「MOTHER マザー」を観てきました。
ストーリーは、
男たちと行きずりの関係をもち、その場しのぎで生きてきたシングルマザーの秋子は、息子の周平に異様に執着し、自分に忠実であることを強いてきた。そんな母からの歪んだ愛に翻弄されながらも、母以外に頼るものがない周平は、秋子の要求になんとか応えようともがく。身内からも絶縁され、社会から孤立した母子の間には絆が生まれ、その絆が、17歳に成長した周平をひとつの殺人事件へと向かわせる。
というお話です。
シングルマザーの秋子は、息子・周平を連れて、実家を訪れていた。その日暮らしの生活に困り、両親に金を借りに来たのだ。これまでも散々家族からの借金をくり返してきた秋子は、愛想を尽かされ追い返されてしまう。金策のあてが外れ、昼間からゲームセンターで飲んだくれていた秋子は、そこでホストの遼と出会う。二人は意気投合し、遼は、秋子のアパートに入り浸るようになる。遼が来てから、秋子は生活保護費を使い切ってしまうばかりか、幼い周平を学校にも通わせず、遼と出かけたまま何週間もアパートを空ける始末だった。
周平が残された部屋の電気もガスも止められた頃、遊ぶ金がなくなった秋子と遼が帰ってきた。二人は、以前から秋子に気があった市役所職員の宇治田を脅して金を手に入れようとするが、遼が誤って宇治田を刺し、一家はラブホテルを転々とする逃亡生活を余儀なくされることに。
そんな中、秋子が妊娠した。だが父親が自分だと認めない遼は、「堕さない」と言い張る秋子と周平を残して去っていく。ラブホテルの従業員・赤川と関係と持ち、敷地内に居候をつづける秋子は、周平を実家へ向かわせ金を無心するが、母の雅子から今度は絶縁を言い渡されてしまうのだった。
5年後、16歳になった周平のそばには、妹の冬華がいた。秋子は定職にも就かずパチンコばかり。一方、周平は学校に行くこともなく、冬華の面倒をみていた。住む家もなくなった三人に児童相談所の亜矢が救いの手を差し伸べ、簡易宿泊所での新しい生活がはじまった。亜矢から学ぶことの楽しさを教えられた周平は、自分の世界が少しずつ開いていくのを感じ喜んでいた。
安息も束の間、遼が秋子たちの元へ戻ってくる。しかし借金取りに追われていた遼は、再び秋子と周平の前から姿を消すのだった。残された秋子は、周平に「あんたしかいないんだからね」と言い、追い詰められた母と息子は後戻りのできない道へ踏み出そうとしていた。(公式HPより)後は、映画を観てくださいね。
実話を基に描かれた映画です。2014年に起きた”川口祖父母殺害事件”がベースとなり、この映画の物語が作られたそうです。実際の事件の内容を読んでみたのですが、映画の内容は、結構、実話に近いのではないかなと思いました。本当に恐ろしいお話です。
母親の秋子と息子の周平。共依存の関係で、母親に何か言われたら、もう嫌とは言えないように教育されてしまっているんです。学校にも通わせず、他人とも関わらないように育てているので、息子には母親しかいないんです。母親の方は、便利な道具としか考えていないのではないかという感じで、何か用がある時は使うけど、そう出なければその辺りに適当にほっておくという感じで、どう見ても、人間に対しての関わり方には見えませんでした。
本当に、この母親がクズで、何でこんな人間が出来上がったのかしらと思うほど酷い人間でした。秋子がこれほどのクズになったのは、やっぱりこの両親、殺された祖父母にも問題があったのではないかと思います。普通に常識的に育てたら、これほどにクズにはならないような気がするのですが、実際にこういう人間が出来ちゃっているということは、
どんな育て方をしたんでしょうねぇ。秋子は周りの人間に対して、見せかけの愛情はあっても、心からの愛情があるようには見えませんでしたもん。
まぁ、でも、長澤さんの演技が本当に上手かった。これ程にクズを演じてくれるとは、驚きました。素晴らしいです。大森監督作品だと、俳優さんが凄い演技を見せる事があるのですが、今回の長澤さんもそうだと思います。大森監督作品の「さよなら渓谷」「ぼっちゃん」「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」でも、俳優さんが凄い演技をしているので、今回も期待していましたが、期待以上になっていました。
息子・周平役の奥平くん、演技が初めてらしいのですが、こんな育てられ方をしたら、こんな風に感情が無いような子供に育つんだろうなと想像出来るような演技で、凄いなぁと思いました。美少年なので、これからが楽しみです。でも、アイドル的になって欲しくないな。出来たら村上虹郎くんのように演技派に育ってほしいです。
それにしても、祖父母を殺すところまで行ってしまうなんて、どこかで止められなかったのかしら。児童相談所は、母親が育てると言っていたら引き離せないのかな。完全に家庭崩壊しているのだから、母親が働くようになるまで、子供を施設で引き取るとか出来るようにならないのかしら。これじゃ、子供が可愛そうだと思いました。学校に行きたくても行けなくて、勉強意欲があるのに出来ないというのが、あまりにも不幸に見えました。
根本的に、こういう女に子供を産ませないように出来ないのかしら。日本は自由の国だから出来ないんだろうな。あと、やっぱりパチンコ店はギャンブルなんだから、カジノ法案が成立したからには、そちらに混ぜて、普通の街中のパチンコ店は違法として欲しい。この秋子は、生活保護費を貰うとパチンコ店で使い切ってしまうんです。そういう人、沢山いるんじゃないかな?パチンコ店がカジノの中の一つとして専用地域だけにあれば、生活保護費を貰って直ぐに使い切るなんてことも防げるのではないかしら。大体、最低限の生活費なのに遊興費に使うなんておかしいでしょ。日本は狂っています。
この映画、本当に考えさせられました。母親が悪いのは当たり前なんだけど、そんな母親=怪物を作り出したのは、その親なのか、日本社会なのか。このままで息子が刑務所(少年院なのかな?)から出てきたら、また同じことが繰り返させるのではないかと怖くなります。だって、母親も息子を手放せないし、息子も母親を必要としているんですから。共依存って、恐ろしいと思います。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。凄いヒューマンドラマだと思います。特に長澤さんの演技が素晴らしいのと、息子とのやり取りが凄いです。恐いし、ムカつくし、観ていて”許せないっ!”って思う場面が何度もありました。それくらい、引き込まれる映画です。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。