真田丸　ネタバレ・あらすじ　29話（29回）「異変」⑧

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真田丸　ネタバレ・あらすじ　29話（29回）「異変」⑧

真田丸　ネタバレ・あらすじ　29話（29回）「異変」⑦の続き。

再び家康が秀吉に呼び出された。
だが、秀吉が家康に告げた内容は前回と全く同じであった事に、その場に居合わせた全員が驚く。
「徳川殿を呼んだのはほかでもない。わしは拾が元服するまで関白は置かぬつもりだ。
わしが隠居したら、政は徳川殿を要とした大名たちの合議で進めていって欲しい。」

あまりの事に言葉を失う家康はじめ皆の様子に「あ…如何致した？」と秀吉も戸惑った。
家康は仕方がないので前回と同じような誓いの言葉で秀吉に答えた。
「身命を賭して拾様を盛り立ててまいりまする。」

この後、家康は同じ事を２度告げられた真意がわからず、三成に
「何ゆえ殿下は同じ事を２度お命じになられる？わしはせかされておるのか？」と尋ねた。
その場には信繁や片桐も同席していた。
三成＞「豊臣家の行く末が懸かった大事な用件ゆえ念を押されたのでしょう。」
家康＞「殿下は大丈夫か？…近頃、お痩せになられたような…。」
三成＞「いつもの通りでございます。」
信繁も口裏を合わせるように「体力気力ともみなぎっておられます。」と言った。

様子がおかしい事を感じ取った家康は「片桐殿。」と取り繕う事が出来ない且元に同じ質問を投げた。
且元＞「…殿下よりむしろ私の方が。先日生まれて初めて寝小便をしまして。」
まさか且元が、騙されて自分の粗相と思い込んだわいいが、ここで家康相手にその話を持ち出すとは思わなかったので、
三成は内心焦って「この件はこれまで。」と、そそくさと話を切り上げてしまう。

この後、また信繁は大谷吉継を訪ねて今後の対処法を相談した。
吉継＞「殿下が危うい事、決して誰にも悟らしてはならん。」
信繁＞「はい。」
吉継＞「そして殿下から目を離さぬ事じゃ。私がお傍にいられればよいのだが…治部殿に覚書を届けよう。」
そう言って筆を執った吉継であったが、その手に激痛が走る。
やはり病状が思わしくないようである。

さて、伏見城では寧が前回の生せんべいに凝りもせず、今度はビスケットを焼いたのだった。
それを「バテレンたちが食べとったびすけいと。殿下も『うんみゃあ』言うとったでしょ。」と秀吉に勧めた。
ところが今度は、一つ取ると、口にさえ入れず、匂いを嗅いで「臭い！」と叫び、
また「こんなの食えるか！」と床に放り投げてしまった。
「くっさい…。」と言い続ける秀吉を寧は、心配そうな顔で見つめた。

一方、真田屋敷では、昌幸が伏見城の図面を立体モデルにして、家族に見せていた。
信幸＞「見事です。」
信繁＞「守りの要を本丸でなく木幡山の出城に置く。父上にしか思いつかぬ事。」
昌相＞「いずれはこの出城に真田が入る。こっから逆に本丸を攻めれば伏見城は一日で我らのもの。」
えっ？！そういう話だったのか…という思いで、兄弟は昌相の顔を見た。

「わしはただ城を築いてみたくなったのじゃ。完璧な城を。
誰が守ろうとそんな事はどうでもよい。」そう言うと、昌幸は「すまぬな。」と、昌相に詫びた。

昌相＞「構わぬ。わしが惚れたのはそんなおぬしだ。」
昌相の心は、真田が頭角を現して天下に打って出る将来以上に、主君、昌幸に仕える事に意義を見出している。

伏見城の改築に関する家族軍議が終わって、信幸と廊下を歩きながら信繁は兄に
「久しぶりに父上の生き生きとしたお姿を見ました。」と話した。
それとは別に、信幸の心には、言いたくてたまらない、とある重大な人生の変化があった。
「源次郎ちとよいか？まだ誰にも言うておらぬが実は…子が出来た。」
信幸にとっては長年待ちわびた子供であったので、信繁はすぐさま相好を崩して
「おめでとうございます！」と告げた。

