カインの冒険日記 -146ページ目

カインの冒険日記

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 アディールたちが列車に乗り込むと、座席にはホーローが座っていた。弁当箱を持ったままむぐむぐと箸で席を指した。ここに座れという意味だろう。アディールたちは、ホーローと横並びの座席についた。
「仲間が増えたんだ、ホーロー。キサラギとドドルと、そっちはパルポス。」
「むぐむぐ・・・ごくっ・・・うむ。これでみんな揃ったようじゃ。」
「みんな、ということは、ワタクシたち5人だけなのですね、生き返しは。」パルポスがホーローに顔を向けた。
「うむ。カメ様が守ったのは五つの魂。レンダーシアから飛び出した光は4つだと言われておるから、5人目はザーンバルフのこと。目覚めし五つの種族。おぬしたちのことじゃよ。」ホーローはザーンバルフに目を向けた。「記憶を取り戻したようじゃの。プクランドからオーグリードまで、ずいぶんと長い距離を飛んだものじゃのう。」
「ああ、思い出したよ。俺は望まれない子の子孫だ。」と、ザーンバルフ。
「そのようなことはない。カメ様は、ちゃんとおぬしを見ておられた。じゃから、こうしておぬしは生き返しを受けておる。おぬしも時渡りの術者の子孫じゃ。偶然などではあり得んじゃろう?もっとも、ソイルの魂をパルポスに入れてしまったというのは、カメ様も大慌てだったのじゃろうな。」
「なんだよ、じいさん。知ってればもっと早く教えてくれよ。」
「知っていたわけではない。今調べておるところじゃ。わしも弁当を食べてばかりおるわけではないぞ?」そう言いながらホーローはまた箸でご飯を口に運んでいる。「さて、おぬしたちの体、ザーンバルフは別じゃが、体はみなカメ様に保護されておる。それぞれの村で、カメ様のチカラによって守られておるのじゃ。じゃから、レンダーシアに行けば、おぬしたちの体を取り戻せるはずじゃ。」
「でもホーロー。レンドアからの定期船は、今は使えないんだ。おそらく冥王の魔瘴のせいだ。」と言うのはアディール。
「ふむ。そうであったか。わしの呪文でレンダーシアまで送ってやれんこともないのじゃが、しかし、以前も言ったが、エテーネには冥王の目が光っておる。じゃから、おぬしたちがもっとチカラを蓄えるのを待ちたいところじゃが、おぬしたちはすでにピュージュに見つかっておる。」
「それだけじゃない、ベルンハルトという人間にも会った。冥王の仲間だと言った。僕たち5人の顔も見られた。」
「なんじゃと!?ベルンハルト!?」ホーローは一口すすったお茶を吹き出した。ゲホゲホとむせかえっている。「ああ、大丈夫じゃ。しかし、ベルンハルトとはあのベルンハルトなのか?」
「知っているのか、ホーロー?」
「いや・・・まさかな・・・500年も前の話じゃ。500年も前に帰らぬ身となっておる。」
「何か知ってるんだね、ホーロー?」
「ふむ。グレンの歴史書で見たことがある。この世界は昔ふたつ目の太陽に焼き尽くされたと言われておるのじゃ。」
「ふたつ目の太陽!?」アディールは声を上げた。「エテーネの洞窟で見た!他の種族はそれで滅びて、レンダーシアに人間だけが残った。そんな話だった。」
「私のいたトーリア村にも伝わっていましたわ。ツスクルの学び舎にも。」キサラギも口を開いた。
「うむ。そのときグレンもかろうじて滅びを免れておった。いや、明日にも滅びようとしておったのじゃと書かれておった。そこでふたつ目の太陽を止めようとしたのが破邪舟師ベルンハルトじゃ。しかし、それはうまくいかなかった。そこでベルンハルトは帰らぬ人となり、結局はグレンを救うことはできなかった。という話じゃ。」
「おい、じいさん。しかしそれだとグレンは滅びてないとおかしいじゃないか。なんでグレンは今も健在なんだ?」とザーンバルフが言う。
「ふうむ。そのときは、わしもそこまで詳しく歴史書を読んでおらなんだでの。しかし、ベルンハルトの破邪舟師としてのチカラがあれば、おそらく冥王の心臓にも到達できるのじゃろうがのう。」
「おいらたちはベルンハルトを追ってメギストリスに行くところだぞ。」ドドルがぴょこと飛び上がる。
「うむ。わしもグレンの歴史を詳しく調べておくことにしよう。しかし、ベルンハルトが接触してきたということは、冥王がおぬしたちの動きを捕えたと思ったほうがよいじゃろう。気をつけることじゃ。」
 列車がオルフェア駅に到着し、アディールたちはそこで下車した。列車を降りるアディールたちを見送り「運命の線路が交差するとき、また会おう。」とホーローが杖を向ける。扉が閉まり、ホーローを乗せた列車は、ドワチャッカに向けて蒸気を上げた。
 アディールたちは駅を出てオルフェアを西へと進み、キラキラ風車塔を通過してメギストリスへと歩を進めた。もう一度ベルンハルトと会わなければならない。




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目次
序章:誕生【1】【2】
1章:エテーネの民【1】【2】
2章:旅立ち【1】【2】
3章:ランガーオの戦士【1】【2】【3】
4章:ジュレット【1】【2】
5章:グロリスの雫【1】【2】
6章:赤のエンブレム【1】【2】【3】
7章:港町【1】
8章:嘆きの妖剣士【1】【2】
9章:風の町アズラン【1】【2】
10章:世界樹の約束【1】
11章:ガラクタの城【1】【2】
12章:五人目の男【1】
13章:団長の策謀【1】【2】【3】【4】
14章:娯楽の島【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】
15章:三つの願い【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】
16章:太陽の石【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
17章:白き者【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】
18章:恵みの歌【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
19章:錬金術師【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】
20章:時渡りの術者【1】【2】【3】【4】
21章:ふたつ目の太陽【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】
22章:冥府【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
終章:レンダーシアヘ【1】【2】


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