遺跡までの道のりは長く険しいものだったが、アディールたちの護衛もあり、オーディスとキャスランは遺跡の奥、詩歌の間へと無事辿り着くことができた。
「ここに刹那の歌があるのか?」
オーディスが部屋の奥へと進むと、ひとつの石板が目に止まる。「これだ!ここに刹那の歌が書いてある!」
オーディスが部屋の奥へと進むと、ひとつの石板が目に止まる。「これだ!ここに刹那の歌が書いてある!」
王子がそう言ったとき、ゴゴゴという地響きとともに石板が浮き上がった。
「なんだ!?どうしたんだ!?」と驚くオーディスの前に現れたのは巨大なカニの魔物。「そうか、これが試練か。石板はこのカニの背中の一部だったんだな。」
「なんだ!?どうしたんだ!?」と驚くオーディスの前に現れたのは巨大なカニの魔物。「そうか、これが試練か。石板はこのカニの背中の一部だったんだな。」
「我が名は詩歌の守り手。歌を見守り、歌を育むものなり。歌を求めるならば、そのチカラを我に示さねばならぬ。」詩歌の守り手は両のハサミをシャキンシャキンと鳴らして自分が埋まっていた穴から這い出す。
「わかった。」オーディスは頷いた。「みんな、手を出さないでくれ。これは僕が受ける試練だ。」
そう言って鞘からレイピアを抜く。
そう言って鞘からレイピアを抜く。
「王子!その甲羅は剣では斬れません!やっぱりワタクシたちも!」
しかし、杖を構えるパルポスをオーディスは制止する。
「言ったはずだ。僕が受けるべき試練。仲間の手を借りては、試練の意味がない。これは僕の力量を試すための試験なんだ!」
「よく言った。しかし、生半可な気持ちでは、命を失うことになると思え。」守り手はカサカサとオーディスに走り寄り、その大きなハサミを振り下ろした。
オーディスはサッと身を翻し、鮮やかに後方に回転しながら跳躍する。「生半可かどうか試してみろ!あの女性を助けたい僕の気持ちは、そんな装甲を突き通す!」オーディスは着地するや否や攻撃に転じて、レイピアを右のハサミの根元へと突き刺した。
「ぐぎゃあ!」守り手が叫ぶ。
「レイピアは剣とは違う。厚い装甲の節を突く武器だ。いくら甲羅が堅くても、僕のレイピアの前では無力だ。」オーディスは、ブンと音を立ててレイピアを振ってみせ、鞘へと収めた。「試練とはこんなものか?」
「まだ終わりではない!」詩歌の守り手は怒号し、口を大きく開けてシャアァと滝のような水を吐き出す。
オーディスは、勢いよく流れる水に足をさらわれてバシャンと横倒れになった。「うわっ!」と、うめくオーディスに素早く詰め寄ったカニが左のハサミでオーディスの体を掴んだ。「ごふっ!」オーディスが、またうめく。
「勝手に終わったと思って油断してはならぬ!」
守り手は喝を入れるごとく、オーディスの体を壁に投げつけた。ごつごつした岩壁に、オーディスはドガっと叩きつけられ、ズルズルと滑り落ちる。鎧を纏っていても、その衝撃を防ぐことはできない。間髪入れずにカニはまたハサミを振り上げ、オーディスを殴りつける。
「ううう」と、か細い声を上げるオーディスに構わず、ハサミはまたオーディスを掴み、そして壁に叩きつけ、地面に擦りつけ、そしてぐいぐいと締めつける。
守り手は喝を入れるごとく、オーディスの体を壁に投げつけた。ごつごつした岩壁に、オーディスはドガっと叩きつけられ、ズルズルと滑り落ちる。鎧を纏っていても、その衝撃を防ぐことはできない。間髪入れずにカニはまたハサミを振り上げ、オーディスを殴りつける。
「ううう」と、か細い声を上げるオーディスに構わず、ハサミはまたオーディスを掴み、そして壁に叩きつけ、地面に擦りつけ、そしてぐいぐいと締めつける。
「いけませんわ!このままでは王子が死んでしまいますわ!」
キサラギがベホイミを詠唱しようとすると、しかしまたオーディスが怒鳴った。「やめろっ!僕の試練だ!」
キサラギがベホイミを詠唱しようとすると、しかしまたオーディスが怒鳴った。「やめろっ!僕の試練だ!」
「いい心掛けだが、それを実力で示せねば、汝はここで死ぬことになる。」
詩歌の守り手はオーディスをハサミでギリギリと絞め続けている。「こうなると汝の武器は使いものにならぬ。至近距離では力の入った突きができまい。」
詩歌の守り手はオーディスをハサミでギリギリと絞め続けている。「こうなると汝の武器は使いものにならぬ。至近距離では力の入った突きができまい。」
「それはどうかな・・・」絞り出すようにオーディスは「バイキルト!」と唱えた。そして、カニの目玉にそのレイピアを突き刺した。
「ぎょあぐあぁぁ!」カニのハサミがオーディスから離れる。その隙にオーディスはまた守り手から距離を取る。
「確かに僕の武器は近付きすぎると威力を発揮できない。でも、この距離は僕の得意な距離だ。」
オーディスはレイピアを高く掲げた。「ライトフォース!」オーディスの声とともに、レイピアが輝きを発した。「光のチカラを纏った僕の一撃で、僕の実力を確かめてもらおう!」突進したオーディスはカニの眉間に鋭くレイピアを突き出した。
オーディスはレイピアを高く掲げた。「ライトフォース!」オーディスの声とともに、レイピアが輝きを発した。「光のチカラを纏った僕の一撃で、僕の実力を確かめてもらおう!」突進したオーディスはカニの眉間に鋭くレイピアを突き出した。
「ぎゅうあぁぁ!」
レイピアは、カニの頭を石板ごと貫いていた。
「ぐ・・ぐぐぅ・・・確かに。汝のチカラを認めよう。さあ、この石板を読むがよい。そして祈るのだ。真に詩歌を受け継ぐ者になると強く祈るのだ。さすれば・・・汝は・・・」
詩歌の守り手の声はそこで途切れ、その続きが聞こえることはなかった。
「守り手よ。僕はヴェリナード王子の名にかけて、この歌を真に継ぐ者になると約束しよう。」
オーディスは動かなくなった守り手の背中の石板に祈りを捧げた。
「これは・・・頭の中に、流れ込んでくる。これが刹那の歌・・・。」
オーディスは、くるりと向き直って出口へと走った。
「行こう!これで水柱の女性が助けられる!」
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【目次】
序章:誕生【1】【2】
1章:エテーネの民【1】【2】
2章:旅立ち【1】【2】
3章:ランガーオの戦士【1】【2】【3】
4章:ジュレット【1】【2】
5章:グロリスの雫【1】【2】
6章:赤のエンブレム【1】【2】【3】
7章:港町【1】
8章:嘆きの妖剣士【1】【2】
9章:風の町アズラン【1】【2】
10章:世界樹の約束【1】
11章:ガラクタの城【1】【2】
12章:五人目の男【1】
13章:団長の策謀【1】【2】【3】【4】
14章:娯楽の島【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】
15章:三つの願い【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】
16章:太陽の石【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
17章:白き者【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】
18章:恵みの歌【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
19章:錬金術師【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】
20章:時渡りの術者【1】【2】【3】【4】
21章:ふたつ目の太陽【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】
22章:冥府【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
終章:レンダーシアヘ【1】【2】
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