ドラクエ8冒険日記(6) | カインの冒険日記

カインの冒険日記

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      読むドラゴンクエストの世界へようこそ。

登場人物
カイン……主人公。口数の少ない優男。元王宮兵士
ヤンガス……元盗賊。カインをアニキと呼ぶ
ゼシカ……元アルバート家令嬢。猪突猛進
トロデ王……亡国の国王。呪いで魔物の姿にされている
ミーティア姫……トロデ王の娘。呪いで馬の姿にさせられている
トーポ……ネズミ

 

ドルマゲス……悪の魔法使い。トロデ王たちの呪いの主

 

 

 

 

オセアーノンを倒して、
ポルトリンクから南の大陸への、
航路を開いたカイン一行。
船に乗ってドルマゲスを追うことを決断する。

 

船に乗り込む段になって、
ゼシカがカインに話しかけた。
ドルマゲスを追う目的が同じなのだから、
仲間にしてくれないか、と。
今更か、とカインは思う。
リーザス村のあたりからそうすべきだと思っていたのに、
ずいぶんと待たされたものである。
逆に、
なぜこのタイミングでそう思ったのかを
問いただしたい気分である。
「こう見えても私は魔法使いのタマゴなの。きっと役に立つわ」
ゼシカの言葉に、
カインは納得するやらしないやら。
呪文が当たらないのだから、
魔法使いとして役に立ちそうにはない。
しかし、タマゴだというのなら、
もしかしたら、
この先ヒナにぐらいはなるのかもしれない。
いろいろと考えはしたが、
「仲間にしてくれない?」
という質問の答えは、
「いいえ」
だ。
なぜなら……

 

カインがその理由を言うより前に、
ゼシカは、
「やっぱりダメ?」
と、予想外にしおらしい表情を見せた。
「でも、あいにくだけど」
しおれてばかりもいないのがゼシカだ。
「私は一度決めたら絶対にそうしないと気が済まない性格なのよね」
ゼシカは堂々と言ってのけた。
「あなたが何と言おうと、私も一緒に旅をさせてもらうわよ」
はじめの質問は何だったのかと、
カインは苦笑いをする。


しかし、
ゼシカと一緒に旅をするのに否定的な気持ちはない。

「仲間にしてくれない?」
という質問に、
カインは『いいえ』と答えた。
しかしその理由は、
『仲間にしたくない』ということではない。
そうではなく、
『もう仲間だから』だ。

ゼシカと共に歩くことが決定されたのは、
リーザス像の塔で、
像に宿るサーベルトの思念から湧き出る、
ドルマゲスの姿を見たあのとき、である。
ゼシカが、
ノーコン魔道士だとわかった直後、
ということだ。
サーベルトのカタキを討つ、と意気込むゼシカが、
そのカタキはドルマゲスだと知ったその瞬間、
カインたちとゼシカは運命共同体となったのだ。


今更、
仲間になるならないの話をする必要なんてない。
それがカインの思う答えだった。
だいいちゼシカは、
世間知らずの富豪令嬢で、
魔法しか使えない上に、
しかも、その魔法が命中しないのだから、
スライムにもやられてしまいそうなお嬢様だ。
面倒を見なければならないという思いが、
優男カインにはあったのだ。

 

そもそも、
カインが優男ぶりを発揮するのは、
何も若い乙女に対してだけではない。
いま、カインを『アニキ』と崇めるヤンガスが、
旅に同行しているのも、
カインがカインであったから、だ。

 

ヤンガスは、
もとはパルミドという街を拠点とした、
しがない山賊だった。
しかしヤンガスは、
それに嫌気がさして、
それまでの山賊暮らしから足を洗おうと、
住み慣れた街から離れた。
しかし、
何せ悪人顔。何せ無骨者。何せドス声。
足を洗うとは言ったものの、
どこに行っても受け入れてはもらえず、
場所を変えても、
結局は山賊としてしか生きていけないのだと、
打ちひしがれつつも開き直っていた、
ちょうどそんな折り。
トロデーン城に降りかかったイバラの呪いから、
トラペッタに向けて、
逃げるようにしてやって来たカイン一行と、
ヤンガスは出会ったのだ。
馬車を引くカインたちが、
吊り橋に差し掛かったところで、
山賊から足を洗った山賊ヤンガスが、
「おうおう。この橋を渡りたければ通行料を置いていきやがれ」
と立ち塞がったわけである。
「端がダメなら真ん中を」
という頓智がわからないヤンガスは、
カインが橋に足を踏み入れた瞬間、
斧を振りかぶって襲い掛かった。
が、その斧が刺さったのはカインではなく橋板そのもの。
ヤンガスは、
自分自身で、吊り橋に斧を食い込ませてしまったのだ。
結局カインたちは、
斧を抜こうとするヤンガスを尻目に、
馬車を引いたまま橋を渡ったのだが、
そうこうしているうちに、
やがて吊り橋が崩れ、
斧から手を離さぬヤンガスは、
そのまま切れた吊り橋とともに落下してしまう。
切れた吊り橋にぶら下がったヤンガスを見て、
「自業自得。世に悪が栄えた試しなし、じゃ」
と、トロデ王は言ったが、
カインは、そんなヤンガスを
吊り橋を引き上げて助けたのである。
助けられて驚くヤンガスに、
カインは、自慢の優男スマイルを見せた。
それに感服したヤンガスは、
その後、カインを『アニキ』と呼び、
カインに付き従い、
そして現在に至る、
という経緯があったのだ。
そういうわけで、
ヤンガスの旅の目的は、
カインの目的のために身を尽くす、
そういうものであった。

 

「聞くも涙、語るも涙でがす」
と、船上で長々と語るヤンガスの身の上話を
「あー、はいはい」
と素っ気なくゼシカがあしらう。
「男にしかわからない話でがす」
背中を見せて立ち去るゼシカに構わず、
ヤンガスは感慨にふける。

 

やがて船は、
南の大陸の船着き場に到着した。

 

カインが宿を覗くと、
ポルトリンクから同じ船でやって来た、
盗賊から足を洗いたいヤンガスさながらの盗人が、
ピッキング用の商売道具である鉄クギを
『盗賊から足を洗った記念』と言ってカインにくれた。

 

そういえば、
トラペッタの道具屋が、
『鉄クギ』と『ブロンズナイフ』から『盗賊のカギ』が作れる、
と言っていたのをカインは思い出す。
しかも、
このタイミングで、
トロデ王が日々修理していた『錬金釜』が完成したと言う。
唯一、
イバラの呪いに侵されたトロデーン城から持ち出した、
王家の遺品である。

 

カインは、
レシピに従い、
錬金釜に鉄クギとブロンズナイフを入れた。
やがて、釜が錬金終了を示す音を鳴らす。
カインは釜に手を入れて、
出来上がったそれを掴んだ。

 

カインは盗賊のカギを手に入れた。

 

 


カイン:レベル11、船着き場
プレイ時間:8時間35分

 

 

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