「おいしくて泣くとき」
を観てきました。
ストーリーは、
幼い頃に母を亡くした心也と、家に居場所がない同級生の夕花。学級新聞の編集委員を任された2人は「ひま部」を結成。それぞれ孤独を抱える心也と夕花は距離を縮めていくが、ある事件をきっかけに夕花は姿を消し、心也は行き場のない思いを抱えたまま、30年が経ったある日、夕花の秘密が明かされる。
というお話です。
幼いころに母親を亡くした心也。ずっと父親と二人で暮らしてきた。父親は食堂をやっており、その店では”こどもごはん”と呼ばれる家で食事が出来ない子どもたちに無償で食事を提供するボランティア活動が行われていた。
ある日、同じクラスの夕花が弟と共に食事に来ているのに気が付く。しかし心也は知らないふりをしていた。その後、学校で学級新聞を作る委員を決めることになり、部活をやっていなかった夕花と心也が決まってしまう。部活をしていないことで一緒の委員になったので、じゃ、2人で「ひま部」を作ろうかと夕花にいわれ、そこから2人は仲良くなっていく。
お互いに惹かれていた二人だったが、夕花は義父にDVを受けており暴力は増すばかりで既に限界が近づいていた。耐えられない夕花は心也にどこかに行きたいと言い、一緒に海まで旅をする。そして夕花は決心し、心也の前から姿を消してしまう。
その後、一度だけ心也に手紙が届くが、それ以降、彼女の消息は一向に掴めなくなってしまった。それから30年、心也の店が事故に巻き込まれ困っていたところに助けの手が差し伸べられる。そして明かされる彼女の秘密。後は、映画を観てくださいね。
感動作でした。良さそうなお話だなぁと思って観に行きましたが、その通りでした。アクションやサスペンスではないので、そんなにワクワクドキドキする映画ではありませんが、観ていてジーンとする場面が何度かありました。30年後にどんな再会が出来るのか、夕花に何かあったのかは、映画で確認してください。
中学生だった心也は父親がこどもごはん(子ども食堂)をやっていることで虐められたりしていたんです。そして食堂に来ている友達も貧困だという事で虐められていました。30年くらい前って、そんな雰囲気だったんですかね。DV受けている子を助けようというような感じって無かったのかな。ちょっと不思議でした。
そんな食堂で出会った夕花。同じクラスで同じ新聞委員になり、仲良くなっていきます。でも、義父のDVが酷くて、酷い痣があったり怪我をしていたりするんです。心也は何とか助けたいと思っても、まだ中学生では自分の力だけで助けることは出来ません。まだ子供ですからね。助けられないということで、傷つくんです。こういうのって難しいですよね。
大人でも他人の家に口を出すなと言われてしまえば、そう簡単には助けることが出来ません。もう少し社会全体で暴力を受ける人々を助ける方向にならないのかなと思います。よくニュースでシェルターに入った母子の居場所をDVをしていた父親に役所が教えちゃうとかありますよね。そういうのを聞くたびに、もう少し暴力の問題を真剣に考えて欲しいと思います。
映画の中でも、夕花がDVを受けていながらその事を隠していて、これが相手を増長させるんじゃないかと思うんです。殴られたり蹴られたりしたことを周りに話すようにしてくれれば、社会で救う事が出来るのに、家族のことだから隠してしまうんですよね。この問題は奥が深いので難しいですね。
私は原作は読んでいないのですが、原作ではラストがもう少し現実的なようでした。この映画だと、最後の最後で、何故夕花が行方不明になってしまったかの原因が、まるで漫画のようなんです。これはちょっと失敗だったんじゃないかな。凄く良い映画に仕上がってきているのに、何故、そこでそんな原因にしたのか、ちょっと残念でした。
少しだけネタバレになってしまうけど、もし16歳くらいの女子がいきなり行方不明になったら、関係者は探すし、警察に届けをだしますよ。警察だって、こういう状態の女子がいなくなったら、もしかして誘拐かと思って聞き込みくらいしますよね。だって、一度保護されているんですから危険でしょ。居なくなって、そのまま放置はあり得ないんです。
なので、この最後の展開はあり得ないです。原作だと違う展開らしいので原作通りに描いてくれたらよかったのに、なんで変えたのかしら。不思議です。まぁ、ラストは残念な展開があったけど、それ以外は良い内容だったし、出演されているキャストの方々が良かった。當間あみさんと安田さんが良かったなぁ。特に安田さんは凄く良かったです。感動しました。
安田さんが演じている父親が営んでいる食堂は普通の定食屋さんなんですが、子ども食堂もやっているんです。子供がくると、無料で食事を提供していたんです。その姿が演技とは思えないほど優しくて、子供たちも楽しそうで、何とも言えずに良い場面でした。もちろん自分の息子の心也に対しても、とても優しいお父さんで、息子を信じているという姿が印象的でした。
現代パートでは、やはりディーンさんと尾野さんの再会で泣けました。それぞれが違う道を歩いてきたけど、お互いが落ち着ける場所を見つけて安心した顔で逢えるというのは良かったですね。人生を歩んできたからこその顔がそこにあって、うーん良かったとジーンとしました。
私はこの映画、お薦めしたいと思います。ラストの部分でちょっと文句を言っちゃいましたが、全体的には満点の映画だったと思います。最後だけはどうしても納得が出来ないので、原作を読んでみようと思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「おいしくて泣くとき」