【イタリア映画祭2025】
「ファミリア」
を観てきました。
ストーリーは、
2000年代初頭のローマ。アレッサンドロとルイージの兄弟h、母親に激しい暴力を振るう父フランコに怯えながら暮らしている。
母リチアは服役中の夫と公式に家族関係を抹消し、家の鍵を付け替えるが、出所した父は息子たちを半ば脅すようにして家の鍵を開けさせる。妻に対するDVを続けるフランコは、裁判所から接近禁止命令を命じられ、幼い息子二人は母とも引き離されて施設に保護される。
やがて母子は住む家を変え、3人で暮らし始めるが、弟ルイージはアネオ・ファシスト集団の一員として喧嘩に巻き込まれ、人を刺して服役する。服役中に父の訪問を受け、心を開き始めたルイージは、出所後に再会した父に家族の居場所を示唆してしまう。
新居を突き止めた父は、母に復縁を求め、兄アレッサンドロの抵抗も虚しく、一家は再び4人で暮らし始める。まもなく父のDVが再会する。執拗に母親を追い詰める父を家から追い出そうと立ち向かうルイージの手には、父から取り上げたナイフがあった。後は、映画を観てくださいね。
この映画は、日本でも起きている父親のDVに対して、家族が抗えずに一緒に暮らしてしまうという矛盾を描いています。父親がDVをしているなら、すぐに別れればいいじゃんと思うんだけど、そんな簡単な事じゃないんだということが描かれていました。これは難しいよね。うーん、悩んでしまいました。
母リチアと息子のアレッサンドロとルイージ。息子が小さい頃から父親のDVは行われていて、母親はずっと我慢をしていたんです。でも、夫が窃盗で捕まったのを機に、夫と法的に別れるという申請をして離婚が成立したのですが、出所した父親は執拗に付きまとい、家に入ってきます。
そして母親を殴り、子供たちは父親を止めることが出来ません。それに機嫌の良い時は優しいし、子供を遊園地に連れて行ってくれるし、一見、良い夫に見えるんです。でも家の中に入ると酷いDVを行うんです。リチアは夫の稼ぎが無いので働きに出ていますが、仕事先で男性と一緒に働いているのを見て嫉妬心を抱き、またDVをし、仕事を辞めさせます。独占欲が強いんです。
どうしようもなくなり、一度、警察に助けを求めたら、父親は逮捕され、息子たちは施設に保護され、母親は子供と離されて別々にしばらくは暮らさせられました。そんなことがあったので、母親は警察に通報するのを嫌がるんです。警察も母親が被害を受けていると訴えなければ逮捕をすることが出来ません。でも、母親は子供と離されるのを怖がり、夫からの報復も怖くて通報出来ないんです。
これ、本当にどうしてあげたらよいのか悩んでしまいました。リチアは夫から逃れたいとずーっと思っているんです。でも子供の問題や仕返しされたらという恐怖があってどうしても警察に助けを求められないんです。警察に頼っても、刑務所から出てきてしまえばまた付きまとわれてしまうことを知っているし、今までも何度も逃げようとしましたが、その度に捕まえられてDVを受けていたんです。
言い争いをしようもんなら殺されそうになるし、子供たちも力の強い父親を止められないんです。本当に可愛そうでした。こういうのはもっと警察や行政が介入出来ないのかな。子どもたちが大人になり、十分に戦える状態になっても、やっぱり子供たちは父親との楽しい思い出があるから本気で戦うことが出来ないし、母親を守ろうとしても、殴られるばかりになってしまうんです。
日本でも夫のDVから逃れるために、シェルターに入る母子とかいますよね。それと同じように、イタリアでも酷いDVを受けて困っている親子が居るんです。どんな場所でも同じようなことが起きているのに、解決法が無いと言うのは問題ですよね。
民間でDV被害に合っている女性を助けることが出来ないのかな。行政が許可を与えて、暴力を与える夫を拘束出来る権限を与えたり出来ないのかしら。警察や行政が介入出来ないというなら誰かが助けないと、暴力で家族を支配するような夫は成敗しなければダメでしょ。何か対策をしなければ、この映画のよう結末に行きつくしかなくなると思うんです。
この映画、公開されるか解らないのでネタバレしてしまいますが、最終的には息子が父親を刺すんです。もう、暴力が止むことは無く、母親は恐怖で少しおかしくなり、息子も父親がナイフで母親を脅しているのを見て、もう限界だと思ってしまうんです。
ここまで子供が追い詰められてしまうということを、良く描いてくれたと思います。このお話しは、その刺してしまった息子が書いた自伝を映画化したもので、実話ベースなんです。すべてが実話ではないと思いますが、家庭内DVを克明に描いていて、心が締め付けられるような内容でした。
こんな暴力を小さい頃から見せられて、少し大きくなったら自分にも暴力を与えられて、時々優しくされて父親なんだからと撫でられたら、心が崩壊しちゃいますよね。耐えられないと思います。母親を助けたくても助けられないというジレンマが彼を苦しめる姿が良く描かれていました。
この映画、本当は日本公開して欲しい。DV家庭で育てられた子供たちがどんな気持ちを抱いているのか、何で母親が父親から逃げられないのか、外には見えてこない内容がこの映画で描かれています。誰もが、この悲劇を知って対策を考えるべきなんじゃないかと思いました。DVをしてしまう夫を教育しなおすしかないと思うんだけどね。この映画の父親も自分が暴力を振るってしまうことを悪いと思っているんですよ。でも止められないんです。
私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。これはぜひ皆さんに観て欲しいな。ネタバレしちゃったけど、結末が大切なんじゃなくて、そこにたどり着くまでの過程が重要なので、それを観て欲しい。もし公開されたら、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
【イタリア映画祭2025】