だが、信幸にとって、この懐妊は問題を含んでいる。
「それが子をはらんだのはおこうなのだ。」
信繁＞「え…？」

信幸＞「分かったのは先月の事。これが舅殿の耳に入れば俺の命はない。
だから誰にも言わなかった。だがここへ来て話が変わった。稲にも子ができたのだ！」
信繁は祝福の気持ちが一気に２倍に跳ね上がった。「兄上！」
信幸＞「いきなり２人の子持ちだ！」
信繁＞「おめでとうございます！」
抱き合って互いの頬をパチパチと叩く真田家流の喜びの表現で、兄弟は大いに笑い合い喜び合った。

翌日から、やっと重い腰を上げた昌幸は、伏見城の工事現場へ入ると、人足達に指示を始めた。
「早速もろもろの用意せよ。」
一同＞「へい！」

その様子を見ながら、信幸は昌相に胸を撫で下ろし「何はともあれあれこそ父上のあるべきお姿。」と言った。

ところが、昨日敷いたばかりの畳をまた入れ替えようとしている大工の頭に
どうした事か？と信幸が聞くと、太閤の命令でとの事。
今朝、部屋を見に来た秀吉が、ほんの数ミリほどの敷居と畳の段差に躓いて転んだのだと言う。

大工＞「…で危ないので畳を厚くせよと。」
昌相＞「ここで転ばれたのか…。」
大工＞「太閤様はお加減がよろしくないようでした。」
信幸＞「そのような事口にするでない。」
大工＞「へい。」

一方、その秀吉は、三成と信繁の前でまたしても「徳川殿を呼べ。」と命じていた。
そしてまた同じ言葉を繰り返す。
「色々考えたのだが、わしが隠居した後、拾が元服するまで、政は徳川を要とした大名達の合議で進めていく事にした。」

三成＞「殿下、その旨は既に徳川殿には伝わっております。」
秀吉＞「どういう事だ？」
三成＞「殿下が既にお命じになられました。更に申せば、殿下はそれ以前に、
政は大名達には任せず、奉行で取り纏めるようにと私にお命じになられました。」
それを聞いた秀吉の顔には不安の色がありありと広がった。
秀吉＞「下がってよい。…源次郎は残れ。」

秀吉が信繁を残したのは、不安でどうしようもなくなった心中を、
唯ひとり信繁だけには打ち明けられると思ったからである。
俯いたままで秀吉は「昔の事は覚えていても近頃の事になるとてんでいかん。」とボソッと呟く。
信繁は「お疲れなのです。楽しい事だけをお考えになって、しばしお休みなされませ。」と労り励ました。
だが尚、不安を払拭出来ぬ秀吉は、不安に満ちた目をして立ち上がり信繁の所まで歩いて来ると
「わしは壊れてしもうたのか？」と立ったまま前かがみに尋ねた。

信繁は「まさか！」と急いで立ち上がり笑顔を向ける。
秀吉＞「わしは死んでまうのか？」
信繁＞「ご心配が過ぎまする。」
秀吉＞「捨が元服するまでは生きていたいんじゃ。ただ生きているだけではいかん。
捨がわしのようになりたいと思うそんな父親であらねばならん！」
信繁は生まれつきの慈愛に満ちた笑顔で「ご案じなされますな。拾様は殿下のお背中を見ながらすくすくとお育ちでございます。」
と言って頷いた。

だが最早、幼子のように心細がる秀吉は、信繁に縋りついて「死にとうない…。死にとうない！」と言って泣き出してしまった。

三成と信繁は、秀吉の様子を寧に相談したが寧は「年を取るいうのはそういう事じゃにゃあのかねえ～。」
と鷹揚に構えている。
三成が「しかし日に日に殿下のご様子は悪くなっているようにお見受けします。」と言うと、
寧は急に腹を立てて「あなたたちが、何もかも押しつけとるからでにゃあですか！」と声を荒げた。
しかし、それも一瞬の事で、すぐにいつもの穏やかな寧に戻ると「すまぬ…。つい大声を。」と静かに詫びた。

