ドラクエ8冒険日記(18) | カインの冒険日記

カインの冒険日記

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      読むドラゴンクエストの世界へようこそ。

登場人物
カイン……主人公。口数の少ない優男。元王宮兵士
ヤンガス……元山賊。カインをアニキと呼ぶ
ゼシカ……元アルバート家令嬢。猪突猛進
ククール……元マイエラ聖堂騎士団。キザ男
トロデ王……亡国の国王。呪いで魔物の姿にされている
ミーティア姫……トロデ王の娘。呪いで馬の姿にさせられている
トーポ……ネズミ


ギャリング……ベルガラックのカジノのオーナー
ドルマゲス……悪の魔法使い。トロデ王に呪いをかけた道化師

 

 

 

トロデ―ンから海を隔てた遥か西に、
ベルガラックという賑やかな町があった。
賑やかな町があった、というのは、
やや過去形になりつつある。
というのも、
この町が賑やかである最大の理由、
カジノの営業が、
このほど休業になってしまったからだ。
それまで年中無休で運営していたカジノが閉鎖され、
オーナーであるギャリングが自宅から出てこなくなり、
その理由に対してあらぬ噂が立つようになった。
先日、ギャリング邸に入った強盗と争い、
ギャリングは怪我をしてしまったのではないかと、
まことしやかに囁かれていた。

ギャリングを知る町人たちは、
ギャリングを熊のような大男だと言い、
ギャリング邸に入り込んでも金も宝も盗めなかった強盗に、
半ば同情する声もあるほどであった。
最強の男ギャリングを相手にせねばならぬとは、
強盗もツイてなかっただろう、と。
ギャリング邸から逃げ帰るのには、
怪我では済まなかったのではないだろうか、と。
とはいえ、それでもギャリングに怪我を負わせたというのなら、
強盗のほうもそれなりの手練れであったのではないか、と。

これらはすべて、
町人たちの噂話であり、真実ではない。
真実は、もっと単純で、もっと残酷であった。
ギャリングは、
その強盗に、
殺害されてしまっていたのだ。
強盗に侵入された後、
全く顔を見せなくなったのにもかかわらず、
誰もギャリングの死を想像しないほど、
ギャリングとは屈強な男だったのである。
金も宝も奪わなかった盗賊は、
ギャリングの命だけを奪っていったのだった。
その身なりは、
道化師の姿であったと、目撃者は言う。


カインたちが、
町人でも知り得ないその事実を知ったのは、
バーのマスターとホテルの支配人の会話を
盗み聞きしてしまったからである。
はじめ、
そんな深刻な事態になっていることを知らないカインたちは、
強盗の情報を聞いて、
人様の家の物を盗もうなんて、
とんでもないことを考える者がいたものだ、
と憤慨しながら宿のタンスから小さなメダルを頂いたものである。
そして、
ここベルガラックにあるゴールド銀行本店の受付で、
「本店では無敵の金庫でお客様のお金を守ります」
と言われるのを聞きながら、
魔法の鍵を使ってその金庫の横にある宝箱から、
守りのルビーを頂いたものである。
強盗が金目の物を何も奪わなかったというのに、
この日、すでに、
ヤンガスの盗賊の鼻で感知した22個の宝のうち、
16個がカインの手に落ちていた。

それはさておき、
カインたちが、
盗み聞きした内容をバーのマスターに迫ると、
マスターは渋々といった表情で、
情報を教えてくれた。
これがドルマゲスの犯行だと、
カインたちは薄々感じていたので、
ドルマゲスと思しき強盗の行方を
聞き出さねばならない状況である。
本来ならば、
これをこそ未然に防ぐために、
カインたちはこのベルガラックへとやって来たのであるが、
古代船を動かすためにハープを手に入れるだの、
それを盗んだモグラを退治するだの、
それよりも前にパルミドでの騒動があり、
ビーナスの涙を探しに行ったのも、
ミーティア姫と馬車を取り戻すためであって、
ドルマゲスを追うこととは無関係だった。
それほどの時間がかかっているのだから、
先行したドルマゲスが、
ひと仕事を終えてしまっているのは、
時間的には当然の結果である。
情報通のマスターが言うには、
死んだギャリングの2人の子供たちが、
父の仇討ちのために、
北の島にある闇の遺跡に、
生前の父の部下たちを差し向けた、
ということだった。


その情報をもとに、
カインたちは早速、闇の遺跡へと足を運んだ。
ギャリングの部下たちの後を追ったつもりでいたが、
実際はカインたちのほうが出発が早く、
モタついていたギャリングの部下たちは、
後発の旅人に逆転されたと知って、
慌てて追いかける形となった。
それをまだ知らないカインたちは、
先発隊を追うつもりで、
なんと、ドルマゲスに追いついてしまう。
カインたちが追ってきたと気付いたドルマゲスは、
ニヤリとした表情を浮かべながら、
遺跡の中へと入って行った。
「遺跡の中に追い詰めたでがす」
とヤンガスが言うと、
「追い詰められたって表情じゃなかったわよ」
とゼシカが答え、
「罠かもしれないな」
とククールも意見した。
罠かもしれないから追うのをやめる、
ということには決してならないのだから、
懸念があったとしても、
遺跡に踏み込む以外の選択肢はカインたちにはない。
しかし、実際に踏み込んでみると、
闇の結界のせいで、
中には進めず、
気が付けば遺跡の外に追い出されてしまうようだった。
そこへ、
遅ればせながらやって来たギャリングの部下たちが、
「そういえば、闇を払う魔法の鏡の話を聞いたことがある」
と情報をもたらした。
ベルガラックから南東の、
サザンビーク王家に伝わる話であるという。
ドルマゲスを追うには、
どうやら、サザンビークに行く必要があるようだった。


今となっては契約が生きているのかどうだか不明だが、
サザンビークは、
ミーティア姫の嫁ぎ先になる予定だった国である。
トロデ―ンが滅びる前の話であり、
ミーティア姫が人の姿であるときの話であったが、
トロデ―ン王女殿下ミーティアは、
サザンビーク王子妃殿下ミーティアに、
なる予定であったのだ。
もちろん、
トロデ―ンとサザンビークは、
同盟国なり姉妹国なりの関係になるはずのところだった。
しかし、
その矢先にドルマゲスの呪いに堕ち、
トロデ―ンは滅亡の途を辿った。
サザンビーク国は、
さぞ驚いたであろうし、さぞ心配したであろうが、
トロデ王たちはまだ、
自分たちの生存を伝える職務を全うしてはいない。
国は滅び、人の姿を失ったが、王と王女は存命。
それが、現状のトロデ―ンの状況である。
本来ならば、
もっと早い段階でサザンビークを訪ね、
それを伝えるべき立場にトロデ王はいたが、
現実的には、
船を手に入れた今だからこそ、
やっとそれが可能になったとも言える。

カインはともかくとして、
トロデとミーティアは、
いずれにしてもサザンビークに行く必要があったのである。



カイン:レベル25、ベルガラック
プレイ時間:32時間20分

 

 

 

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