになったら安心してバレエが踊れるんだよって感じでした。
ジョイ・ウーマックさんの実話をベースとして脚色された作品です。どの部分が実話なのかは解りませんが、ジョイがソロで踊りたいと言った時に、監督が彼女を呼び出して”枕営業”的なことをするように要求したのを断ってボリショイを退団することになるのですが、これは実際にジョイ・ウォマックさんがインタビューで語った退団した理由と同じです。実際にニュースになったことのようでした。彼女のドキュメンタリー映画「The White Swan」が2021年に公開されています。
他のことについては解りませんが、嫌がらせとかは日常茶飯事のような気がしました。そりゃそうよね。どんなに技術によって選ばれると言っても、そんなに差が解るほどではないだろうし、誰かを消せば自分が上がるんですからやるだろうと思います。それにプリマになりたいと言っていたら、スポンサーを見つけることだと言われていたので、日本のTV業界などと同じで”枕営業”が日常化していたんじゃないかな。
そしてバレエドラマなどに必ず出てくるのが怪我です。練習しすぎて足首を捻挫したりして、そのまま踊り続けていくと劣化して骨折して治らないというものです。これも良くありますよねぇ。ボクサーのパンチドランカー的な感じでしょ。練習は必要だけどすればするほど足首を痛めて、骨折に至ってしまう。難しいですよね。
そんなバレリーナのあるあるが一杯詰まっていて、バレエリーナとなる人がどれほど苦労をしてトップに上り詰めているのかが解る作品でした。ただ技術が上手いだけではプリマにはなれないんですね。段々と狂気に陥っていくというのが解ります。
周りとの関係だけじゃなく減量もしなきゃいけないのでそれは自分との闘いですよね。少しでも太れば、重いから上げられないとか言われちゃうんでしょ。映画の中でもトイレで吐いている描写がありましたが一般人のダイエットとは段違いですよね。ガリガリになっても、それ以上に痩せなきゃいけないって拷問でしょ。肉は落とせても骨は削れませんからね。
ボリショイバレエ団といえば美しいバレエの代名詞というほどですが、その裏側はドロドロしているんだなということが、この映画で少し知ることが出来ました。まぁ、全部が全部そのままではないでしょうけど、トップになるには並大抵の努力ではなれないという事が解りました。
そうそう、ジョイと仲良くなるニコライ役をオレグ・イベンコさんが演じています。彼は「ホワイト・クロウ 伝説のダンサー」で主演を演じていたダンサーです。
私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。あまりにも次から次へと無理難題が積み重なってきて、主人公のジョイがそれに立ち向かっていく姿が何とも辛かったです。ここまでやらないとプリマになれないのかと思い、辞めてしまえばいいのにと何度も思いましたが、彼女は夢を諦めない人でした。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「JOIKA 美と狂気のバレリーナ」