◼まずは初めましての方へ☆
今日僕らは、
昨日のミッチーへの恩返しの話を受けて、
岩手県へと向けて、
始発の新幹線に乗り込んでいた。
ス「お~い」
ス「俺たちは、今からどこに行くねん?」
あ「だからミッチ―の奥さんに、
会いに行くんだって。
ねぇ、ミッチー?」
塩「悲しいのぅ…」
因幡「何とかしてあげたいでやんす」
道「違うんでずぅぅぅぅぅ!!!!」
一同「?」
道「嬉じいんでず~!!
歓喜の涙でず~!!!!」
あ「それはよかった(笑)」
ス「それにしてもや」
あ「?」
ス「何で岩手?
道真の嫁って、
道真が左遷された後も、
京都に残ったんじゃないの?」
あ「昨日あの後少し、
調べたんですよね…。
そうしたら…」
ス&道「?」
あ「ミッチ―の奥さん、
宣来子(のぶきこ)さんのお墓は、岩手にある」
ス「なして?
なして岩手?」
あ「………。
あまりミッチ―は、
思い出したくないかもですけど…」
道「………」
ス「………。
…やめとこか…」
塩「そうじゃのぅ…」
因幡「やんす…」
道「いえ…大丈夫です…。
覚悟は出来ています…」
あ「…わかりました…。
時の政権の中枢にいたミッチ―が、
宿敵でもあった藤原時平らの策謀によって、
太宰府に左遷されたのが西暦901年…」
道「はい…よく覚えています…」
あ「この和歌は覚えていますか?
『君が住む
宿のこずゑのゆくゆくと
隠るるまでに
かへりみしやは』」
道「…もちろん…」
ス「おい、どういう意味や?
教えろ、おい、はよ教えろ。
はよ、はよ」
あ「急かすな。
これはミッチ―が太宰府に左遷される時に、
奥さんに宛てて詠んだ歌です。
意味は…、
『貴方の住んでいる
宿の木の梢を
遠ざかりながら
やがて隠れてしまうまで
何度も振り返って見たものです』」
…。
……。
………。
…………。
一同「うぼぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」
一同「情景がぁぁぁ!情景が思い浮かぶぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
あ「まぁ…確かにね…」
道「………(静かに涙を流す)」
あ「その後も何度かミッチ―と奥さんの、
手紙のやり取りがあって、
そこには必ず和歌がしたためられていたそうです…。
それとは別に、
今でも伝えられているミッチ―の漢詩があって…」
一同「?」
あ「『消息寂寥三月餘。便風吹著一封書。西門樹被人移去。北地園教客寄居。紙裹生薑称薬種。竹籠昆布記斎儲。不言妻子飢寒苦。為是還愁懊悩余』
難しすぎるので、
意味だけを要約してお伝えすると、
『家族から3か月ぶりに手紙が来た。
屋敷にあった梅の木は運び去られ、
庭には他人が住んでいるという。
薬としてショウガを送ってくれた。
日々の生活の苦しみが書かれていないのが、
かえって私を苦しませる……」」
道「………」
ス「………。
あまりにも…あまりにも…辛すぎるやないか…」
塩「………」
因幡「やんす……」
あ「その後ミッチ―の奥さん、
ご家族も揃って流罪の刑に処され、
奥さんは幾人かの子どもとともに、
岩手の地へと別々に流され…。
そして906年…。
二人は二度と再開できぬまま…。
ミッチ―が亡くなったと、
ほぼ時を同じくして悲しみのあまり、
奥さんの宣来子(のぶきこ)さんも、
病で亡くなられたということです…」
ス「それで…岩手か…」
塩「この岩手の地は本州の中でも、
場所によっては、
冬場は最も寒い地と言われているからのぉ…。
ましてや遥か昔の時代のこと…」
因幡「…想像を絶する辛さでやんす…」
あ「ミッチ―…ごめんね…。
思い出したくないことを、
思い出させてしまったかもしれないけど…」
道「………。
いえ…そんなことはないです…。
時を越えて、
再び宣来子と巡り合えることが出来るのですから…。
それに宣来子や家族の過ごした辛き時間のことを思うと…」
…。
……。
………。
…………。
そう言うと、
ミッチーは天を仰いで泣いた。
積年の辛さと抱えてきた苦しみを、
我慢しきれないかのように、
静かに泣いていた…。
ス「さぁ…着いた…。
…行こうか…」
列車はミッチ―の奥さんの魂が鎮まる、
岩手の地へ。
今日一日しかないけれど。
必ず二人の魂を結びつける。
■恋愛のこと
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