「スティルウォーター」を観てきました。
ストーリーは、
留学先の仏マルセイユで殺人罪で捕まった娘アリソンの無実を証明すべく、米オクラホマ州スティルウォーターから言葉も通じない異国の地へ単身渡ったビル。現地の協力者を得るも、ほとんどの地元民はよそ者のビルに口をきこうともしない。何者かの襲撃を受けるなど自らの身にも危険が迫る中、ビルはわずかな手がかりを頼りに前進していくが・・・。
というお話です。
オクラホマ州スティルウォーターの石油会社に勤めるビル・ベイカーは、マルセイユに1年間留学し、疎遠になった娘アリソンが、レズビアンのガールフレンドを殺害した容疑で逮捕・起訴されたことを知る。疎遠にはなっていたが、愛する娘の一大事にビルは動き出す。
獄中のアリソンに面会するためにフランスを訪れた彼は、アリソンに面会に行くと、弁護士にメモを渡して欲しいとコッソリ手渡される。ビルは、アリソンから渡されたメモを持って、弁護士を訪ねるが、全く取り合ってもらえず、既に、法的手段をほとんど使い果たしてしまったことを話され、新しい事実が出てこない限り、打つ手がないことを知らされる。
再度、アリソンに面会に行くと、自分は無実で、あの場に居た”ある男”が殺したのだと訴える。その男を見つければ、再審請求も出来るだろうと考えたベンは、アリソンの友人や、大学の関係者に話しを聞いていくと、ある男の写真を見つける。
その男を探せばいいと考えたのだが、フランス語が話せず、よそ者の彼に協力してくれる人はいない。困っていると、ホテルの隣の部屋に家の改装中だけ住んでいる母娘と出会い、母親のヴィルジニーに手紙や情報書類などを通訳して貰えることになる。そして自宅に帰るというヴィルジニーが、しばらくの間、家に泊めることを提案してくれ、ビルはそれに甘えることにする。
ビルはフランスに移住し、娘の無実を晴らすために奮闘することにし、言語の壁、文化の違い、そして1994年に制定された、法典に基づく複雑で不慣れな法制度に立ち向かい始める。地元民に聞き込みをするのだが、よそ者には話をせず、暴行まで受けてしまう。それでも、フランスで働きながら、娘の無実の証拠を黙々と集めるビルは、ヴィルジニーと彼女の8歳の娘に助けられながら、苦しい中にも幸せを見つけていくのだが・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、結構、観た後にズシッとくる、重い映画でした。人間のドロドロした部分を描き切っていて、嫌な終わり方でした。展開はよく出来ていて、面白い映画ではあるのですが、そう来るか~!って感じで、打ちのめされるので、後味が悪かったなぁ。
ビルは、娘が殺人罪で逮捕され、刑務所に入った事を知り、直ぐにフランスへ飛びます。それまで、仕事一筋だった父親を嫌って、フランスに留学したアリソンでしたが、母親は亡くなっているので、家族は父親と年老いた祖母しかいないんです。唯一の家族であるビルが面会に訪れ、必死で無実を訴えるアリソンですが、ビルは普段からあまり感情を表に出さない人物なので、冷たく見えるんです。でも、本当は凄く心配していたのだと思いました。
既に、弁護士が打つ手がないというほど裁判で戦ったのですが、有罪となり、アリソンは刑務所に入れられました。レズの恋人を殺したという事で、フランスでは話題となり、賛否が分かれていたのですが、ビルが出会ったヴィルジニーは、アリソンの境遇に同情し、ビルの通訳をかってでてくれたんです。俳優を仕事としている彼女は、母子家庭で、いつも忙しそうなので、ビルが一緒に住むようになり、娘のお迎えや、買物などをビルが請け負い、とても上手く行くんです。
もちろん、ビルも仕事を見つけて、ちゃんと働きながらですよ。ヴィルジニーとは、良い友人としての立場を保ちながら生活を続け、アリソンの事件の調査も続けます。真面目で頑固なビルは、自分の立場を崩さないのですが、ヴィルジニーは友人に、とても性格が合う人だと紹介し、娘もビルをとても好きになるんです。
娘を助けるためにフランスに来たのに、自分の幸せを見つけてしまうんです。とっても良いことだと思ったんだけど、ビルは複雑そうでした。そりゃそうですよね。自分だけ幸せになっちゃっていいのかって考えてしまったのだと思いました。でも、まぁ、社会派ドラマなので、そんな簡単に、ハッピーエンドになる訳が無い。ここから、一気にダークサイドに落ちていきます。ここからが怖かったなぁ。どうなっちゃうんだろうって、心配しました。だって、折角、ヴィルジニーや娘との生活が、充実してきたのに、うーん・・・。
人間の良い面と悪い面を隣り合わせに描いているので、とても複雑な気持ちになりました。だって、幸せになりたいのは誰だって当たり前でしょ。でも、家族も守らなければいけないという気持ちも捨てられないので、アリソンを助けるためには真犯人を見つけなきゃいけないけど自分はよそ者で、調べたいと思うと、愛する人を危険な目に遭わせることになってしまうんです。まして、幼い娘がいるので、何かあってからでは遅いでしょ。難しいですよね。
いやぁ、でも、この映画、ネタバレ出来ないから残念だけど、本当に、最後にイッキに突き落とされるという感じでした。これは、ショックだったなぁ。凄く後味が悪くて、マジか・・・と思いました。これが、人間の恐い部分なのだと思うけど、私は、ダークサイドには落ちないぞーって思いました。人間としてよく無いよ。
マット・デイモンさん、こういう役も合うなぁ~。マジで上手いです。最後の決闘裁判も凄かったけど、今回も良かった。でも、やっぱり彼の一番は、ジェイソン・ボーンね。大好きな作品です。アリソン役をアビゲイル・ブレスリンさんが演じていて、確か彼女、お父さんをコロナで亡くしたとかで、悲しがっていたのをTwitterで読みました。コロナ、気を付けなくちゃね。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。よい映画で、確かに、凄く面白いのですが、後味が悪いんです。主人公のビルは、あの後、どうするんだろうと考えると、可哀想だなと思ったほどですから。いや、でも本当に面白いです。展開が読めないし、上手く出来ていました。でもでも、元気な時に観た方が良いような気がします。最後にズッシリくるので、元気がないと辛いかも。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「スティルウォーター」