ドラクエ8冒険日記(13) | カインの冒険日記

カインの冒険日記

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      読むドラゴンクエストの世界へようこそ。

登場人物
カイン……主人公。口数の少ない優男。元王宮兵士
ヤンガス……元山賊。カインをアニキと呼ぶ
ゼシカ……元アルバート家令嬢。猪突猛進
ククール……元マイエラ聖堂騎士団。キザ男
トロデ王……亡国の国王。呪いで魔物の姿にされている
ミーティア姫……トロデ王の娘。呪いで馬の姿にさせられている
トーポ……ネズミ


パヴァン……アスカンタ王
酔いどれキント……犯人
ゲルダ……女盗賊
ドルマゲス……悪の魔法使い。トロデ王に呪いをかけた道化師

 

 

 

カインはアスカンタを救った。
そう言いたいのはやまやまではあるが、
いったい何から救ったかと言うと、
それは王様の傷心から、ということであって、
襲い来る魔物からでも、
猛り狂う神々からでも、
吹きすさぶ嵐からでもない。
ドルマゲスを探す途中の寄り道としか言いようがないのが、
ここアスカンタでのカインの所業である。


しかし、
結局ドルマゲスの情報を得られることもなく、
なんだかカインも徒労感を抱かずにはいられない。
それで城から出てみると、
外で待ちぼうけをしていたトロデ王から、
「ええのう。パヴァン王からもてなされて」
と拗ねるように言われ、
ため息をつきたくもなるカインだ。
もちろん、カインが、
「アンタが言ったことだろ!」
などと言うことはない。
優男のカインは、
ただただ、スマイルを返すのみである。


ドルマゲスの情報は一旦途切れたが、
ここより南にパルミドという町があるという。
そこで情報を探そうとヤンガスが言った。
パルミドは、
ヤンガスの出身地であり、
小汚い町であるものの、
よそ者を受け入れる懐の深いところであるらしかった。


カイン一行が、
ヤンガスの情報にしたがいパルミドに行ってみると、
その言葉どおりというべきか、
パルミドは楽園とも言える場所であった。

どう楽園なのか。

たとえば、
魔物姿のトロデ王を見ても誰も咎めることはない。
逃亡者どころか犯罪者どころか、
魔物であっても受け入れる町なのだろう。

そうは言っても、
素性の知れない者の巣窟であるので、
泥棒や強盗は日常茶飯事のこと。
女性ひとりが住む一軒家に立ち入ったりすると、
カインといえども強盗に間違えられたりもする。
しかし、
それが間違いだとすぐに思ったようで、
「あら、失礼したわね」
と女性は申し訳なさそうに目を伏せた。
そんな状況でも、
カインの優男スマイルが失われることはない。
間違いだとわかってよかった、と笑顔のカインは、
タンスを漁ってツボを割り、
小さなメダルを持ち去るのだった。


ククールが「きたねえ町だ」と言い、
ゼシカが「個性的な町ね」と言う悪徳の町パルミドは、
行き場のない者が集まる場所でもある。
神殿の金を使い込んで追放された神官や、
とある国の大臣だった男、
妻に逃げられ息子がグレた夫などはまだ素性が明らかなほうで、
身寄りも名前もない物乞いも多い。
そんな物乞いたちのシェアハウスがあるのが、
パルミドのパルミドたるゆえんであるだろう。

シェアハウスの中のある物乞いは、
隣の部屋の物乞いのベッドを盗んで闇商人に売った。
そのベッドを買ったのもまたシェアハウスの物乞いで、
元の持ち主は、それが自分の物とも気付いていない。
そして、
ベッドを盗んだ物乞いも、
部屋に置いていた力のタネをカインに盗まれたことを
気付かずにいるのだった。
誰もが盗み、
誰もが盗まれるパルミドでは例外などなく、
カインもまた、
大切なものを盗まれることになった。
馬となったミーティア姫が、
馬車ごと盗まれたのである。


カインたちはドルマゲスの情報を調査中のことであり、
トロデ王はのんびりと飲酒中のときであった。
カインたちとトロデ王が酒場で落ち合うタイミングで、
酒場の前に停めていた馬車は盗まれたのだった。
表が騒がしくなったことでトロデ王はすぐに気が付き、
愛娘が連れ去られたことを知って青緑の顔をしていた。

