真田丸　ネタバレ・あらすじ　31話（31回）「終焉」⑤

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真田丸　ネタバレ・あらすじ　31話（31回）「終焉」⑤

真田丸　ネタバレ・あらすじ　31話（31回）「終焉」④の続き。

秀吉の寝所へ茶々・大蔵局・秀頼が入ると、枕元にいた寧が立ち上がり「こちらへ。」と言って席を空けた。
緊張した面持ちの茶々に、一足先に入った大蔵局が「茶々様」と声を掛けると、
茶々は意を決したように頷いたが、そのまま立ちすくんでしまって動けない。
信繁も「お方様。」と声を掛けたが、気持ちが挫けてしまった茶々は辛そうに首を一振りすると、
背を向けてしまった。
すると、茶々の前にいた秀頼（石田星空）が、かつての芦田愛菜並みのしっかりした台詞回しで
「母上私が参ります。」と凛々しく言った。

秀頼は眠っている秀吉の枕元へと行くと「父上。」と声を掛ける。
すると、秀吉はすぐに目を覚まして「秀頼…。」と言って、手を伸ばし秀頼の頬を掌に包む様に触った。

そんな秀頼に勇気づけられたのか、茶々もまたスタスタと秀吉の傍へと近づき
「殿下。」と笑顔で声を掛けた。
その茶々の顔を見ても秀吉の言う事は唯一つ。
「秀頼の事頼む。」であった。
微笑みながら、しっかりと頷く茶々。
「秀頼の事頼む。」と秀吉は何度も繰り返す。
悲しみが込み上げてきた茶々の表情が崩れ、踵を返して出口付近まで行くと、そこにいた寧の胸に倒れ込んだ。
寧の胸で泣き崩れる茶々の背中を撫でながら寧は「立派な子に育ててくれましたね。」と言った。
それから寧は茶々と顔を見合わせると「あの子なら大丈夫。」と言って、二人は微笑み合った。

その時、秀吉の枕元のベルの音が響く。
秀頼が振っていたのだ。
「よい音じゃ！」と子供らしく、秀頼はベルの音に耳を澄ます。

その日の真夜中の事、秀吉は、馬の駆けてくる足音や嘶きの幻聴を聞き、うなされて目が覚めた。
「あぁ…。あ…。」
眩しさに目を明けると、家康が持ってきた信長の鎧が光り輝いている。
恐ろし気に思い一度は掛布団で顔を隠したものの、やはり気になり再び、そっと顔を出し、鎧の方を見ると、
鎧の前に全身から血を流した万福丸が立っていた。
「あぎゃあっ～～～！」秀吉は獣じみた悲鳴を上げた。
万福丸は茶々の兄である。10歳の時に織田信長の命令で秀吉の軍が探し出し、串刺しの刑に処せられた｡

秀吉は大勢の人々の尊い命を、自分の気分一つで容易く絶ったが、
その中でも最も後悔したのが、この茶々の兄であったというのだろうか…？

秀吉の悲鳴に気付いた三成、信繁、且元が駆けつけて、
ベットから上半身を乗り出して落ちそうになっている秀吉を助け起こした。
信繁が「ご安心下さい。我らはいつもおそばにおります。」と慰める。
秀吉が目を見開いたままで「佐吉…。佐吉…。」と三成の襟元に縋るので、信繁、且元は三成に秀吉を任せて退室した。

三成と二人だけになると秀吉は必死の形相で「佐吉、家康を…殺せ。」と告げた。
コクリと頷く三成。

この秀吉の言葉を胸にしまい三成が訪ねたのは真田昌幸であった。
昌幸＞「殿下は誠、そう言われたのか？徳川内府を殺せと。」
三成＞「抑えていた誠の思いを、お言葉にされたのです。」
昌幸＞「何ゆえその事をわしに？」
三成＞「忍城攻め以来安房守殿は私の師匠でござる。」
昌幸＞「この話、聞かなかった事に致す。」
三成＞「力を貸して頂けぬのか？」
昌幸＞「お互いのためじゃ。もし明日の朝徳川内府が死んだという知らせが届いたとしても我が真田は一切預かり知らぬ事。」
昌幸の含みのある言葉を聞くと、
気を落としていた三成の目に、パッと光が宿った。
目と目で通じ合う昌幸と三成。

昌幸は昌相を呼ぶと「徳川内府に死んでもらう。」と言った。
待ってましたとばかりに「心得た。」と答える昌相。

もし、討ち損じたとしても死に急がず生きて戻れと誓わせて
昌幸は昌相を送り出す。

佐助も同行したがったが昌相は許さなかった。
「お前はお前の役目がある。万が一わしが戻ってこなかった時は…。次は必ずお前の手で家康を討て。」
佐吉＞「はっ。」
容易い仕事ではない。
昌相は、生きて帰れぬ事も有り得ると覚悟を決めて家康の屋敷へと向かった。

真田屋敷でそんな事が起こっていたとは知らず、信繁はいつものように誠実に秀吉の傍に仕えていた。
秀吉が目を覚まし「源次郎。」と呼ぶので、
すぐさま枕元へ行き病人の手を握り「殿下！」と話し掛けた。

「頼む…。」と言い出した秀吉にてっきりまた「秀頼を頼む。」だと思って
「分かっております。」と答えた信繁だったが、違った。
この時、秀吉が信繁に頼みたいのは、秀頼ではなく三成の補佐であった。
「佐吉を…支えてやってくれ。淋しい男でな。」
信繁＞「かしこまりました。」