三成＞「医者によれば、今後はぼんやりなさる事が多くなり、転んだり頭をぶつけたりする事も増えるそうです。
それが切欠で寝込んでしまう場合もあるとの事。」
寧は不安に駆られながらも「十分注意します。」と答えた。

忠義の心から三成と信繁は、次に茶々の元を訪ねて秀吉の現状を報告すると
「今後は出来るだけ拾様とご一緒の折を多くしてさしあげたいと存じまする。」と告げたが
茶々は、秀吉が急激に老いた事を認めながらも、
逆に、拾からは秀吉を遠ざけたいと言って、三成の提案を押しのけた。

茶々の主張は「拾に太閤殿下の老いた姿を見せたくない。拾にとって思い出の中の父親は威厳に満ちた天下人でなければならない。
老いさらばえた惨めな姿など見せたくない。」というもので、容赦なく秀吉を切り捨てていた。

信繁＞「お気持ちは、ごもっともながら、殿下のお心をお察し下さ…。」
茶々は信繁の言葉を最後まで聞きもせず、取りつく島もないまま立ち上がると、次の間で遊ぶ拾の元へ行ってしまった。

大蔵局＞「お方様がお大事にされるのは、何より拾様のお気持ちにございます。」

夜、信繁が真田屋敷を訪れて、兄と酒を飲んでいる時、信幸が秀吉の様子はどうなのか？とストレートに聞いて来たが、
たとえ真田の身内と言えど信繁はけっして口を割らずに「別段変わったところはございませぬ。」と恍けた。

信幸が「俺にくらいまことの事を言ってもよいだろう。」と促すと、信繁は
「殿下のご様子を聞いてどうされようというのです？」と逆に尋ねた。

信幸＞「俺は先の事を考えておる。殿下が亡くなられたその先だ。」
信繁＞「何も変わりませぬ。殿下が亡くなられても、石田様をはじめとした直臣の方々が、拾様をお守りしていかれます。」
信幸＞「俺にはそうは思えぬ。」
信繁＞「では兄上はどうなると？」
信幸＞「分からぬ。分からぬが俺は徳川の婿だ。もし世が乱れて、その時徳川につく事が真田を利するならば…。
俺は迷う事なく徳川につく。源次郎。お前はいささか豊臣家に深入りし過ぎたようだ。
お前は真田家のために太閤殿下のお傍にいるのだぞ。それを忘れるな。」
信繁＞「かしこまりました。」

弟を言い聞かせた上で信幸は「もう一度尋ねる。殿下のお具合はどうだ？」と再び同じ質問をするが、
信繁の気持ちは揺るぎなく、やはり同じ答えを繰り返す。
「…何も変わったところはございません。」
だが信幸は諦めずに真剣な目をして告げた。
「今後も殿下のご様子、逐一俺に伝えるように。…全ては真田のためだ。」

再びマリアのテンペラ画を持って細川の屋敷を訪ねて来たきり。
礼拝室からはこの日も信者の歌声が響いていた。

ふと、きりが異変に気付き、窓の外を見ると…。

文禄５年６月27日。
京大坂堺一帯に、原因不明の灰が降った。
人々は天変地異の前触れではないかと恐れた。

そして…。
人々を大きな揺れが襲う。
閏７月13日未明。
マグニチュード８ともいわれる大地震が伏見を襲った。
慶長伏見地震である。

伏見城は激しく倒壊し、幸い秀吉は無事ではあったが、部屋の片隅で縮こまって震えていた。

真田屋敷では、
信幸は要領よく稲とこうの両方それぞれの部屋へと駆けつけて「大丈夫！もう大丈夫じゃ！」
という同じ台詞で抱き締めた。

忠義の男、信繁は、身内の事よりも秀吉を心配して、すぐに身支度を整えて伏見城へと駆けつける。

昌幸が駆けつけたのは、
もちろん真剣に普請を手掛け出した伏見城であったが…無残に倒れ果てた普請場で膝から崩れる昌幸。
この地震によって完成間近の伏見城は天守が倒壊。
一から造り直しとなった。

文禄５年閏７月。
太閤秀吉の最期が近づいている。

真田丸　ネタバレ・あらすじ　30話（30回）「黄昏」①へ続く。

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