【イタリア映画祭2025】「戦場」戦場から逃れた人々の苦痛を描いています。暗い映画でした。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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【イタリア映画祭2025】

 

「戦場」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

第一次世界大戦末期1918年のイタリア、幼馴染のステファノとジュリオは、共に医師として軍病院に勤務していた。

 

病院は、自傷したり精神病を装ったりして前線復帰を逃れようとする若い兵士へ溢れている。彼らを嫌悪するステファノは、直ちに前線に戻すことを自らの使命としていたが、ジュリオは彼らに同情的だった。

 

軍病院に、二人と共に医学を学んだアンナが看護師として着任する。彼女は、病院で症状を著しく悪化させる患者がいることに気付く。ジュリオが、障害を背負ってでも帰郷を望む若者たちを助けていたのだ。しかし、彼の協力で全盲になった兵士が、前線復帰を忌避したとして銃殺刑となる。

 

一方、原因不明の感染症が、兵士のみならず市民にも蔓延していた。ステファノは、軍規を犯したジュリオを不問に付し、生物学を専門とする彼に対抗策を講じさせようとする。連合国側のイタリアは大戦に勝利するが、世界でスペイン風邪と呼ばれた感染症の死者は、戦争の死者を上回った。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画は暗かったなぁ~。第一次世界大戦末期のお話で、この頃、イタリアはオーストリアに攻められて大変な状況でしたが、その後、盛り返してオーストリアは崩壊するんです。でも、この映画では、その戦争状況は関係ありません。そんな戦争の中で、その戦争に参加したくなくてワザと怪我をして戻ってきたような若い兵士を治療している病院でのお話です。

 

病院内には戦争に行きたくない兵士ばかりなのですが、ステファノは直ぐに治療をして戦線に送り出したいという考えです。一方、ジュリオは戦争に復帰したくないという兵士にワザと怪我をさせたりして、何とか戦線には戻さなくて良いように細工をしていたんです。

 

 

人情的には解るんだけど戦争ですからね。そんな事をしていたら、軍に規律は乱れるし、誰も戦争なんて行かなくなってしまいます。そうしたら国は敗戦となり、他国の侵略にあってもっと酷い状況になるんじゃないかな。一時は救ってあげて良かったかもしれないけど、その後に敗戦国となったらどうなるのか、あまり考えていなかったように思います。

 

二人の医者の所に看護師のアンナが配属されてきます。彼女は二人とも知っていて、二人の様子をよく見ているのですが、彼女がジュリオの不正に気が付くんです。二人の板挟みで悩むアンナ。悩みますよね。明らかな軍律違反だけど、その気持ちは痛いほど解る。辛そうでした。

 

 

そんな状況の中スペイン風邪が流行り始め、市民が死にそうになるのですが、軍病院は市民を受け入れません。軍関係者以外は他の病院へ行けと突き放すんです。このことにもジュリオは心を痛めて、出来る限りの治療を施すのですが感染は収まらず、拡大していきます。

 

ジュリオは感染病などの専門医でスペイン風邪を解明するために研究を始めるのですが、彼もスペイン風邪にかかってしまいます。もうどうしようもないところまで来ていて、戦争で死ぬ人間よりもスペイン風邪で死ぬ人間の方が増えてしまい、八方塞がりになってしまいます。病院は市民も受け入れ、出来るだけの治療はしますが、ジュリオは倒れ、ステファノは政治の道への転身を考え始めたようです。こんな酷いことは二度と繰り返したくないと思ってくれたのなら良いかなと思いました。

 

 

この映画、実話に基づくものですが戦争中はどんなに助けたいと思っても、物資は無いし、誰もがギリギリの生き方をしています。人のために動いていた医者は、結局、自分も犠牲になってしまったのでしょう。怪我をして戻ってきた兵士たちが戦場に戻りたくないと訴えている気持ちは誰もが解るんですけど、でも1人許してしまったら、みんな言い始めてしまう。ステファノは嫌な奴に見えたけど、全体のことを考えたら、彼のいう事は間違っていなかったのだろうと思いました。

 

ちょっと、救いのない内容なので、これを称賛して良いのか解りませんが、ヴェネチア国際映画祭のコンペティション作品だったそうです。映画界の偉い人は素晴らしい映画だと評価したのでしょうね。私は観ていて辛かったです。だって、全く救われないんですもん。

 

 

私はこの映画、とりあえずお薦めしておこうと思います。戦争時の病院内の描写は、きっとこんな風だったんだろうなと思える内容で、もしこの時代の歴史を知りたいと思う方には良いと思います。感動作を求めていると裏切られるので、お薦めする人を選ぶ作品です。日本公開は難しいかなぁ。ちょっと辛いかもしれません。機会があったら観てみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

【イタリア映画祭2025】