ドゥラ院長が去り、ドドルが「おいらアイツのこともキライだ。」と口を膨らませていると、廊下のほうから「アディール!」と呼ぶ声が聞こえた。ダストンの娘、チリだった。
「チリ!?どうしてこんなところに?」と、アディールが驚く。
よく見ると、チリもドゥラ院長と同じように、白衣に身を包んでいる。
「私ここの研究員なの。」そう言って、チリは顔の前で>サインを作ってみせた。「あ、それから、こちらはラミザ王子。」チリは隣りにいるドワーフの少年を示してそう紹介した。
「王子・・・ということは、ウラード国王の?」
アディールはラミザ王子をサッと見回した。ウラード王が言っていたドゥラ院長と同じ歳の王子。気弱そうな表情といい、背中を丸めた立ち姿といい、ドゥラ院長とは真逆の印象を受ける。ウラード王の言いようも、理解できる話だった。
「こんにちは。」
ラミザ王子は丁寧に頭を下げた。
「チリの友達なんですね。あ、ボクはお邪魔ですよね。先に戻りますから、ゆっくり話してください。」
王子はそう言って場を離れようとする。確かに頼りない部分はありそうだが、話しぶりからは優しさが伝わって来るし、旅人を気遣う態度もまたドゥラ院長とは対照的である。悪いばかりでもなさそうだとアディールは思う。
「あ、いえ、僕はもう行きますから。」アディールは、王子とチリにそう言って、一礼をした。
「そうですか?それでは、また時間のある時にでも、ゆっくりしていってください。お城の中も自由に見ていってくださいね。」ラミザ王子は、また丁寧に頭を下げた。
「じゃ、またね、アディール。」>サインをしたまま、チリはラミザ王子と階段を下りていった。
階段の下からもふたりの会話が聞こえてきた。「ドゥラ君すごかったねえ。父上もあんなに喜んで。どうしてボクはダメなのかな。捨てられた兄弟の分までがんばらないといけないのに。」「ラミザ王子。王子は王子でいいんです。ドゥラ院長をマネする必要なんてありません。その兄弟だってそう思っていますわ。」
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【目次】
序章:誕生【1】【2】
1章:エテーネの民【1】【2】
2章:旅立ち【1】【2】
3章:ランガーオの戦士【1】【2】【3】
4章:ジュレット【1】【2】
5章:グロリスの雫【1】【2】
6章:赤のエンブレム【1】【2】【3】
7章:港町【1】
8章:嘆きの妖剣士【1】【2】
9章:風の町アズラン【1】【2】
10章:世界樹の約束【1】
11章:ガラクタの城【1】【2】
12章:五人目の男【1】
13章:団長の策謀【1】【2】【3】【4】
14章:娯楽の島【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】
15章:三つの願い【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】
16章:太陽の石【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
17章:白き者【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】
18章:恵みの歌【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
19章:錬金術師【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】
20章:時渡りの術者【1】【2】【3】【4】
21章:ふたつ目の太陽【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】
22章:冥府【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
終章:レンダーシアヘ【1】【2】
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