ドラクエ8冒険日記(9) | カインの冒険日記

カインの冒険日記

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      読むドラゴンクエストの世界へようこそ。

登場人物
カイン……主人公。口数の少ない優男。元王宮兵士
ヤンガス……元盗賊。カインをアニキと呼ぶ
ゼシカ……元アルバート家令嬢。猪突猛進
トロデ王……亡国の国王。呪いで魔物の姿にされている
ミーティア姫……トロデ王の娘。呪いで馬の姿にさせられている
トーポ……ネズミ


ククール……マイエラ寺院聖堂騎士団
マルチェロ……聖堂騎士団長
オディロ……マイエラ修道院長
ドルマゲス……悪の魔法使い。トロデ王に呪いをかけた道化師

 

 

 

ククールというイカサマ師はいま一つ信用できないが、
ドルマゲスの情報があるのだから追わねばならない。
カインたちは、
ククールの指示通りに、
旧修道院の廃墟を探し、
鍵となる聖堂騎士団の指輪を使って中へと足を踏み入れる。
マイエラ修道院長オディロを救うためである。

 


ククールの言ったとおり、
旧修道院は、
現マイエラ修道院オディロ院長室の裏庭に繋がっていた。
これでひとまず、
橋の上で道を塞ぐ石頭の衛兵たちの背後へ回り込むことができた。
が、
カインたちが旧修道院を抜けようとしているその間に、
事態は大きく変わってしまっていた。
今となっては、
衛兵たちは、橋上に立ち塞がっていたりはしない。
3人の衛兵がゴロンと横たわってしまっている。
何者かにやられてしまったのは明白であり、
おそらく犯人がドルマゲスであることも、
半ば明白と言って差支えがない。

院長室のある院長棟に入ると、
さらに3人の衛兵が倒れていた。
カインが駆け寄ると、
衛兵たちはかすれる声で、
道化師にやられたことを告げた。
院長に呼ばれた道化師は、
しばらくは1階待合室でおとなしくしていたが、
突然衛兵たちをなぎ倒して、
院長の寝室のある2階に駆け上がったと言う。

カインたちは、
それを追って、急ぎ階段を駆け上る。
そして、
ついに道化師、ドルマゲスの姿を目撃するに至った。
ドルマゲスは、
ベッドで眠る院長を手にかけようとしているようでもあるが、
ただただ佇んでいるようでもある。
しかし、
カインたちに気付くと、
スッと姿を消してしまう。

 

ハッキリ言って、
カインには意味が分からなかった。
ドルマゲスはいったい何をしに来たのだろうか。
オディロ院長を殺害するためだとすれば、
ずいぶんと手際が悪い上に、
オディロ院長はまだ健在だ。
ドルマゲスに倒された兵士は6人、
橋の上と院長棟の1階で、それぞれ3人ずつだ。
しかし、
ドルマゲスは日中の時点で橋の上を通過して、
正式に院長棟に入っているのだから、
橋の上の兵士を倒したとすれば、
わざわざ院長棟を出て橋まで戻っていることになる。
そして、
橋の上で衛兵を倒し、
その上で再度院長棟に入り、
棟の1階の3人をなぎ倒し、
2階の院長室に駆け上がり、
そこで、ただただカインたちが訪れるのを待っていたことになる。
しかし、
その仮説もまた不自然な点がある。
棟1階の衛兵は、
おとなしくしていた道化師が突然2階に駆け上がった、
と証言しており、
一度外に出たということは言っていない。
ところが、
事実、外で衛兵が倒れているのだから、
ドルマゲスが外に出たのは間違いがないはずである。
いや、
とカインは想像する。
ドルマゲスほどのチカラがあれば、
何も接近せずともよいのではないか。
棟の中に居ながらにして、
橋の上の兵士をなぎ倒すぐらいのことは、
ドルマゲスにならばできるのではないか。
そう考えることもできる。
しかし、それではさらに不自然な点が出てくる。
それが可能ならば、
1階に居たまま2階の院長を殺害できるではないか、
ということである。
そうなると、
2階に駆け上がること自体、
意味のない行動であることになる。

 