昌相が家康の屋敷へ忍び込んだ時、屋根裏に潜んで下を見下ろすと、
家康と信幸と、家康の嫡男、秀忠が、会話していた。
家康＞「ではその事平八郎は知らぬのか？！」
信幸＞「全く言いそびれておりました。」
話題はまた、信幸が、舅である忠勝に、もう一人、側室の方にも子が出来た事を言いそびれている事。
信幸＞「どうかお助け下さい！私の口からは、とてもではありませぬが、今更舅殿に打ち明ける事はできませぬ！」
家康が腕組みをして考え込んだその時、信幸の耳が、屋根裏での僅かな音を捉えた。
家康の「今宵は一旦帰るがよい。わしが平八郎を呼んで、まず言い含めておく。」という有難い言葉に、
信幸は喜んで顔を上げて「お頼みしてもよろしゅうございますか？」と言った。
家康＞「稲姫はわしの娘でもある。後家にしてしまうのはあまりに不憫じゃからのう～。」

その後、秀忠が信幸を送って行きながら「難儀だのう～。」と言うと、
自分が信幸と似たような立場にある事を話した。
「私は、３年前、淀殿の妹の江を嫁にもろうた。これはこれでなかなか厄介でな。
今度ゆっくり話を聞いてくれぬか？」
そう言って秀忠が振り向くと、信幸は何か、思案しているように立ち止まっていた。
秀忠＞「如何した？」
信幸＞「どうも気になる事がござる。」

家康の居室で、やっと家康が一人になったので、屋根裏の昌相が、暗殺を実行しようと思った矢先、
今度は忠勝が入って来た。
家康＞「おう平八郎！ちと話がある。」
そこへ帰った筈の信幸と秀忠が戻って来た。
「御免！」と障子を開けて入って来た二人。
信幸はそのまま真っ直ぐ家康の前へ行き傅く。

忠勝＞「婿殿来ておったのか！」
家康＞「何ゆえ戻って来た？」
信幸＞「先ほど内府様と話をしておりました際、いずこかで妙な音が聞こえたのです。
お気付きになりませんでしたか？」
家康＞「いや。」
信幸＞「以前、忍びの者が火遁の術を稽古しておるのを見た事があり、その時の音によう似ている事に思い当たりました。
近くに潜んでいるやもしれませぬ。」
一同は不安に駆られ、忠勝はすぐに槍を手に取って天井に向け構え、そのまま突き刺した。
槍先は、昌相の頬の横をかすめる。

昌相は身を交わして逃げたが「くせ者じゃ！出あえ！」と忠勝が叫んだのを皮切りに、
屋敷中の家臣達が総出となり騒ぎ出して、流石の昌相も、逃げ切れず取り囲まれてしまう。

仕方なく刀を抜くと何人かの家来を斬り殺した昌相であった。
その昌相の目の前に忠勝が現れ、一騎討ちとなる。
昌相に槍を一刀両断にされてしまい忠勝が不利かと思えたが、すぐに脇差しに切り替えて真剣勝負は続いた。
丁々発止と切り結んだ末に、昌相の眉間に刀傷を負わせた忠勝が一歩リードと思われた時、
昌相が煙玉を投げて煙幕を張り一旦姿を隠す。再び姿を現した昌相は刀を振りかざしたままで廊下を突き進んだ。
しかし、その先で鉢合わせしたのは信幸であった。
目を見張り「なんと…」と驚きの声を漏らす信幸に思わず動きを止めた昌相はバツが悪くてつい俯いた。
その数秒の隙をついて昌相の背後から忠勝が、満身の力を込めて刀を振り下ろした。
ザクリ！と肉の割ける音がして昌相はよろめいてふらつくもののどうにか体制を立て直し、尚も斬りかかる忠勝に応戦する。
そして死闘の末、再び煙幕を張り姿を消した昌相だったが、かなりの刀傷を負っている筈だ。
信幸はその一部始終を茫然と棒立ちになり見ていた。

信繁が真田屋敷に、徳川屋敷に賊が入ったという報を聞いて駆け付けた。
その場にいた信幸が苦い顔をして「父上がやってくれた。」と信繁に告げた。

佐助が「殿！」と呼ぶ声が外から聞こえて、昌幸が襖を開けて見ると、昌相が瀕死の状態で倒れていた。
昌幸は駆け寄り「昌相！」と言って顔を抱きかかえて呼びかけた。
すると昌相は目を開き「わしとした事が…。」と言って再び目を閉じた。
昌相の頭を抱いて「昌相！昌相…昌相…。」と、名前を何度も呼び泣き崩れる昌幸であった。

その頃、病床の秀吉は息苦しそうなかすれた声を上げていた。
ふと目を開けた時、風もないのに何故か突然、蝋燭の火が消えた。
怯えながら、枕元のベルで人を呼ぼうと考えたが、ベルがあるべき場所にない。
どうした事か、ベットから離れた場所に転がってしまっていたベル。
それに辿り着こうとして、秀吉はベットから転がり落ちて、ベルを求めて這い進む。
だが、後少しのところで手が届かない。

一代の英雄が最期を迎えようとしている。
栄華を極めた男の人生の締めくくりとしては、それはいかにも淋しいものであった。

ついにベルに手が届かず目を見開いたままで息絶える秀吉。
秀吉の目から一筋の涙が流れ落ちた。

太閤豊臣秀吉。
享年６２。

真田丸　ネタバレ・あらすじ　32話（32回）「応酬」①へ続く。

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