カインも少なからず驚かされた。
ミーティア姫がさらわれたというのだ。
「まさか。人間じゃあるまいし」
とカインは思いもする。
人間のお姫様であるのなら、
屈強な男に無理やり連れ去られることもあり得るだろうが、
ミーティア姫は、
今となっては人間ではなく馬の体を持っている。
どんな屈強な泥棒にでも、
簡単には連れ去られることはないだろう。

しかも、姫だけでなく、
馬車ごと盗まれたという。
「まさか。馬じゃあるまいし」
とカインは思うのである。
馬であるのならば、
手綱を引かれて尻を叩かれれば、
乗る人間の意思どおりに馬車を引いてしまうかもしれないが、
ミーティア姫は姿こそ馬であれ、脳まで馬ではない。
進むか止まるかの判断ぐらいは、
自分でできるのである。

人さらいは、人であるからさらえるのであって、
馬をさらうことはできない。
馬泥棒は、馬であるから盗めるのであって、
人間を盗むことはできない。
人間と馬のいいとこどりのミーティア姫は、
人さらいにも馬泥棒にも、
連れていかれるはずのない存在なのである。
そういう根拠から、
ミーティア姫が連れ去られたのは、
「このニンジンをあげるから、馬車を引いておじさんについておいで」
という手法によってであったに違いない、
とカインは確信している。
ミーティア姫は、
自分の意思で、犯人について行ってしまったのだ。


それからすぐに捜索を始めたが、
カインたちはなかなかミーティア姫を見つけることができずに、
次の日を迎えた。
パルミドが広いせいもあるが、
1日はこんなに短かったのだと、
カインたちは思い知ることになった。

目撃者によると、
馬車は物乞い通りへ向かったという。
シェアハウスに住まずに、
路上に住む物乞いたちのストリートである。
カインが物乞いのひとりに声をかけると、
情報料として20ゴールド出せと言う。
背に腹は代えられず、
カインは物乞いに20ゴールドを握らせて訊いた。
犯人は『酔いどれキント』というケチな盗賊だと判明した。
しかし、
キントを追う間に、
また日が暮れて、夜が明けた。

キントが町の外に逃げてしまった可能性も考えたが、
見張り塔の戦士に聞く限り、
誰も町の外には出て行っていない、と言う。
もう3日もキントを探しているが、
その間、誰も町に出入りしていないというのも、
驚きの話だった。
「本物の悪党は町の中に住んでるのに、外敵を見張っても」
と、見張りの戦士は自虐的に仕事をしていた。

そんな中カインたちは、
ある空き家でキントを発見するに至った。
しかし、
キントはすでに、
馬車を闇商人に売った後だった。
「わしのかわいい娘を!」
とトロデ王が睨むと、
「魔物の娘だったなんて思いもしませんで!」
とキントは土下座をして謝り、
売った代金だという1000ゴールドを差し出した。
カインはやや憤慨気味に、
それを聞いていた。
鉄兜が1100ゴールドだというこの町で、
たったの1000ゴールドで、
毛並みの良い馬と錬金釜完備の幌馬車をセットで売ってしまったとは。
せめて10000ゴールドだろう。


闇商人は、
ヤンガスの知り合いでもあるということで、
カインは一安心しかけたところだったが、
しかし、
闇商人のところへ行くと、
馬車はすでに売れた後だということだった。
売った相手はゲルダだという。
「ゲ、ゲルダでガスか!?」
ゲルダのほうも、ヤンガスの知り合いでありそうだったが、
カインの見たところ、
ヤンガスの話ぶりからは、
一筋縄ではいきそうにはないようである。
パルミドの南西に住む女盗賊で、
凄腕だと評判なのが、ゲルダなのだ。

「もう2度と会うことはないと思っていたのですが、これも運命だと思って諦めるでガス」
意味ありげにつぶやくヤンガスの案内で、
カインたちはゲルダの館へと向かう。
ミーティア姫を救わねばならない。
救った後で、説教をしなければならない。
「知らない人についていっちゃダメでしょ!」と。


カイン:レベル20
プレイ時間:21時間39分


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