真田丸　ネタバレ・あらすじ　32話（32回）「応酬」⑥

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真田丸　ネタバレ・あらすじ　32話（32回）「応酬」⑥

真田丸　ネタバレ・あらすじ　32話（32回）「応酬」⑤の続き。

夜、真田屋敷での信幸と信繁の会話。
信幸＞「徳川殿と石田治部今のところ、いささか治部の分が悪そうだな。」
信繁＞「そもそも格が違います。刑部様もそれを心配されています。」
信幸＞「徳川を石田が補佐する。それではいかんのか？」
信繁＞「誰もがそれを望んでいるのですが石田様が…。」
信幸＞「これ以上亀裂が大きくならねばよいがな。」
顔を見合わせる兄弟。

肥前　名護屋城。
11月。
朝鮮より加藤清正が帰国した。

やつれた顔をして座る清正の前に三成が来て座る。
三成＞「長年にわたる戦、誠に、ご苦労でござった。」
清正＞「挨拶はいい。…亡くなられたのか？」
三成＞「８月１８日。皆が大坂に戻ったところで、大がかりなご葬儀を執り行うつもりだ。」
清正は俯いて何度も頷き「それがよい。」と言った。
三成＞「徳川が既に動き出しておる。これからの豊臣は我らに懸かっておる。
おぬしは案外、城造りもうまいし、領内の仕置きも確かだ。ただの戦馬鹿ではない。
我らで秀頼様をお支えし、殿下亡きあとの豊臣家をお守りしていこうではないか。」
清正＞「お前には言いたい事が山ほどある。…があえて言わぬ。
我らで秀頼様をお支えし、豊臣家をお守りしようではないか。」
三成＞「だからそれは今私が言った。」
清正＞「…」
三成＞「今夜は心ばかりの宴を用意しておる。少しでも戦の疲れを癒やしてくれ。」

宴で、疲れ果てた様子の引き揚げ兵らは会話もなく黙々と飲み食いしていた。
此処でもまた三成は「私は部屋で仕事をしている。あとは任せた。」と長束正家に頼んで立ち上がる。
正家＞「承知致した。方々、石田治部少輔が退出致します！」
既に背を見せていた三成は、余計な事を…という苦い目をして振り返り、正家を見た。
清正＞「何だお前中座するのか！」
背を向けたままで「申し訳ないがまだ仕事が残っておる。」と言う三成。
清正＞「共に酒が飲めぬというのか！」
三成＞「そうではない！」
清正＞「だったらもっと話そうではないか。」
三成＞「十分話した。」
清正＞「わしはお前のそういうところが気に食わんのだ。
わしらが海の向こうで戦ってる時おぬしらはこっちで何をしとった！？」
死線を超えてきた清正がそう言うのも無理からぬ事であったが、
戦地での戦だけが戦ではないという思いのある三成は「後ろで算段をするのも戦のうちだ。御免。」
と言って出て行き、それがまた清正の反感を買った。

清正のこの不満は、ただ共に酒を酌み交わし、心から戦地での苦労を労ってくれたならば解消したのだろうが、
優等生タイプで頭が切れる合理主義者の三成には、そうした、いわゆる清正が「情」と呼ぶ
人と人とのふれあいから生じる心理がよくわからない。
（石田三成、アスペルガー説も、その性格から考えて多少の信憑性あり。）

「おまえには。情っていうもんがねえのかよ！」と言って三成の腰に食らいつく清正（タックルかい？！）

三成＞「手を離せ！」
清正＞「お前と飲みたいんだよ！」
三成＞「私は飲みたくないのだ！」
間に入って、他の者が引き離したが、こんなに揉めてまで、豊臣での仲間うちまでをも突き放す態度は、
外交上手の家康とは対照的であった。

その頃、伏見で一つの事件が起こった。

伊達政宗様の娘、五郎八姫（いろはひめ）と家康の五男、松平忠輝の婚儀が定まり（松平忠輝は、ぶさいくと伝承されている）
更に福島正則の子と家康の養女との縁組みも進んでいたというもの。
これを聞いて憤慨したのは宇喜多秀家である。
秀家＞「徳川内府め乱心しおったか！勝手にそのような事を進めてよいはずがなかろう！」

