【イタリア映画祭2025】
「隣り合わせの人生」
を観てきました。
ストーリーは、
1980年、芸術都市ヴィチェンツァ。名門一家の婦人科医オズワルドの妻マリアは、夫にようやく妊娠を告げることができ、溢れるばかりの幸せを噛みしめていた。
しかし生まれたばかりのレベッカの顔には目立つ赤い斑点があった。マリアはその「あざ」に隠された罪のしるしを見出して娘を拒絶する。家族は静寂に包まれ、苦痛に苛まれるようになる。
レベッカは屋敷の上の階に住むピアニストの叔母と乳母に愛情深く見守られながら成長する。小学校でレベッカとは全く異なる境遇の同級生ルチッラと友達になるが、ある日ルチッラの父親がベランダから転落し亡くなったと同時に彼女も姿を消してしまう。
再び孤独になったレベッカは類稀なる音楽の才能を叔母に見いだされ、ピアノに慰めを見出すようになる。成長するにつれ、母親の敵対的な無関心に反発し始め、自分の出自について質問するようになり、自身の幼少期と思春期を不幸にした秘密が家族の力学にある事に気付いていく。後は、映画を観てくださいね。
この映画は複雑な内容だったなぁ。裕福な家に生まれたレベッカは、生まれた時から右顔面に大きな赤い痣があり、母親にも疎まれています。叔母と乳母に育てられるのですが、実は母親は娘が可愛くて大切なのに、ある罪が娘の顔に痣を作っていると信じていて、どうしても近づけないんです。
この罪が最後まで明かされず、これが原因だということは映像で解るのですが、それをあえて映画の中で言わないんです。最初の頃は、母親もまさかと思っていたと思うのですが、ある日、実際にその現場を見てしまい、自殺を図ります。罪の原因は伏せられたまま、母親は亡くなってしまい、レベッカは何も知らないまま、母親に嫌われたと思ったまま成長します。これは可哀想でした。
そしてピアノの才能を認められ、ピアニストに成長して家から旅立とうとすると、ある出来事が起こります。きっとこの家から出ることで罪から逃れる事が出来たということなのでしょう。母親はレベッカに何も言いませんでしたが、彼女が残した日記で少し罪の気配を知ったんじゃないかな。親の罪が子供に影響を与えるのは可哀想だと思いました。
それよりも、母親アンナが凄く可哀想だった。誰にも言えず、娘にも傷つけないように黙っていて、哀しい物語でした。古くから続く家柄って、こんなこともあるのかもしれませんね。罪なんだけど、ずっとそうやって育ってきた人々だから、それが悪いことだと感じないのかもしれません。一般常識として、それはあり得ないよと言いたいんだけど、なんだか二人の間には誰も入り込めないような雰囲気があり、アンナは苦しんだんだろうなと思いました。
レベッカは顔に痣があるせいで、虐められたりしました。音楽学校でのいじめは酷いなと思いました。レイプはされなかったようですけど、同級生に囲まれて”脱げ”とか言われていました。なんで成績が良い人間を貶めようとするんですかね。でも、ちゃんと仕返しはしますので後でスッキリしますよ。
レベッカには小学校で仲の良い友達が出来るんです。ルチアって言ったかしら。彼女はレベッカのような良い家の子じゃないけど、母親と仲が良くてレベッカは憧れているんです。でも、彼女の家に事件が起こり、途中でいなくなってしまいます。そしてレベッカはピアノだけにのめり込むんです。
レベッカの痣の原因を書けないので辛いけど、これ日本公開して欲しいな。良い家柄だと日本でもあり得そうで、それを娘は何も知らず、母親が苦しんで自殺をしてしまうなんて、夫は何してたんだよって思うけど、夫はそれが悪いことだとは全く感じていないんじゃないかな。そういう風に育ってきちゃったから、何故アンナが自殺をしたのかなんて解らないんでしょう。イライラしますよね。
レベッカはちゃんと家から独立して、世界のことをこれから学んでいくのでしょう。きっと、素直に育っているから素敵な音楽家になると思います。ただ一つ、母親の事が心の傷になっているけど、ルチアと出会う事で普通の社会を知って、何があっても受け入れられるようになって行くんでしょう。
この映画、マルコ・ベロッキオ監督が企画して脚本を書いたようですが、ジョルダーナ監督にゆだねたそうです。美しい映画に仕上がっていました。
私はこの映画、お薦めしたいと思います。私は好きな映画でした。顔に痣があっても、ピアノという誰にも負けないモノを手に入れたレベッカは、きっと未来を切り開いていくんでしょうという予想が出来る内容でした。ロカルノ国際映画祭でプレミア上映された作品です。機会があったら、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
【イタリア映画祭2025】