「エンブレムを持ってまた会おう。」
アディールとドドルが下車した列車は、ザーンバルフとキサラギとパルポスを乗せて、エルトナ方面へと発った。
ベルンハルトのいるドルワームは、岳都ガタラより北西に位置する。しかし、ガタラとドルワームは高い山岳によって隔てられていて、両都市を移動するには、東側の山間を抜けなければならない。
アディールとドドルは、ガタラ原野から東周りでカルデア山道を北に抜け、ゴブル砂漠へと足を踏み入れた。
砂漠の日差しは暑く、砂漠の砂は熱い。しかも、すぶずぶと砂に足を取られて、アディールは満足に進むことができなくなった。日蔭のない広大な砂漠に、アディールの背びれは乾ききり、肌の水分をも奪われ始めた。
「のどが渇くね、ドドル。」アディールの声は、かすれている。
「そうか?おいらはまだ平気だけど。」
そう言うドドルは、身軽に砂の上をスイスイと歩いている。体が小さく軽いドドルは、砂漠に足を取られずに歩ける。アディールは、ドドルよりもずっと苦しい道程を強いられていた。
「みず、な・・かな・・」
舌が渇きすぎて、アディールはだんだん言葉が発音できなくなってきていた。
「水、水・・・あ、アディール。あそこにオアシスが見えるぞ!」
「オア・・ス?どこ?見え・・い・・」
「疲れてるから見えないんだな。おいらに着いて来なよ。こっちだよ。」
そう言ってアディールの前を歩くドドルは、しかし歩いても歩いてもオアシスに辿り着かないことに焦り始めていた。確かにオアシスは見えている。だが、オアシスまでの距離は一向に縮まっていない。
「ド・・ル、まだ・・い?」
「うん、もう少しなんだ。もう少し先に見えてるんだ。おいら嘘なんかついてないぞ。」
「はは・・う・・ついて・・なん・・お・・ってな・・よ・・」
「あ、アディール!ダメだ、敵に見つかっちまった!」
ドドルの視線の先で、デザートゴーストが長い舌を垂らしてこちらを見ていた。イエティにも似た丸い巨体がのしのしと近付いてきたかと思うと、いきなり火炎の息を吹き出した。
「熱っ!アディール大丈夫か?」ぐったりとしているアディールを見たドドルが「アディールはそこにいてくれ。おいらがなんとかするよ!」と言って、デザートゴーストの前に飛び込んで行った。「ピオラ!クモノ!縛り打ち!」
ドドルは奮闘するが、なかなか致命打を与えられずにいた。そうしているうちに、デザートゴーストが大きく息を吸い込む。
「くそ!また火炎を吹くのか。」ドドルはサッと後ろに飛び退いた。
しかし、デザートゴーストの吐き出した炎は、先の火炎とは比べ物にならないほど激しく、そして広範囲に広がった。火炎の息の射程の外まで離れていたドドルにもその炎は届き、そして勢いよく燃え上がった。
「うう・・・」
やっと火が消えて、砂の上にごろりと転がるドドル。そこに向けて、デザートゴーストはまた息を吸い込んでいた。咄嗟にドドルは目をつぶった。
「タナ・・・・ハン・・」
かすれる声を聞いて、ドドルが目を開くと、アディールがデザートゴーストの後ろで飛び上がっている。そして、アディールが短剣を振り下ろすと同時に、死神の手がデザートゴーストに振り下ろされた。タナトスに誘われてグギャーと叫んで倒れる魔物とともに、アディールはドサリと砂漠の上に落下する。
「ありがとうアディール!助かったよ!」ドドルはそう言ってアディールに駆け寄るが、返事がない。アディールは、灼熱の砂の上に倒れたまま動かなくなった。「アディール?アディール!!ホイミ!ホイミッ!!」
【続きを読む】
【前に戻る】
【目次】
序章:誕生【1】【2】
1章:エテーネの民【1】【2】
2章:旅立ち【1】【2】
3章:ランガーオの戦士【1】【2】【3】
4章:ジュレット【1】【2】
5章:グロリスの雫【1】【2】
6章:赤のエンブレム【1】【2】【3】
7章:港町【1】
8章:嘆きの妖剣士【1】【2】
9章:風の町アズラン【1】【2】
10章:世界樹の約束【1】
11章:ガラクタの城【1】【2】
12章:五人目の男【1】
13章:団長の策謀【1】【2】【3】【4】
14章:娯楽の島【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】
15章:三つの願い【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】
16章:太陽の石【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
17章:白き者【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】
18章:恵みの歌【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
19章:錬金術師【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】
20章:時渡りの術者【1】【2】【3】【4】
21章:ふたつ目の太陽【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】
22章:冥府【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】
終章:レンダーシアヘ【1】【2】
ドラクエブログランキングはこちら
↓

