【イタリア映画祭2025】
「にもかかわらず」
を観てきました。
ストーリーは、
スーツ姿で病院の敷地内を自由に行き来する男が、ある家族の訪問を受ける。家族の少年は、男に命を救われたようだ。病室のベッドの上には昏睡状態にある男の身体があった。
院内には男の他にも、黄色いパーカーの男やサングラスの女がいて、死が近い人が発する暴風に吹き飛ばされそうになるほかは、寝たきりの自分の身体を見守りつつ、姿を見られることなく自由に病院の中を歩き回っている。
ある日スーツの男は病室を移され代わりに集中治療室から若い女性が入室する。病室に愛着があった男と新参の女は、最初は反発しあうものの、次第に打ち解けていく。やがてサングラスの女の身体が意識を取り戻す。奇跡だと喜ぶ介護士や親類をよそに、同じ病院に暮らす仲間たちの表情は冴えない。身体が目覚めると、昏睡中の仲間たちと過ごした記憶を全て失ってしまうからだ。
いつしか惹かれ合うようになったスーツの男と若い女は、回復して記憶を失う事も、死ぬことも恐れるようになる。しかし若い女の身体は手術を受け、回復に向かいだすのだが。後は、映画を観てくださいね。
この映画は、病院で昏睡状態になっている患者さんの魂(意識)のみが抜け出して病院内をうろうろしているというお話です。身体から抜け出して院内をうろついているので、もちろん人間には見えません。何人も昏睡状態の人が収容されているので、その人たちの魂は、お互いに見ることが出来ていて交流も持てるんです。
死んじゃってないけど幽霊みたいなもんですね。その幽霊たちが交流をしながら、いつか起きれるかもしれないと思いながら生きて?いるんです。でも、もちろんそのまま亡くなってしまう方も多く、誰かが亡くなる時は暴風が起きて、その暴風に幽霊たちが飛ばされて天国にいくようでした。
そんな彼らの中で、ある男性と女性が出会い恋に落ちるのですが、二人とも幽霊なので目覚めてしまったら幽霊の時の記憶は消えてしまうんです。もし目覚めず死んでしまえば、それでお別れなんです。そんな運命なのに出会い、恋におちてしまい、どうなるのかというお話です。
この映画、何か凄いことが起きる訳ではないのですが、もし自分が昏睡状態になったらこんな風に病院内をうろうろするのかなとか、自分の身体を見てなんだか物悲しい気持ちになるのかなとか、色々と考えてしまいました。自分の身体の横にいるなら一度、身体に入ってみればよいのに、そういういうことは出来ないのかしら。私なら、長い間自分の身体を見続けるのは辛いから死にたいなと思ってしまうような気がします。
幽霊たちは病院の近くにしか移動していませんでした。離れられないのか、離れないのかは判りませんが、自分の身体からあまり離れないようでした。もし私なら、身体が動かないなら精神だけで色々な世界中飛び回ってみたいなと思うな。もし身体が目を覚ませば魂は引っ張られるだろうし、もし死んでしまえば魂も無くなるだけでしょ。どーせならやりたいことをすればいいのにね。
幽霊モノとしては、ちょっと訴えたいことがよく解らない感じでしたし、日本で少し前に公開された「片思い世界」とかぶる部分があり、イマイチ感動は出来ませんでした。名優V.マスタンドレアさんが監督&主演なので見栄えはするのですが、ストーリーがちょっと物足りない気がしました。
もう少し、何か救いがあるような部分も欲しかったかな。見舞客に関しては彼がどうして昏睡状態に陥ったのかを説明するのに使っていて、サラッと出番は終わってしまい、彼の家族も出てこなかったので、もう少し関わる人を増やしてストーリーを膨らませてくれても良かったのかなと思いました。
私はこの映画、お薦めしたいと思います。でも、思っているよりは盛り上がらないし、面白くはないと思います。でもマスタンドレアさんの監督作品だから、それだけでも観る価値はあるかなと思います。でも、日本公開されるかなぁ。もし機会があったら観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんでくださいね。
【イタリア映画祭2025】