「やっぱりイッドは黒だった。最初から胡散臭いと思っていたんだ、あのじじい。」
メギストリスへと走りながらザーンバルフが言う。
「フォステイルとイッドのどっちを信用するか、とか言ってたじゃないか。」と言うのはアディール。
「おいらはイッドがキライだって言ったぞ!」とドドルが言うと「私もイッドが怪しいと思っていましたわ。」とキサラギも言い、それを聞いたパルポスが「キサラギさんは見かけではわからないと言っておられましたよ。」と口を出した。
5人はメギストリスの都に到着し、長い階段を駆け上がって城内へと入り、そのまま王の間へと走り込んだ。王は席を外しているようで、イッドだけが腰を曲げて立っていた。
「ん?王なら今は・・・な!貴様!なぜ生きて・・・!あ、いや、失礼した。他の討伐隊とは一緒ではないのか?」
イッドの白々しい態度に「お前が黒幕だってことはわかっているんだ!」とザーンバルフが詰め寄った。
「何をおっしゃっているのかわかりませんな。」とイッドは首を振る。「おお、プーポッパン王、お戻りになられましたか。」イッドは話しを逸らすように、戻って来た王にすり寄った。
「これは何の騒ぎだ、イッド?おや、そなたは討伐隊の者。魔物は討伐できたのか?」
「いえ、魔物などいませんでした。すべてはそのイッドの計画だったのです!」アディールの言葉に、ドドルが続けた。「イッドの部下がおいらたちに襲い掛かってきて、ほかの仲間たちはみんなやられてしまったんだぞ。」
「は~。これは、なんたるデタラメを。」イッドは反り返って目を覆うように手をかざした。
「おい、王様!こんな奴の言うことを信じるんじゃない!見え見えの芝居じゃないか!」
ザーンバルフの言を聞いたプーポッパン王は「なに!?」と怒りをあらわにした。
「なんたる卑怯者よ!」
アディールははじめ、この王の言葉がイッドを糾弾するものだと思った。しかし、実際は、王の怒りが向いていたのはアディールたちのほうだった。
「腹心イッドが討伐隊を殺させたなど、バカも休み休み言うがよい!」ゲホゲホと咳き込みながら、王はまた入り口を指差した。「もう顔を見せるな!」
「と、いうわけです。お取り引き願いましょう。」イッドはニヤニヤしながら、掌で入り口のほうを示した。
ザーンバルフがぐっと拳を握りしめているのを見て、アディールは「行こう。」と入り口へと歩き出した。ここで騒動を起こすのはまずい。アディールはそう思った。
「さてさて王様。あの者たちが戻って来たということは、そろそろ討伐隊が魔物を倒した頃かと。」「うむ。わしも儀式の塔へ向かおう。」その声は、部屋を出て行くアディールたちには、もう聞こえなくなっていた。
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【目次】
序章:誕生【1】【2】
1章:エテーネの民【1】【2】
2章:旅立ち【1】【2】
3章:ランガーオの戦士【1】【2】【3】
4章:ジュレット【1】【2】
5章:グロリスの雫【1】【2】
6章:赤のエンブレム【1】【2】【3】
7章:港町【1】
8章:嘆きの妖剣士【1】【2】
9章:風の町アズラン【1】【2】
10章:世界樹の約束【1】
11章:ガラクタの城【1】【2】
12章:五人目の男【1】
13章:団長の策謀【1】【2】【3】【4】
14章:娯楽の島【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】
15章:三つの願い【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】
16章:太陽の石【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
17章:白き者【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】
18章:恵みの歌【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
19章:錬金術師【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】
20章:時渡りの術者【1】【2】【3】【4】
21章:ふたつ目の太陽【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】
22章:冥府【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
終章:レンダーシアヘ【1】【2】
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