「旅の人。一曲いかがですかな?」
アディールたちが街から出ようとしたときに、ひとりの吟遊詩人に声をかけられた。詩人は地面に座り、珍しい木彫りの弦楽器を握っている。
いえ、と言って立ち去ろうかと思うアディールだったが、なんとなく不思議なチカラを感じて「じゃあ一曲。」と言ってポケットの中に入っていたウルベア銅貨をチャリと詩人のカゴの中に入れた。
いえ、と言って立ち去ろうかと思うアディールだったが、なんとなく不思議なチカラを感じて「じゃあ一曲。」と言ってポケットの中に入っていたウルベア銅貨をチャリと詩人のカゴの中に入れた。
「では。」と詩人は満足そうな表情で歌い出した。
「ラララ~。遠い昔の物語。王家に生まれた双子の子。王位を争い~国を滅ぼす~。時は流れて歴史は巡り、またも生まれた災いの双子。3つの星を手にした運命の子。そうは言えどもかわいい我が子。誰がこの子を手放せようか。誰がこの子を責められようか。国を選ぶか我が子を選ぶか。ふたつにひとつ、ふたつにひとつ。星降りの夜にルラルルル~。」
「ラララ~。遠い昔の物語。王家に生まれた双子の子。王位を争い~国を滅ぼす~。時は流れて歴史は巡り、またも生まれた災いの双子。3つの星を手にした運命の子。そうは言えどもかわいい我が子。誰がこの子を手放せようか。誰がこの子を責められようか。国を選ぶか我が子を選ぶか。ふたつにひとつ、ふたつにひとつ。星降りの夜にルラルルル~。」
詩人の歌が終わると「あの、その子はどうなったんですか?」とアディールが聞いた。
「さあてなぁ。わしにはわからんよ。」と詩人は答えた。
「我が子を手放す気持ちというのは、どんなものなのでしょう。」またアディールは聞いた。
「さあてなぁ。それもわからんことよ。」
「さあてなぁ。わしにはわからんよ。」と詩人は答えた。
「我が子を手放す気持ちというのは、どんなものなのでしょう。」またアディールは聞いた。
「さあてなぁ。それもわからんことよ。」
詩人は夜空を見上げている。「あの星々にはどのような未来が待っておるのかのぅ。」誰にともなくつぶやいた。「わしらは、それを見ていることしかできん。変えることなどできん。」そしてアディールのほうに目を向けた。「それを変えれると思ったのが業の深きドワーフの先祖。おまえさんたちは自らの欲望で身を滅ぼさんようにしなされ。」
アディールは街を出た。見上げた空には、3つの星がひと際明るく輝いていた。
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【目次】
序章:誕生【1】【2】
1章:エテーネの民【1】【2】
2章:旅立ち【1】【2】
3章:ランガーオの戦士【1】【2】【3】
4章:ジュレット【1】【2】
5章:グロリスの雫【1】【2】
6章:赤のエンブレム【1】【2】【3】
7章:港町【1】
8章:嘆きの妖剣士【1】【2】
9章:風の町アズラン【1】【2】
10章:世界樹の約束【1】
11章:ガラクタの城【1】【2】
12章:五人目の男【1】
13章:団長の策謀【1】【2】【3】【4】
14章:娯楽の島【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】
15章:三つの願い【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】
16章:太陽の石【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
17章:白き者【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】
18章:恵みの歌【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
19章:錬金術師【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】
20章:時渡りの術者【1】【2】【3】【4】
21章:ふたつ目の太陽【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】
22章:冥府【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
終章:レンダーシアヘ【1】【2】
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