「ディア・ファミリー」娘への想いが世界の人々を救うこととなった。きっと娘さんも喜んでいるでしょう | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

 

「ディア・ファミリー」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

1970年代。小さな町工場を経営する坪井宣政と妻・陽子の娘の佳美は生まれつき心臓疾患を抱えており、余命10年を宣告されてしまう。どこの医療機関でも治せないという厳しい現実を突きつけられた宣政は、娘のために自ら人工心臓を作ることを決意。限りなく不可能に近かったが、娘を救いたい一心で有識者に頭を下げ奔走。しかし佳美の命のリミットは刻一刻と近づいていた。

というお話です。

 

 

1970年代、心臓疾患は日本人にとって致命的な病だった。そんな状況下において、生まれつき心臓疾患を持っていた幼い娘・佳美は、余命10年を突きつけられてしまう。「20歳になるまで生きられないだと。」手術をすれば治るんですよねという宣政に、手術は出来ないという返事が返ってくる。

 

宣政は娘を治せる病院を探し奔走するが、日本のみならず世界中どこの医療機関へ連絡をしてみても手術は出来ない、完治は不可能だという現実を突きつけられる。変わることのない現実。そんな絶望の最中、小さな町工場を経営する父・宣政は「じゃあ、お父さんが人工心臓を作ってやる」と立ち上がる。

 

 

医療の知識も経験も何もない宣政の破天荒で切実な思いつきだが道はそれしかない。娘の心臓に残された時間はたった10年。何もしなければ、死を待つだけの10年。坪井家は佳美の未来を変えるために立ち上がる。絶対にあきらめない家族の途方も無く大きな挑戦が始まる。

 

人工心臓の開発に力を入れる宣政だったが海外の研究が失敗に終わり、治験費用も莫大になるということで大学側が手を引くこととなり、宣政も諦めざるをえなくなってしまう。そんな時、人工心臓の技術が心臓治療のためのカテーテルに応用が出来ると知り、宣政はまた挑戦を始める。後は、映画を観てくださいね。

 

 

良い映画でした。1970年代に心臓疾患で産まれた娘さんのために人工心臓の開発をしようと動き出した父親と家族のお話です。現代では、カテーテルといったら簡単に終わる手術として有名ですけれど、それが日本で安心して使われるようになったのは、ここ最近だということがよく解りました。こんなことがあったんですね。何も知りませんでした。

 

普通の家族と言っても、一応、会社経営をしていて裕福な家庭だったのだろうと思います。子供が生まれて10年生きられないかもと言われたら、そりゃショックだろうし、何としてでも治してくれる病院を探してやるとお父さんは頑張りますよね。凄く解ります。そこで手立てが無いと言われて通常は諦めるのですが、このお父さんは諦めないんです。この根性は凄いと思いました。

 

 

自分が技術屋さんだったというのもあると思います。モノを作っている方だからこその発想なのかなと思いました。文系でオフィスに座っているだけの方だったら、こうはなりませんからね。そして凄い勉強をして、大学の研究室に何度も通って、人工心臓の研究に協力していくんだけど、人工心臓って難しいんですね。今でも人工心臓は出来ていないそうです。やっぱり”心臓”という臓器を作るというのは神の領域なのかな。

 

身体の色々な部分は、これから医療の進歩によって補強したり取り替えたりが出来るようになると思うけど、心臓だけは難しいのかもしれません。というか、そこは踏み込んじゃいけないのかもしれない。

 

凄い努力でいいところまで人工心臓の試作品が出来上がっていくのですが、突如、海外の研究機関の発表により中止になってしまいます。治験に凄い資金がかかるのも問題ですが、研究機関の発表では、人工心臓を人間で試したが何度やっても不具合がでて、その都度手術を繰り返し、人間の方がこんなに苦しく痛い思いをするなら死にたいと言ったようで、人道的にどうなのかという問題になったと書いてあったんです。

 

 

これ驚きました。患者さんは生きられると思ったから研究に協力したのだと思うけど、生きるより辛い治療を強いられるなんて、本当に人体実験なんだと思ってゾッとしました。それは人道的な問題になりますよ。もし、宣政さんの人工心臓が治験に入ったら、同じ思いを娘さんがするかもしれない。そう思ったら私なら続けられません。

 

医療って、本当に難しいんですね。治してあげたくても、生きているよりも苦しい治療ではやる意味が無い。誰だって健康で生きられるのが幸せなんだけど、その幸せって思っているよりも簡単違壊れてしまうことで、ありがたい事なんだなと思いました。規則正しい生活をとは思うけど、それが出来ないのが人間よねぇ。私なんて不規則を絵にかいたような人間だから、健康的じゃないといつも家族に怒られています。

 

 

人工心臓の開発がダメになり、あるきっかけでカテーテルの開発に挑みます。それまでは海外のカテーテルを取り寄せて使っていたのですが、失敗するリスクが高かったんです。何故なら、日本人の身体に合わないし、金属製では血管の中を柔らかく進ませることが出来なかったので、途中で血管を傷つけてしまうことが多かったんです。

 

それは人工心臓を開発する時に使った技術を使えば、今の不具合を直せることが出来るかもしれないと思い、開発を始めるんです。すると開発は成功し、患者の体系に合った大動脈内バルーンパンピング(バルーンカテーテル)で手術が出来るようになり、緊急の患者を助けるための命綱になったんです。凄いなぁと思いました。これで沢山の人の命が助かることになったんです。

 

 

映画の中では、研究者が優秀でも簡単に研究が進まない大学のシステムの問題とか、人間関係のドロドロとか、大学同士の取り決めのようなものとか、日本の医療の暗部も描いていました。もっと広い視点で見て命を救うための研究なら協力をすればよいのに、自分の領域を守ることに必死になってしまうなど、汚い部分が沢山あるんですね。何のために医者になったのか考えて欲しいです。ま、お金儲けのためになった人もいるんだろうけど。

 

坪井さん一家を何年も取材された清武さんの資料(原作)を基に、林民夫さんが脚本を書きあげました。なので、実話ではありません。一応、フィクションですとの注意書きが最後にありました。もちろん映画にするのですから面白く書いてくださったのだと思いますが、起こったことは殆ど変えていないと思います。沢山の努力の積み重ねで、娘のために頑張った技術が沢山の人の命を救うことになったというのは真実だと思います。

 

 

本当に感動しました。私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。本当に何度も泣けました。良い映画でした。でも、きっと実話の方が本当に凄いんだろうなと思い、ノンフィクション作家清武さんが書かれた原作を読みたいと思います。映画は綺麗ごとになっちゃうけど、きっと経済的にも大変だっただろう坪井さんご家族の事を知りたいと思いました。カテーテルが成功したから、きっと会社も儲かって借金も返せたと思いますけどね。幸せになっていて欲しいです。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ディア・ファミリー」