信繁は冷静に「取りあえず、これより徳川屋敷に赴き内府様に真意を伺ってまいります。」と告げ、
秀家に一礼してすぐに出掛けた。

信繁が徳川の屋敷へ行くと、ちょうど信幸も来ており、また忠勝もいた。
そして、家康が来るのを待っている間に、
忠勝の方から信幸に「婿殿。殿より聞いたぞ。」と、例の一件を切り出してくれて、
悩みに悩み抜いた、もう一人の妻と子の件は、あっけなく折り合いがついた。

忠勝は、なかなか言い出せずにいた事を、信幸の情の深さと解釈し、
かえって褒めてくれて
「その分、稲を大事にしてくれればそれでよい。」と許したのである。

やがて、家康が現れた。
家康＞「お待たせ致した。」
忠勝＞「本日、我が婿、真田伊豆守が、どうしても殿にお目通り願いたいと申しまして連れてまいりました。」
家康＞「ほおぅ…どうした？」
信幸＞「左衛門佐が、内府様に伺いたき儀がある由にございます。」
信繁＞「単刀直入にお尋ね致します。
伊達政宗様の姫君と、内府様の五男、忠輝様とのご縁組みの噂、誠でございましょうか？」
家康＞「誠じゃ。」
信繁＞「太閤殿下のご遺志に反する事は当然ご存じのはず。」

忠勝＞「左衛門佐、無礼であろう！」
家康＞「まあまあ、平八郎。」
信繁＞「いかなるご所存かお伺いしとうございます。」
家康＞「ご遺志に反するとはいかなる事かな？」
信繁＞「太閤殿下のご遺言では、今後は政に関わる一切に１０人の合意がいるはず。」
家康＞「なるほど。」
信繁＞「大名同士の縁組みもこれに当てはまるかと。」
家康＞「う…ん、遺言とは、それを残した者が死んで後、初めて効き目を発するもの。しかし殿下はまだ亡くなってはおらぬ。
ご葬儀も挙げてはおらぬ。そうではなかったかな？であれば、今はまだご遺言に従う時ではないとわしは思ったのだが…。
ん？何か差し障りがあろうか？」

大阪城。

明けて正月５日。
太閤秀吉の死が公表された。

秀頼は秀吉の遺言に従って後見の前田利家と共に大坂城に入った。

その後も、加藤清正が家康の娘を嫁にもらうなどの勝手な縁組は続けられた。

「加藤様が？」と驚く信繁に
三成は「どんな経緯でそうなったか知らぬが、あれは考えていた以上の馬鹿だ。」と吐き捨てるように言った。

信繁＞「徳川様のお気持ちが分かりませぬ。」
三成＞「かくなる上は内府を呼び出し評定の席で問いただす。これ以上のわがまま勝手を許しておく訳にはいかぬ。よいな。」
吉継＞「徳川内府を糺して、その後はどうする？」
吉継＞「老衆から外すつもりでござる。」
吉継＞「今、徳川を外して、政が成り立つと思うか？」
信繁＞「私も刑部様のご意見ごもっともと存じます。確かに徳川内府様のやり方は目に余ります。
されど、あの方を除いて豊臣の世が続くとは思えませぬ。」
吉継＞「時を待つのだ。秀頼様が、ご成人されれば徳川内府が入り込む隙はなくなる。」
三成＞「それでは遅すぎる！」
吉継＞「どうしてもやるつもりか？決して徳川とおぬしの争いに持ち込むな。
あくまでも徳川と、それを除く老衆が相対する形にするのだ。よいな！」
三成は頷いた。

三成は先に帰り、信繁だけが吉継の元に残って、墨を擦り、少しばかり、書き物の手伝いをしていると、
吉継は言った。
「徳川内府は石田治部が一人で立ち向かって勝てる相手ではない。」
そして、吉継は、上杉と親しかった信繁に、上杉の元への使いを頼む。
「すまぬが、これより上杉様の屋敷へ行ってもらえぬか？明日の評定では石田治部の代わりにふんばって頂こう。」
信繁＞「心得ました。」

