カインの冒険日記

カインの冒険日記

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ただいまドラクエ8(3DS)の冒険中


登場人物
カイン……主人公。口数の少ない優男。元王宮兵士
ヤンガス……元山賊。カインをアニキと呼ぶ
ゼシカ……元アルバート家令嬢。猪突猛進
ククール……元マイエラ聖堂騎士団。キザ男
ゲルダ……女盗賊。宝探しに憧れるがセンスはない
トロデ王……亡国の国王。呪いで魔物の姿にされている
ミーティア姫……トロデ王の娘。呪いで馬の姿にさせられている
トーポ……ネズミ


レティス……神鳥
チェルス……故人。七賢者クーパスの末裔。ハワード邸の使用人
ハワード……呪術師。クーパスから呪術のチカラを継承
レオパルド……ハワードの愛犬。暗黒神の杖を所有
法皇……七賢者の末裔
マルチェロ……ククールの兄。現マイエラ修道院長で法王の護衛役
クーパス……故人。古の七賢者
ラジュ……エルフ。三角谷の創立者
ニノ……大司教。法皇の目を盗んでマルチェロから賄賂をもらっていた



目次
1話:トラペッタ
2話:ルイネロの水晶
3話:リーザス
4話:リーザス像の塔
5話:港町ポルトリンク
6話:海を越えて
7話:宿場町ドニ
8話:マイエラ修道院
9話:オディロ院長襲撃容疑
10話:院長殺害事件
11話:アスカンタ
12話:イシュマウリ
13話:パルミド
14話:女盗賊ゲルダ
15話:陸の古代船
16話:トロデ―ン
17話:月影のハープ
18話:ベルガラック
19話:ラパンハウス
20話:サザンビーク
21話:アルゴンハート
22話:太陽の鏡
23話:ドルマゲス
24話:リブルアーチ
25話:ライドンの塔
26話:呪われしゼシカ
27話:雪国オークニス
28話:薬師メディ
29話:キャプテン・クロウの財宝
30話:レティシア
31話:神鳥レティス
32話:黒犬レオパルド





過去作品
ドラクエ6冒険日記(DS版)
ドラクエ4冒険日記(DS版)
ドラクエ5冒険日記(DS版)
ドラクエ3冒険日記(WiiFC版)
ドラクエ1冒険日記(WiiFC版)
小説ドラクエ10
ドラクエ2冒険日記(WiiFC版)





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※コメントにはなるべくお返事しようと思っていますが、
感想のないコメントにはお返事できないかもしれないのでご了承くださいねm(_ _)m


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登場人物
カイン……主人公。口数の少ない優男。元王宮兵士
ヤンガス……元山賊。カインをアニキと呼ぶ
ゼシカ……元アルバート家令嬢。猪突猛進
ククール……元マイエラ聖堂騎士団。キザ男
ゲルダ……女盗賊。宝探しに憧れるがセンスはない
トロデ王……亡国の国王。呪いで魔物の姿にされている
ミーティア姫……トロデ王の娘。呪いで馬の姿にさせられている
トーポ……ネズミ


レティス……神鳥
チェルス……故人。七賢者クーパスの末裔。ハワード邸の使用人
ハワード……呪術師。クーパスから呪術のチカラを継承
レオパルド……ハワードの愛犬。暗黒神の杖を所有
法皇……七賢者の末裔
マルチェロ……ククールの兄。現マイエラ修道院長で法王の護衛役
クーパス……故人。古の七賢者
ラジュ……エルフ。三角谷の創立者
ニノ……大司教。法皇の目を盗んでマルチェロから賄賂をもらっていた

 

 

カインたちが神鳥レティスのチカラを求めたのは、
黒犬レオパルドを追うためである。
オークニス近くの遺跡にて、
カッティードの末裔の老薬師メディを仕留めた黒犬が、
サヴェッラ大聖堂の方向に飛び去ったのを見て、
カインたちは、
それを追ってサヴェッラ大聖堂へとやって来た、
という経緯がある。
サヴェッラ大聖堂は、巡礼者たちの聖地であったが、
巡礼者たちの崇拝の対象である法皇は、
さらに上空、法皇専用の特殊な昇降機でしか、
昇り降りできない高みに住まいを構えているらしかった。
その法皇は、
故マイエラ修道院のオディロ院長と学友であったという。
七賢者の末裔であるオディロ院長を差し置いて、
法皇の座に上り詰めた人物である以上、
その法皇自身もまた、七賢者の末裔に違いない。
カインはそう直感していた。