ベッドで眠る院長を前にして、
カインはあれこれと考えを巡らせる。
が、
結局ドルマゲスの思惑はまるで見えてこない。
そうこうしていると、
院長のオディロが目を開いた。
院長は、
身の回りでどんなことが起きたかも気付いていない様子で、
「私に何か用かね?」
とカインに言った。
と、そのタイミングで、
今度は衛兵が階段を駆け上がって来る。
「いたぞ!こいつらだ!」
衛兵はカインたちを取り囲み、
「院長の命を狙うとはなんたる罰当たりめ」
とカインたちを取り押さえた。
とんだ濡れ衣だった。
院長が道化師を呼んだ事実があり、
道化師にやられたと証言する衛兵が存在し、
道化師は院長の命を狙っていると考える衛兵までいるにもかかわらず、
カインたちを見て『こいつらだ』と発言するのは、
一体どういうことなのか。
滑稽を通り越して、
カインは呆れるしかない。

 

「これは一体」
と目をぱちくりさせるオディロに対して、
遅れてやってきたマルチェロが、
「はい。昼間からうろついていた賊をこうして捕らえました」
と、抜け抜けと言う。
犯人は道化師であって賊ではない。
であるから、
カインたちが賊であるのなら、
カインたちは犯人ではないことになるのだが、
マルチェロは、
「現に見張りもやられております」
と、カインを睨みながら言った。
見張りを倒さなくていいように回り道をしたことが、
カインにはなんだかバカバカしくも思えてくる。

 


結局、
カインたちは、
取調室に連行され、
マルチェロに長々と尋問を受けた。
「お前たちが犯人でないのなら、部下たちは一体誰にやられたと言うのだ」
部下に聞けばいいだろう、
とカインは言いたくもなる。
そうすれば、
「道化師に」
と言うはずである。
「私の目はごまかせんぞ」
と凄むマルチェロの目が節穴であることを
もはやカインたちは疑わない。
カインは、
このときほど自分が無口であることを悔やんだことはない。
わずかなりとも弁論ができれば、
これだけ辻褄の合わない容疑を晴らせないことなどあり得ないのだ。
弁論ができないのはヤンガスとゼシカも同じだった。
「濡れ衣でガス!」
「やってないって言ってるでしょ!」
と、まるで水掛け論。
おおよそ論理的なことは何も言えない。
「トロデーン城に呪いをかけてトラペッタとリーザスで殺人事件を起こした道化師を追ってここまで来たが、オディロ院長が道化師と会おうとしていると知り、身を案じて助けに来た。院長を含めた目撃者の証言を集めてその道化師を調査せよ」
ということを言える者など、
カインたちの中には誰もいないのだ。
逆に、
カインたちの罪状を決定的にしたのが、
トロデ王の存在だった。
修道院の外をうろうろしていたトロデ王が聖堂騎士に捕らえられ、
その仲間だということで、
カイン一同は魔物の手下だと結論され、
それ以上の反論を許されず、
投獄されることになった。
魔物の勢力拡大を図るため、
人間の信仰の要であるオディロ院長の殺害を企て、
ククールから聖堂騎士団の指輪を盗み、
旧修道院からオディロ院長棟へ侵入し、
衛兵をなぎ倒して院長室に踏み込んだのだ、
と、マルチェロは、
的の外れた推理を長々と得意顔で述べた。

 


「明日の夜明けと同時に拷問にかけてやる」
マルチェロは、
牢の中のカインたちにそう言って去って行ったが、
カインたちが牢から出るのに、
そう長い時間はかからなかった。
牢の鍵を持ったククールが、
マルチェロの目を盗んで助けにやってきたのだ。
しかし、助けに来たとは言え、
今この状況があるのは、ククールのせいでもある。
ヤンガスとゼシカは、
散々ククールに悪態をつき、
「悪かったよ」
とククールも一応の謝罪の意を表明しつつ、
拷問部屋の隠し通路から一行は修道院を脱出した。

 

やっと修道院を出られた、
と思ったのも束の間だった。
振り返ると、
院長棟が燃え上がっているのが見えた。
「院長があぶない!」
ククールが青ざめた顔で、
修道院へと走って行った。

 

カインの脳裏に、
トラペッタのときの記憶が浮かぶ。
ドルマゲスは、
マスターライラス殺害の時には家ごと炎上させた。
今まさに、
同じことが起ころうとしているのかもしれない。
一方で、別の不安もよぎる。
もしかすると、
この放火の疑いも自分たちに向けられるのではないのか。
しかし、
ここまで来てしまうと、
傍観しているわけにもいかない。
ドルマゲスがそこにいるかもしれないのだ。

 

カインたちは、
せっかく脱出した修道院に向けて、
今一度走る。

 

 

 

カイン:レベル17、マイエラ修道院
プレイ時間:14時間33分

 

 

 

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