信繁は、吉継が今や力の入らなくなった手で無理をして書いた書状を持って景勝を訪ねた。

景勝は書状に目を通すと言った。「話は分かった。」
義に厚い人柄の景勝もまた、家康の好き勝手に腹を立てていたので、三成の力添えをする事を二つ返事で引き受ける。

更に三成が、家康が現れる前に、
家康以外の残りの老衆と５奉行に、家康のルール違反への抗議をする事を事前に相談し、
彼らは意気込みも高く皆で意識統一して、評定が開始されると、家康にルール違反を激しく詰め寄ったのである。

ところが、家康は「年のせいで、掟の事を忘れていた。」などと言い逃れた。
その言い草に、秀家初め、他の者も呆れたり怒ったりしていたが、
家康は年のせいにしてノラリクラリと言い逃れを続け、最後には、話題を逸らして、
「今、このように10人が心を一つにし難局を乗り越えるべき時に、
言い争いで紛糾するとは何事か！太閤殿下のご遺言を何と心得おるか！」と逆切れする有様であった。

言い負かされて暫く一同は水を打ったように静かになったが、やがて景勝が、小さな声であったが、その沈黙を破った。
景勝＞「忘れたで済む話ではない…。」
けっして口が達者ではない景勝の事なので、その後の言葉が続かずにいると、
家康が「何か申されましたかな？上杉殿。」と聞いた。
すると、景勝は「忘れたで済む話ではない…ような気がする。」と同じ言葉を繰り返したが、気弱に尻すぼみとなった。

家康が「…上杉殿、お声が小さい。耳に入って来ぬわ！ああ？」と耳をそばだてるポーズを取ると、
景勝は、家康に向けた顔は怒りつつも、心は顔と反比例して挫け「何でもござらん！」と言った。

家康が一同を見渡して「他に、ご異存のある方はおられるか？」と聞いたが、もう誰も逆らおうとする者はいなかった。
それゆえ結局最後には三成一人が立ち上がり
「徳川内府殿に申し上げる！物忘れであろうが御掟に背いたのは間違いない事。
この責めいかに負われるおつもりか？返答次第では我ら９人の合議をもって老衆から退いて頂く！」と詰め寄った。
吉継が恐れていた石田三成対家康の対決の構図になってしまったのだ。

家康は、どっしりとした声で三成を笑い飛ばすと
「これは異な事を申される。この徳川家康、太閤殿下にじかに老衆のお役目を仰せつかった。
それを勝手に退けるとは、まさにそれこそがご遺命に背く事になるのではないか。」
と、述べ、三成は、すっかり発言を逆手に取られて責められるハメとなった。

家康＞「違うか？治部少輔。そなたこそ、この徳川内府を締め出そうという魂胆、あさましき限り。
そこまでして、政を独り占めしたいか？」
三成＞「何を仰せられる！？」
家康＞「そうはいかぬぞ。何のための老衆じゃ。
わしが退いても、前田大納言殿をはじめとして宇喜多殿、上杉殿、毛利殿が目を光らせておる。
そうでござるな？ご一同。君側の奸の出る幕ではないわ。」
三成＞「聞き捨てなりませぬ！」
声を荒げた三成を、更に大きな声で「控えよ！治部少輔！」と威嚇する家康であった。

参加者が皆去ってからも、三成は評定のあった部屋で暫く座り込んで何かを考え込んでいる様子であった。

「そろそろ戻りましょう。」と誘う信繁に「先に戻っておれ。」と言うと、何処かへ去って行く三成。

三成は、秀吉の遺体のある壺の前で、更に暫くの時間座り込み考え続けていた。

そして…戻って来ると信繁に「腹は決まった。徳川屋敷に夜討ちをかけ家康の首を取る。」と告げた。

慶長４年。正月21日。
伏見の最も長い一日が始まろうとしている。

真田丸　ネタバレ・あらすじ　33話（33回）「動乱」①へ続く。

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