黒犬レオパルドの狙い
……つまり暗黒神ラプソーンの狙いが、
七賢者の末裔の抹殺であるであることは、
すでにカインたちも知るところである。
そういうわけで、
レオパルドを追っているカインたちが目的を果たすには、
つまり法皇を守らなければならない、ということになる。
しかし、法皇専用の昇降機に、
許可のないカインたちが乗ることはできない。
したがって、法皇を守らなければならないカインたちが、
法皇に近づく手段は、空路しかなかった。
そして今、
神鳥の魂を得たカインたちは、
鳥になることができるようになり、
ついにサヴェッラ大聖堂上空にある法皇の館に、
足を踏み入れることができたという運びだった。



こうして法皇の館へとやって来たカインたちであったが、
正規のルートで法皇の許可を得て来訪したわけではない。
いわば不法侵入である。
であるので、
中庭で法皇とマルチェロが会話をしていたとき、
堂々と話しかけるのも気が引けて、
物陰に隠れて盗み聞きをする流れになった。

「よからぬ噂を耳にしておる」
法皇は、マルチェロにそう話しかけていた。
今から説教をするための前置きである。
「法皇様ともあろうお方が、そのようなでたらめをお信じになるとは」
とマルチェロはとぼけている。
堂々と、かつ、ぬけぬけとした立ち振る舞いである。
反省する気のなさそうなマルチェロに、法皇は、
「オディロは親友じゃった。かけがえのない、ただひとりの友」
と遠い目をしながら、今は亡き学友の話を聞かせる。
親に捨てられオディロのもとで育てられたマルチェロが、
オディロ亡き後も道を誤らぬように、
せめて自分の目の届くところに置いておこうと、
法皇は考えていた。
「マルチェロよ、そなたは頭も良い。腕も立つ。聖堂騎士団を率い、よく働いておる」
一見褒めているようにも聞こえるが、
法皇が言いたいことは、
「なぜ、それで満足できぬ?」
ということだった。
マルチェロが、
教徒や巡礼者から、寄付金という名目で、
強制的に金品を巻き上げていたことは、
マイエラ修道院でも有名な話であった。
そして、その金で、
騎士団とは名ばかりのごろつきを雇っていたことも。
他にも、ここサヴェッラ大聖堂でも、
ニノ大司教に賄賂を差し出して便宜を図らせていた、
ということもある。
贈収賄を含めた、数々の悪事を
法皇は耳にしていたのである。
「そなただけの責ではない。教会が汚れ、金にまみれたのは、わしがふがいないせいかも知れぬ」
法皇は自分の責任をも痛感していたが、
そのようなことは、
マルチェロには全く響かない様子だった。
悔い改める様子もなく、
「失礼いたします。法皇様に神のご加護がありますよう」
と表情を変えずに去っていくマルチェロに、
「もはや、わしの言葉すら届かぬのか。わが友オディロよ」
と、法皇は目を伏せて立ち尽くすだけだった。

その一部始終をカインたちは盗み聞きしていた。
腹違いの兄がそこまで言われていることに対して、
ククールはもはや何も口にしなかった。
ただ、これはこれで由々しきことではあったが、
単なる教会内の不祥事である。
暗黒神に世界が崩壊させられるほどの問題ではない。
それに、黒犬が襲撃した様子もなかった。
法皇が健在であることがわかっただけでも、
ひとまずの収穫だったと言うこともできた。
また、こんなマルチェロではあっても、
腕が確かであることは、法皇ともども、
カインもヤンガスも認めている。
レオパルドが襲撃してきたとしても、
易々とやられはしないだろうと、
カインたちは漠然と思っていた。



それからカインたちは、また鳥の姿になり、
三角谷という集落へとやって来ていた。
空から黒犬を探している最中に、
足を踏み入れたことのない場所に、
集落があるのを発見したからである。

三角谷は、
人間と魔物とエルフが共に暮らす谷だった。
「ここならコソコソせずに、堂々と歩き回れるではないか」
とトロデ王も喜んで走り回り、人々に話しかけている。
今までコソコソ隠れてきたフラストレーションは、
きっと大きかったのだろうと、
ここでカインも思ったものだった。

