ペガサスのチカラによって、アディールはもとのグレンに戻っていた。旅の扉の術によってエテーネの村に移動する前の場所。
待っていたホーローが驚いたような顔。「アディール!アディールなのか!?そうか、その姿がおぬしの本当の姿か。うむうむ。いかにもおぬしらしいキャッチーでグッドルッキンな面構えじゃ。」
アディールに引き続き、3人の人間が、次々とホーローの前に舞い戻った。
ひとりは紅色の髪と目をした小柄な少女。アディールよりも歳下に見えるが、しっかりと意志の強そうな顔立ち。ややつり上がった眉は、髪の色と同じ紅色をしている。名前を聞くまでもなく、それがキサラギであることはすぐにわかった。人間のときの名前は、ラギだったはずだ。
ふたり目はくりりとした目の少年。茶色の頭髪はバサバサと広がり、その表情はあどけない。目の色は黒褐色。リリーネよりも幼く見える少年は、ドワーフのときのドドルと同じ目の色をしている。少年オズルーン、ドドルの人間の姿だろう。
とすると、最後のひとりがパルポスと思われる。人間となったパルポスはアディールよりも長身で、白に近い黄色の長髪。癖のないその毛髪は重力と同じ方向にまっすぐに伸び、濃い黄色の目をしている。プクリポのときのパルポスは、目が細すぎて、その目の色を見たことがない。今、濃い黄色の目の青年を見て、パルポスであるかどうか、アディールにはよくわからない。ただ、その学者風に知性を感じる表情から、いつものパルポスの口調が飛び出しても、違和感を感じない風体だとも思えた。
ホーローもそれぞれを認識したようで「キサラギか、チャーミングじゃの。おぬしはドドルじゃの、イメージどおりのチャイルディッシュな姿じゃ。パルポスからはインテリジェンスを感じるぞえ。」と頷きながら言った。
「さて、準備は整ったの。」ホーローは4人の顔を順に見回した。「人間となったおぬしたちにはチカラが戻った。これで、過去へと行くことができる。」
「ホーロー。どうやったらチカラを使えるんだい?」キャッチーでグッドルッキンな面構えのアディールが聞く。
「ふむ。おぬしたちがいつも乗っている大陸間移動鉄道。あれは古来は天の箱舟と呼ばれていた乗り物。時渡りのチカラを持つおぬしたちならば、強く願えば箱舟に時空を駆け抜けるチカラを戻すことができるじゃろう。よいか?500年前じゃぞ。さあ、運命が変えられるのかどうか、自分たちで確かめて来るのじゃ!」
ホーローがグレン駅に向けてバシッと杖で指し示した。
「行け!時渡りの術者たちよ!」
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【目次】
序章:誕生【1】【2】
1章:エテーネの民【1】【2】
2章:旅立ち【1】【2】
3章:ランガーオの戦士【1】【2】【3】
4章:ジュレット【1】【2】
5章:グロリスの雫【1】【2】
6章:赤のエンブレム【1】【2】【3】
7章:港町【1】
8章:嘆きの妖剣士【1】【2】
9章:風の町アズラン【1】【2】
10章:世界樹の約束【1】
11章:ガラクタの城【1】【2】
12章:五人目の男【1】
13章:団長の策謀【1】【2】【3】【4】
14章:娯楽の島【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】
15章:三つの願い【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】
16章:太陽の石【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
17章:白き者【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】
18章:恵みの歌【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
19章:錬金術師【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】
20章:時渡りの術者【1】【2】【3】【4】
21章:ふたつ目の太陽【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】
22章:冥府【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
終章:レンダーシアヘ【1】【2】
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