【TIFF2020】「ポゼッサー」脳を乗っ取られる男と乗っ取る女。どちらが勝つのか、怖いです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

東京国際映画祭2020で「ポゼッサー」(TOKYOプレミア)を観てきました。

 

ストーリーは、

 

遠隔で人をコントロールする技術が開発され、ある会社では、その技術を使い、他人を乗っ取り、暗殺計画を実行するという仕事を引き受けていた。その操作者であり暗殺を実行するタシャは、他人に同期するのが上手く、この仕事ではトップクラスです。

 

ほとんど失敗は無いのですが、この仕事は、他人に同期するので、自分の個が段々と曖昧になってしまうということが問題でした。精神的にも壊れやすく、タシャも、1件の仕事を終えると直ぐにカウンセリングを受けて、正気かどうかを確かめるという診察を受けているのでした。

 

この仕事のせいで家族とも上手く行かなくなり、家に帰る前に、予行練習をするほどまでになっていました。そして段々と、家族と疎遠になっているようでした。

 

 

ある日、タシャは新しい案件に取り掛かります。コリンという男性の身体に同期し、彼の恋人とその父親を殺すというのです。計画は開始され、恋人を殺すのは上手く行きますが、その父親を手にかけたのですが、殺しきれなかったようでした。そして、その場でコリンに自殺をさせて、タシャは、自分の身に戻ろうとしたのですが、何故か、コリンは自殺を阻止し、死んでくれません。というか、タシャがコリンを操作しきれなくなってきていたのです。

 

遠隔操作が上手く行かず、タシャは身体に戻ろうとしてもコリンが戻らせてくれません。コリンの身体の中で、コリンの精神とタシャの精神が戦っており、攻防が続きます。コリンは、自分の中にいるタシャの身体が何処にあるのか捜しはじめ、タシャの記憶を辿って、自宅に辿り着きます。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

この映画、賛否が分かれるだろうなぁと思いました。好きな人は好きなんだろうけど、全く理解が出来ない人は批判するだろうと思います。普通の映画と思って観ると、情報が少なすぎるので理解が出来ないんです。細かい部分の映像やセリフを拾って、自分でストーリーに補充する部分を想像して行かないと、誰が、何の為に暗殺を頼んでいるのかとか、全く描かれていないので、頭の中に???となるだろうと思います。

 

 

暗殺を請け負う会社でエージェントをしているサシャ。直接、暗殺をする訳ではなく、ターゲット近くの人間に侵入して身体を乗っ取り、暗殺をした後に、乗っ取った人間を殺して、抜け出すという事なのですが、それが、今回は、乗っ取ったハズのコリンに捕まってしまい、抜け出せなくなってしまうんです。コリンの精神力が強かったのか、自殺をさせようとしてもさせる事が出来ず、反対に、サシャの本体を探し始めるんです。コリンにしてみれば、自分の中にいるサシャを消す為には、本体を殺さ

なくちゃと思ったのだと思います。

 

映画としては、こんな展開なのですが、情報が少なすぎるというのは、まず、暗殺を請け負っているのが、民間会社なのか、公的機関なのか、わからないんです。それも、どこからの依頼で暗殺をしているのかもわからない。貰える情報は、ただ、人の脳を乗っ取ることが出来る装置が開発され、それにより暗殺を請け負っている集団があるということだけ。

 

そこのエージェントであるサシャはベテランのようで、暗殺を何度も成功させているようでした。でも、この装置を使うことによって、精神的なダメージが大きく、家族との関係も悪化しているらしいということも解ります。そりゃ、そうですよ。いくら他人の身体と言っても、暗殺を実行しているのはサシャの脳なのだから、おかしくなりますよ。人を殺して直ぐに、家庭に帰って、良い母親をするなんて出来る訳が無い。殺し屋と主婦の両立は、身体的には出来るとしても、精神的に無理があると思います。もし出来るなら、心が無い人だと思いました。

 

 

順調に仕事は進んでいたのですが、ある日、コリンと出会います。もちろん、実際に会っている訳ではなく、脳の中での対峙なんですけどね。そして、思うように操作出来ず、自分の方が攻められる立場になってしまうんです。同じ身体の中にいるので、コリンが何をしようとしているのか解かるけど、それを止めようが無いというのは辛かっただろうなぁ。

 

この映画の問題点は、実は、ストーリー内容ではなく、暗殺の仕方じゃないかと思うんです。殺し方が、酷い惨殺なんですよ。本当に酷くて、観ていて目を背けました。相手が潰れるほど殴ったり、一発で殺せばよいのに、苦しませたり、死んでいるのに叩き続けたり、スプラッターになっていて、見たくないほどでした。

 

それと、もう一つ、脳に侵入するという表現方法が、現代にあって、とてもアナログ的なんです。観ていて”ちゃちい!”って思ってしまいました。ワザとアナログ的な表現にしたのだろうけど、ちょっと失敗のような気がしました。他とのバランスが悪いんです。

 

 

この映画、私は、お薦めしたいと思います。私にとっては、自分で想像して組み立てられるので楽しめたのですが、一般的に、映画を観ながら観客側が内容を付け足していくというのは、難しいのではないかと思います。情報が揃っていて当たり前の映画の世界ですから、皆さんに気に行って貰うのは、結構、ハードルが高いかなと思いました。日本公開は決まっていませんが、もしかしたら、”未体験ゾーン~”で上映してくれるかもって思いました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ポゼッサー」 https://2020.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3301TKP26