三角谷の起源は、数百年前、
古の七賢者のひとり、クーパスの時代まで遡る。
クーパスは、旅の途中、
傷ついたエルフとギガンテスを助け、
それに恩を感じたエルフとギガンテスは、
以来クーパスのお供として旅に同行した。
しかし、人間とエルフと魔物は、
心が通ったとしても、寿命の壁によって隔たれる。
人間が天命を全うするための期間は、
エルフや魔物から見ればあまりにも短い期間なのだ。
やがて、クーパスは老いて息を引き取ったが、
彼らの絆は、寿命の壁で隔たれはしなかった。
クーパスにいたく共感していたエルフと魔物は、
彼の死後、彼の遺志を後世に遺すために、
この三角谷に村を作り、
クーパスと同じように、
人間もエルフも魔物も分け隔てなく、
受け容れてきたのである。
クーパスの遺志とは、
世界を襲った暗黒神の恐怖を
人々の記憶から消さないことであり、
だからこの谷の住民は、
ラプソーンの恐怖を今も語り継ぐのだ。
それが、この谷の住民たちの、
敬愛するクーパスへの心の在り方なのである。

この話は、
単なるおとぎ話ではなかった。
というのも、
クーパスを敬愛して集落を作り、
数百年間ここで世の行く末を見守って来た集落の創立者、
エルフとギガンテスは、まだ存命だったのである。
そのエルフは、カインたちにラジュと名乗った。

ラジュは、
初対面のときから、カインたちに協力的だった。
もちろん、ラジュもカインたちも、
暗黒神を封じる目的が共通していたというころもあるが、
それに加えて、
ラジュには苦々しい後悔心を抱えていたからである。

それは、チェルスのことだった。
リブルアーチのハワード邸で、
使用人として働いていたチェルスは、
ここ三角谷の出身である。
チェルスは、七賢者クーパスの末裔だったが、
谷の住民は、そのことを隠してチェルスを育てていた。
チェルスが一人前になったそのときに、
その秘密を告げると決めていたのだ。
これは、チェルスの身を案じてのことだったのだが、
ところが、それは逆にチェルスを危険にさらした。
彼は一人前になる前に谷を出てリブルアーチに行き、
結果的に、自分の正体を知らずに命を落とす。
それを看取ったのは紛れもなくカインである。
そのときはカインも、
なぜ誰も、
チェルスに自分の血筋について教えなかったのかと、
疑問に思ったものだった。

チェルスの死に負い目を感じていたラジュは、
それを看取ったカインに対して、
協力しなければならないという使命感を
抱いていたというわけだった。
「暗黒神が復活すれば、この世界は闇に沈む。復活を阻止するのが、私たちの数百年に渡る長き願い」
ラジュはそう言い、
クーパスの遺産、暗黒大樹の葉を
カインたちに授けてくれた。

この暗黒大樹の葉は、
禍々しき存在を追跡するチカラがあるようだった。
地図上に置くと、
何かを感知するように、ある地点を示した。
しかも、その葉は、
固定点を指してはおらず、移動している。
暗黒神の杖を持つレオパルドが、
飛び回っているのを意味しているのだろう。
「暗黒神の復活を阻止する唯一の手段は、暗黒神の封印に使われた杖を再び結界に封じ込めること」
とラジュは言う。
ともかく、
空を飛ぶ手段を手に入れ、
レオパルドの位置もこうしてわかる。
ついに決着をつけるときが来たということである。

カインが、その場所に向けて飛び立とうと思ったとき、
クーパスが記したという壁画が目に入る。
七賢者に関する壁画だった。
こう書かれている。

神の子エジェウス。わずか6歳にして奇跡の予言者。暗黒神の存在に最初に気付いた方。
天界を見てきた男レグニスト。誰よりも神を知る。神鳥をレティスと名付けた。
大学者カッティード。その知識は比類するものなく、世界の全てを熟知する。
無敵の男ギャリング。ひとりで騎馬隊50人に勝利した技と強運の持ち主。
魔法剣士シャマル。剣と魔法の使い手でありながら、同時に天才的な彫刻家だった。
魔法使いマスター・コゾ。この世界で彼にしか使えない呪文は片手では足りない。
かつての呪術の使い手クーパス。
我らはそれぞれの命をカギとして、封印の杖にラプソーンの魂を封じ込めることに成功した。我ら一族があり続ける限り、暗黒神の身体と魂が出会い蘇ることは決してない。ラプソーンの身体は、世界の中心にある大岩に封じ込めた。人々がいたずらに扱わぬよう、魔法剣士シャマルが大岩を像に生まれ変わらせたと聞く。

この記述から想像すると、
法皇は、
誰よりも神を知るレグニストの末裔なのかもしれない。
そして、七賢者の末裔、最後のひとりでもある。
法皇を守れないことは、
暗黒神の復活と直結することになるだろう。
神鳥の魂で鳥となったカインたちは、
暗黒大樹の葉が指し示すレオパルド目掛けて、
飛び立った。



レオパルドの位置を検知できるようになったカインは、
空を飛んで黒犬を探し、やがて発見する。
そして、そこから上空での長い追跡劇の末、
レオパルドが法皇の館に飛び込んだタイミングで、
やっと黒犬を捕らえることに成功した。
空を飛べなくても、黒犬の位置を検知できなくても、
法皇の護衛として待ち伏せしていればよかったのに、
と考えることができるならば、
ここまでの9連敗はきっとなかったことだろう。
カインたちは、あまり先を読むことができず、
ただただ現場の状況に振り回されて右往左往するのが、
得意であるのだ。
であるから、9連敗が10連敗になるのに、
そう時間がかからないことも、
わかる者にはわかっていたことだろう。

レオパルドはまだ法皇に危害を加える前ではあったが、
しかし眼前でカインたちと黒犬の死闘を目撃するのは、
老骨に響いたようだった。
レオパルドがチカラ尽きて倒れたときには、
法皇も意識を失って倒れていたのである。

レオパルドを倒した後になって、
ニノ大司教とマルチェロが遅れて駆け付けた。
「法皇様!ご無事ですか!」
とニノ大司教は倒れた法皇に駆け寄る。
そして、その無事を確認するや、
「この役立たずめ!何が警護役だ!貴様は降格だ!」
とマルチェロを叱責した。

もともとニノ大司教は、
マルチェロから賄賂を得て、
法皇にマルチェロを推薦したという経緯がある。
ところが、法皇の側近の立場を確立した途端、
掌を返したようにマルチェロは、
賄賂を差し出さなくなった。
それに憤慨したニノ大司教は、
何かの失態に付け込んで、
マルチェロを降格させてやろうと企んでいたのである。

そういう経緯が、
ニノ大司教の言動に繋がっていたのだが、
しかしマルチェロのほうが一枚上手だった。
「はっはっは。ニノ大司教、そういうわけでしたか」
とマルチェロは、ふてぶてしく笑い出し、
「野犬と、誰とも知らぬごろつきどもを雇い、騒ぎを起こしてそれに乗じ、法皇様の暗殺を謀るとは」
と、とんでもない濡れ衣をでっち上げたのだ。
咄嗟の事件、咄嗟の叱責、咄嗟の状況にして、
この悪魔のような切り返しができたマルチェロは、
この瞬間、
神の頭脳を手に入れたと言っても過言ではなかった。

あまりに荒唐無稽な濡れ衣だったが、
ニノ大司教のほうも事実無根とは言えないでいる。
次期法皇の座を狙って、
よからぬ企みをしていたことは事実だからである。
ニノが反論できずにいたのに対して、
マルチェロの追撃は速かった。
「捕まえろ!このごろつきどもをまとめて煉獄島へ流刑にするのだ!」
と護衛団に命じたのである。



こうして孤島の流刑場に閉じ込められたカインたちが、
ニノ大司教の犠牲のもと、
そこから脱獄できたのは1ヶ月後のことである。
それほどの時間が経ってしまえば当然のことだが、
時すでに遅く、法皇は帰らぬ人となってしまっていた。
黒犬が落とした暗黒神の杖を回収しようともせず、
マルチェロの護衛団に大人しく従って投獄され、
そこで1ヶ月間も時を浪費していたのだから、
法皇が健在であるほうがあり得ない話である。
杖を拾った誰かが、最後の七賢者を殺害することも、
法皇の座を狙ったマルチェロが陰謀を企てるのも、
どちらも容易に想像がつくし、
その両方が同時に起こることも想定の範囲内。
10連敗は、
起こるべくして起こったのである。

法皇の死は、
散歩の途中に足を滑らせての転落死、
と公式には伝えられた。
しかし、その表向きの死因が、
真実でないことは一目瞭然である。
また、そのように表向きに取り繕ろう必要があったのが、
ラプソーンであるはずもない。
マルチェロの意向であったことは疑いないだろう。
ということは、
犯人もまたマルチェロであったに違いなかった。



何のためにレティスのチカラを得たのか。
何のために黒犬を追跡したのか。
その目的に対して、
七賢者全滅というこの結果。
自分が暗黒神の手先なのではないかと、
カインが思うようになったのはこの頃のことである。



カイン:レベル37
プレイ時間:67時間46分、サヴェッラ大聖堂

 

 

続く

 

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